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【名古屋グランパス】帰ってきた金崎夢生【第6節までの雑感】

名古屋グランパスが絶好調だ。今節大分戦での勝利で開幕から無傷の4勝2分けの堂々2位となっている。この要因は様々にあると思う。当然マッシモ・フィッカデンティ監督によるディフェンス陣の整備がまずは大きい。風間体制では蔑ろになってしまった基本的な守備のルールと意識の徹底は、ザルだったグランパスディフェンスを一気に堅固なグレートウォールとした。

シッカリとした守備があってこそ強い攻撃が出来るという当たり前な理論を改めて実感している。僕らは「攻撃は最大の防御」の意味を勘違いしていた。マッシモによる意識改革があったからこそ、今期の守備の安定があり、だからこそ安心して攻撃も出来る。そして攻撃時と守備時に意識の差なんてないのだ。意識は繋がっている。それは風間監督の言っていたこととも似ている。ただ、風間サッカーはあまりに攻撃に傾倒し過ぎていた。

そのバランス調整だけしたら、もともとの個のチカラのあるグランパスが強くなるのは自明の理だったのだろう。まるで風間監督が去った後の川崎フロンターレが鬼木監督によって守備意識を植え付けられ、最強クラブになったのをなぞっているように感じてならない。

その意味でも6節の大分戦は、現時点での集大成のような試合内容だった。

前線からのハードワークによって攻撃の第一手であるパスコースを限定させ、ボールの奪いどころをチーム全体が共有する。全員が意識を共有出来ているから、ボールを奪った瞬間にそのままの勢いで攻撃に転じられる。

攻守一体。言葉ではよく見るが、それをここまで見事に体現するまでグランパスが成長しているのが信じられないくらいだ。マッシモの戦術も当然あり、また今年も的確な補強をしたフロントスタッフの能力も素晴らしい。

阿部、稲垣、山﨑に加え怪我人が増えてしまったサイドバックにG大阪からオ・ジェソクを補強して不安のあったバックアップ体制も盤石となった。何よりもゴタゴタで信じられない離脱をしたジョーの代わりになる補強として金崎夢生を8年ぶりに復帰させたのは大補強だった。

唯一「ジョーの抜ける穴をどう埋めるか」そこだけが決め切れていなかった。前田やマテウスをトップに据えるのも、彼らの個性を殺してしまう。山﨑にジョーと同じようなターゲットマンとしてのプレーをさせるのも荷が重く感じた。

そこに現れたのが金崎夢生だった。

ジョーとは違うボールの収め方、ボールの受け方、さばき方に加えて時に反転して自分でドリブルで突っかける。鹿島時代、鳥栖時代に敵として観ていた成長した夢生のプレースタイルがグランパスに攻撃の幅を生んだ。

大分戦の1点目、3点目のポストプレーは金崎夢生ならではの強さとイマジネーションに溢れていた。阿部ちゃんという新たなタクトが君臨し、センターフォワードらしいセンターフォワードの金崎夢生がトップに降臨したことで名古屋グランパスは鬼に金棒ならぬ“鯱に金崎”状態となった。

今年のグランパスこそは「強い!」と力を込めて断言できるシーズンになると僕は期待している。そして最後に笑顔でシャーレを掲げる夢生が観たい。阿部ちゃんはG大阪、川崎時代に幾多の優勝を経験した「優勝請負人」と言われている。だが、金崎夢生は2010年にグランパスが初優勝した時の唯一のメンバーである。

「夢生が帰ってきたから優勝出来た」

そんな風に笑顔で終わりたいと思うのだ。

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