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アンジュルムヲタ的ROCK IN JAPAN 2023総括、そして光り輝く植村あかりとJuice=Juiceの未来について

去年のロッキンはアンジュルムとモーニング娘。だけだった。「だけ」と言いつつ、2組も同じ枠から出られるだけでも凄いことだとは思う。それが今年は鈴木愛理さんとJuice=Juiceも加わって、もはや野外ハロコンじゃないかと思いながら朝早くから蘇我へと歩く。

そういえば今年のJAPAN JAMも実質ハロコンでしたね。この時は愛理さんが優勝された。楽しかったなぁ。

さて、今年も台風が近づいてきているというのでリュックにはレインコートや着替えも入れて日焼け止め対策もして万全の態勢で蘇我駅に降り立つ。ポツリと小雨は降っているものの雨雲レーダーを見るとすぐに止んで晴れてきそう。てか、歩いているうちに晴れてきて入場する頃にはジリジリと肌をつくような陽射し。

アンジュルムは今回もスキル「晴れ女」を発動させたな。たけが抜けても効果が薄れないということは、グループに宿っているスキルなんだろうな。

そう。今年のロッキン最終日は一番大きなGRASS STAGEのトップバッターをアンジュルムが務める。とうとうここまで辿り着いた。初出演から5年。着実に、とはいかなかったけど、苦難も乗り越えて辿り着いた。本当に感慨深い。トップバッターといえばJAPAN JAMの時は前説の渋谷社長に「竹内朱莉ラストフェス!」と呼びこまれ、そして沸き起こる大声援にたけ号泣しながら登場という場面もあった。

ロッキンでも渋谷社長による前説がはじまる。「JAPAN JAMから3ヶ月でまた前説をやる。もう、いよいよアップフロントから給料もらえる説が濃厚です」なんてリップサービスから、途中「よういちぃー!」とヲタから叫ばれ「陽一じゃねーよ!」とハロプロの現場のような空気感になってきたなかでアンジュルムは「戦いながら、変わりながら模索していく彼女たちが頼もしく、カッコいいです!」と紹介され颯爽と登場。

最強アンジュルムに君臨する二人の夏将軍

正直、終わった瞬間に朦朧としていて細かいこと覚えてない。優先エリア4列目?5列目だったかな。右端のスクリーン前だったのもあって区割りが少し階段状に斜めになっていたので、目の前は誰もいない状態だったから実質最前のような立ち位置。しかもスクリーン前の花道にメンバーが何度も来るもので、テンション馬鹿みたくあがってしまった。

目の前に、かみこや鈴ちゃん、新メンバー後藤花ちゃん下井谷幸穂ちゃん、莉佳子に我が新たな推し伊勢さん、三色団子も来てたかな?かわむも来たな。ぺい、たしか来た。とにかく気付くと目の前にアンジュルム状態。マジで5mの距離で真正面にいるから周り含め大盛り上がり。けっこう新規っぽい女子多めだったのもあって、キャーキャーなってた。そんな会場の熱気とエグいくらいの陽射しも相まって途中から「あはははは。楽しいな。楽しいな」と脳が溶けてしまった。

なので本当に詳細を覚えていない。朧げな記憶をもとに振り返ります。

1曲目は予想通り『アイノケダモノ』。

ロッキン最終日のトップバッターで出て一般人には全く馴染みのない最新シングルからスタートするというのも、なかなか攻めているとは思うけど、この曲ライブ映えするしコール含めて盛り上がるから大正解だったと思う。メンバーも超絶ギラついておりました。

たけ卒業から新たに我が推しとなった伊勢鈴蘭さんによる落ちサビ「れいらさまぁー!」を炎天下の野外で叫ぶという最高の体験が出来て、もしかしたらここですでに僕は昇天していたのかもしれない。

そして、ここからハプニング発生。ラストに向けて揚がっていく途中で音響トラブルで無音に。すかさずクラップと共に歌い出すヲタ、「音響トラブル?そんなの知るか」とばかりに盛り上げていく。メンバーも「関係ねぇよ!」と続けていると、復帰した音響とピタリと全てのタイミングが合った状態で歌声も戻る。これには会場大喝采。すごかった。

ただ、後日談でラジオにて伊勢鈴蘭さんが当日の裏側を話していて、メンバーはイヤモニしていたから音は途切れていなくて歌い続けられたし踊れていたと。逆に音も何もないなかでクラップしながら完璧なリズムで歌い続けたヲタクすごいとお褒めの言葉を頂きました。ありがたき幸せです。

でも、たしかに自画自賛になるけど、よくあの数十秒間を完璧にリズム取れていたよなぁアンジュルムヲタ、と思いますわ。

2曲目は『Survive~生きてく為に夢を見んだ』

新曲で始まりアルバム曲を2曲目に持ってくる攻め攻めセトリ。しかし、この曲は我らが「歌うま赤ちゃん」こと松本わかなちゃん大活躍の曲である。巨大スクリーンに映し出される松本わかなちゃんに優先エリアは大盛り上がり。最近まで声帯が安定していなくて歌割りも抑え気味だった天才が、枷を取っ払って大爆発させているのを観ているだけで感動する。

どうだ!俺らの赤ちゃん凄いだろ!と僕は感無量でぼんやりと霞む目でステージを見つめていた(ただの熱中症だったかもしれないですが)

3曲目は、まさかまさかの『ちょいカワ番長』。イントロ流れた瞬間に優先エリアはお祭り騒ぎ。この日、勝田さんと一緒に観に来ていた前リーダー竹内朱莉さんも『ちょいカワ番長』が流れた時に「スマイレージの曲を当時やっていたメンバーが客席で観てて、当時いなかった子たちがステージで盛り上げているのが不思議な気持ちだった」とラジオで振り返っていた。

「2012秋〜ちょいカワ番長〜」ツアーの時は、チケットが全く売れていなくてYouTubeで公開説教をされていたスマイレージが、11年経ってロッキンの一番大きなステージのトップバッターでアンジュルムとして生まれ変わり『ちょいカワ番長』をやるという熱血スポ根マンガのようなストーリーに、ただただ感動……している場合じゃなかった。

ステージ中央で莉佳子がイントロに合わせて観客にコール&レスポンスをしているなか、左右のスクリーン前にもメンバーが来て会場に向かって煽りだした。僕の目の前には、かみこ新リーダーと鈴ちゃん。

莉佳子が悪ノリしながら会場を煽っているのを見ながら、かみこが大爆笑して「何やってんの!ねえ、みんな!」みたいな感じでこっち見て笑う。ガハガハ笑いながら鈴ちゃんが拳を突き出してステージから乗り出すように煽ってくる。

え?なにこれ?最高なんですか。。。

普段、僕はなんだかんだ冷静に全体を観ながら楽しむ人間なんだけど、ちょっとそんな余裕が完全になくなるくらいの近さで、かみこや鈴ちゃんが手を振ってるし笑いかけてくるし歌って踊って煽ってくる。

何度か最前で観たり、この日より近い距離で観たことあるのに、なんか今までにない感情になったのは夏ダカラ?野外ダカラ?ほとんど熱中症状態だったから?

本当に不思議なくらいテンションが上がった。本当に最高でした。オリジナルメンバーが誰もいないアンジュルムがスマイレージの曲を、こんな大きな舞台で堂々と披露してヲタクも一般人も関係なく大盛り上がりしているのが夢のよう。いま思い返しても感動する。

4曲目は定番となってきた『愛すべきべき Human Life』。これもイントロで「きた!」ってなる曲になりましたね。そして同時に堂島孝平さんは今日もどこかで一緒に盛り上がってるかな、なんて思ってしまうが、なんとこの日は堂島さん、都内で仕事があったのにアンジュルムだけを観るために蘇我に来て、アンジュルム観たらすぐに仕事に向かったらしい。

どんなヲタクよりヲタクしてる堂島孝平。すごい。

5曲目『46億年LOVE』の前に新メンバー後藤花ちゃんと下井谷幸穂ちゃんが紹介されて登場。ふたりして「ロッキンいくぜー!」と絶叫して『46億年LOVE』へと繋がる流れが素晴らしくアンジュルムで感動。

曲中また僕らの目の前にメンバーが次々と来るなかで莉佳子と鈴ちゃんに連れられて、というより追い越して後藤花ちゃんと下井谷幸穂ちゃんがダッシュしてきて圧倒される。心からロッキンを楽しんでいる様子が素敵すぎるし、ライブを楽しみ過ぎて後藤花ちゃんは場位置を間違えて鈴ちゃんが苦笑いしながら「こっちだよ!」と誘導していて、なんかそんな鈴ちゃんの姿を目の前で観れて嬉しくて、と思ったら莉佳子がめっちゃ体乗り出して煽ってくるから「ウェーイ!」ってなるし、もう大変でした。

そうだ。竹内朱莉さん卒業後に沢山のパート継承が行われていたんだけど、申し訳ないくらい記憶が曖昧で混濁していて誰がどこを継承していたのか覚えていない。鈴ちゃんが色々と竹内朱莉さんパートを受け継いでいて、そのたびに「鈴ちゃん!」と感動していた思い出だけが残っている。

ラジオでも竹内朱莉さんが「鈴ちゃんがパートを受け継いでくれてて『りんりん、お前やったじゃん!』と思った」なんて言ってくれてて、それは当日の僕の気持ちそのままだった。

6曲目『大器晩成』でも色んなメンバーが目の前で飛ぶから、そら負けじとこっちも目いっぱいジャンプするし、『46億年LOVE』だったか『大器晩成』だったか記憶が曖昧だけど、莉佳子?かみこ?がこっちに向かって「ハイ!ハイ!ハイ!」ってハイタッチしてくるから両隣の人と一緒にハイタッチしたり、と普段、僕そんなことしないんだけど楽しすぎて一緒になって大騒ぎ。

なんか、本当に世界が正常に戻って来て良かったなぁ。こんな風にまた歌って踊って騒いで飛んだり出来るようになったんだなぁと心から思って叫んでた。なんか、本当に新鮮な気持ちでライブを楽しめていた。

ラストは夏フェス定番となった『夏将軍』。そして竹内朱莉さん卒業後に初めて観る三代目夏将軍様の姿。目の前で拝ませて頂いたけど、この日も上國料萌衣さんは凛としていて美しく、笑うと最高に可愛くて、でも歌い出すとクリスタルボイスがキラキラと輝いて見えるようで、エースでセンターが本当によく似合う人だなぁと思って観ていた。

そして、そんなリーダーのそばには何時も佐々木莉佳子さんが寄り添うように立っていて、新生アンジュルムはエースでセンターでリーダーな上國料萌衣さんとリーダーを守る鬼神・佐々木莉佳子さんの二頭体制なんだと気付いた。なにかとソロ仕事も多いリーダーの負荷を自然にスマートに支える佐々木莉佳子という人の存在の大きさ。思えば『ちょいカワ番長』の煽りも莉佳子だった。

真ん中で輝く太陽が今のアンジュルムには二つもある。

そう思って眩しい陽射しに目を細めてステージを見上げたら神々しいくらいに偉大な“りかみこ”が肩を組んで笑い合っていた。最高の夏将軍様でした。これからもずっとお慕い申し上げます。

モーニング娘。の未来はどっちだ?

あれなんですよね。我が推しと言いながら伊勢鈴蘭さんは一瞬しか僕らサイドに来なかったので、ほとんど観れなかったのが残念だったんだけど、その分、橋迫鈴ちゃんの成長を目の当たりに出来て嬉しかったりで、なんかもう終わった瞬間に脱力して、GRASS STAGE後方の芝生エリアまでノロノロと歩いていって座り込んでた。

とりあえず水分摂って塩分タブレットをボリボリ食べて、アンジュルム最高だったなぁとメモをスマホで打っていたら何時の間にかモーニング娘。さんの出番になっていた。

慌てて立ち上がって周りを見たら一般の人たちが沢山集まって来ていた。やはりモーニング娘。という看板はすごい。あっという間に超満員。

ヲタではない人間が1曲ずつ振り返るのもなんだから、印象的な部分を何個か。まずは3曲目の『女と男のララバイゲーム』でしょう。

往年の高橋愛さんのように、いや、なんかそれ以上に妖艶に誘う小田さくらという人の眼力と微笑みがエゲツなかった。なによりロッキンのような場で『女と男のララバイゲーム』なんて曲を持ってくるアップフロントの根性が楽しかった。正直、周りの一般人はポカンとして聴いていたけど、それでも小田さくらパートの瞬間はザワっとどよめいていた。

そんな雰囲気から4曲目『愛の軍団』5曲目『SEXY BOY〜そよ風に寄り添って〜』に続く流れは、もう完全に一般人置き去り。ハロヲタ、モーニングヲタだけをピンポイントで狙い撃ちしてくるセトリ。特に『SEXY BOY〜そよ風に寄り添って〜』を野外で踊るという体験は、昔のハロコン代々木体育館前の広場でラジカセから爆音で流して踊っていた光景が走馬灯のように思い浮かんだ。あの頃、一心不乱に酒飲みながら踊っていたな。たぶん、熱中症だったんだろう。

からの『浪漫』でしょ。もう、「熱っちぃ地球を冷ますんだっ」というエコモニの声が脳内でリフレインしていた。熱中症なんだと思う。

最後の曲が『青空がいつまでも続くような未来であれ!』だったのにも驚いた。こんなにみんなで大合唱する曲だけど、完全に一般人は置いてけぼり。でも、そんなの関係ないくらいヲタクは大盛り上がり。これは、評価が分かれるセトリかもしれないけど、なんとなく譜久村聖ラストのロッキンというのもあって、もしかしたら本人の希望もあったのかなと思うんだが、どうなんだろう。

ずっとハロプロを愛してきた彼女が最後に青空の下で『青空がいつまでも続くような未来であれ!』と叫ぶのは、それはもうモーニング娘。の未来がそうであって欲しいと願う彼女の想いの全てなんじゃないだろうかと僕は勝手に解釈しながら感動して聴いていた。そして汗で日焼け止めが流れて目に入りまくるから、周りからしたら「あの人、めちゃめちゃ泣いてるじゃん」と思われたかもしれないが、それもまた良いじゃないか。

鈴木愛理の現在地

愛理はHILLSIDE STAGEという少し僻地のステージだった。文字通りステージに向かう手前に丘があって、僕は開始の直前に到着したのだけど、その丘からは人が溢れかえっていた。

丘を越えてステージの横側エリアでスクリーンが見える位置に来たけど、この日のハロヲタ総動員だったんだろう。そしてそこに「鈴木愛理か。観てみよう」という一般人も来ているから、そら人で溢れかえるのは必然だ。愛理にあの場所は狭すぎた。次はデカいステージに行くべき人だと思う。

そして愛理のセトリに関して賛否が分かれていたらしいのは後になって知った。所属していたグループのセルフカバー。後輩の代表曲を先に歌ったこと。この日、出演しているアーティストのカバー。そういうチャレンジングなセトリに対して様々な反応があったのは、理解はできるけど的外れだなとも思った。

まあ、それも「人それ」だろう。僕は今の愛理の活動の幅を披露した面白い試みだったと思っている。愛理のすぐ次に隣のPARK STAGEに登場するアイナ・ジ・エンドが所属していたBiSHの『オーケストラ』を「親友のアイナへ!」と言って歌い出した時には、PARK STAGE側で待機していた清掃員たちも一斉に踊りだしていたし、YOASOBIの『アイドル』が流れた時は周りの一般人も含めて物凄い歓声があがっていた。

愛理がカバーした『アイドル』は先日とうとう1000万回再生を超えた。それくらい話題性のあるカバーだったし、同時に単なるカバーではなく幼少時から天才的なアイドルとして君臨してきた鈴木愛理の矜持が籠められているから、観る人に刺さる動画となっているんだと思う。

愛理のステージが終わった後で移動する人たちは口々に「すごかったね」と楽しそうに話しながら歩いていた。そういう声こそが全てだと思う。鈴木愛理はこの日もすごかった。どんな曲でも自分色に染めてしまうプロフェッショナルアイドルだった。それが今の愛理の現在地なんだろう。

雨のステージで輝く植村あかりの残したもの

愛理が終わり、アイナのリハーサルが始まるなかで僕は空模様を気にしながら歩いていた。ステージからは「愛理ちゃんありがとう!」というアイナの嬉しそうな声が聞こえていた。

ちょっと天気が怪しいな。スマホの雨雲レーダーを睨みながら、一度クロークに預けたレインコートを取りにいこうと決めた瞬間に目の前が見えないくらいの土砂降りになった。「まずい」と思った時すでに遅し。雷雲も近づいてきたらしく、一時全てのステージが中止になって避難勧告が出たようで、なんだか災害時のようにズブ濡れになりながらスタジアムに避難することになってしまった。

ここで僕の心が折れてしまった。もう無理だ。帰ろうかな。と半泣きになっていたのと同時期に、どうやらアンジュルムの橋迫鈴ちゃんも場内で他のメンバーとはぐれてズブ濡れになっていたらしいことを後で知って、なんかそれは嬉しかった。もしかしたらあの時、近くにいたのかも。

それでもなんとか気力を振り絞って着替えをしてJuice=Juiceに備えることにした。雷雲は去ったようだけど、雨雲は留まりポツリポツリと小雨は降り続くコンディションがどう影響するだろうか、なんてことを心配しながら1時間遅れとなったステージへと向かった。

Juiceの登場前になると次第に雨足が強くなり出し、だが、それに負けじと前方エリアに陣取った古参Juiceヲタから怒号のような声援が響きだした。雨になんか負けてられっか!と言わんばかりの声援に後方も呼応されるようにテンションが上がりだして、暗闇にはペンライトも光りだし、なんだか「天気は最悪なんだが最高のロケーション」になってきていた。

今回のロッキンではハロプロの現役グループが3組出た。そこで各グループの色が象徴的になったのが新メンバーの扱いだった。トップバッターのアンジュルムは最後の3曲だけ。モーニング娘。は一切登場させず。そしてJuice=Juiceは最初から最後まで新メンバー川嶋美楓ちゃんが普通にステージに立っていた。

最初Juiceが登場してきた時はそれに全く気付かなかった。たぶん、周りのヲタクも同じだったと思う。それもこれも最初の曲が『Va-Va-Voom』だったことが大きな要因でもあった。

何を1曲目に持ってくるか。愛理が先に『ひとそれ』をカバーしたから1曲目『ひとそれ』は無いだろう。王道で行くなら『Fiesta! Fiesta!』か。しかしそれでは2019年と同じになってしまうな。

アンジュルムのセトリには「勢い」があり、モーニング娘。には「歴史」があり、愛理には「チャレンジ」があった。Juiceも何かコンセプトを持ってセトリを組んでくれているといいのだが、と思っていたところにきた『Va-Va-Voom』。大正解。おそらくヲタクも予想外の選曲だったと思うが、同時に「優勝!」と大興奮だったはずだ。地鳴りのような歓声があがった。

Juiceは「オシャン」を押し出してきた。

2曲目が山下達郎のカバー『FUNKY FLUSHIN'』だったことで、それは確信に変わる。

Juiceの良さである歌唱力とダンスの表現力を最大限に発揮させつつ他との差別化も図るには最良の選択だったと思う。時間帯的に陽も落ちて暗くなっていくなかでのロケーション効果も狙っていたのだろう。実際は雨脚が強くなっていくという最悪な天候ではあったのだが、なんかそれが逆に雰囲気作りの舞台装置にもなっていた。

雨のベール越しに舞うJuice=Juiceの幻想的な美しさは異彩を放っていた。そして衣装がメンバーカラーをモチーフにしてくれていたおかげで、この辺で「あれ?赤い衣装だ。川嶋美楓ちゃん最初から普通にいるじゃん!」と気付いた。新メンバーについてMCでも一切触れないから、衣装が同色系だったら最期まで川嶋美楓ちゃんが居たことに気付かなかった人すらいそう。

それくらい新たなピュアレッドはJuice=Juiceに馴染んでいた。しかもちゃんとソロパートも貰っていた。すごい新人教育だと感嘆してしまった。

3曲目『「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?』4曲目『Fiesta! Fiesta!』でヲタクは更にボルテージがあがる。普段から歌うまメンバーな段原瑠々、井上玲音、松永里愛は普段以上に余裕のあるリラックスした声を響かせていた。「力強さ」ではなく「余裕」という印象をこのロッキンの舞台で感じさせる子たちの力量が、ただただ凄かった。

そしてその中心には緑色に輝く植村あかり。

僕がJuiceだけじゃなくハロプロ全体でもずっとアンジュルム以外で推している彼女の美しさがこの日は普段以上に限界突破しているように感じていた。なんか、あやちょに感じるような女神感。神々しさがこの日の彼女からは放たれていた。

数日後、植村あかりの卒業が発表された。

「なるほど、そういうことだったんだ」と一報を見て思った。卒業を決めたメンバーは何故か美しさが増す。これは歴代ハロメンの全てに共通する不思議な現象なのだが、たぶん悩んでいたことがスッキリして前だけ向いて過ごせるようになるから精神的な余裕ができることが要因なんだろう。

ロッキンの植村あかりはそれを納得させてくれるほど輝いていた。そして同時に川嶋美楓ちゃんを最初から組み込んでいたことの意味も分かった。リーダーの最後のロッキンをJuiceのこれからを担う子にも1曲でも多く体感してもらって、その魂を受け継いでもらうための儀式でもあったのだ。

段原瑠々が、井上玲音が、松永里愛が見せていた余裕は、旅立つリーダーに向けての「私たちがいるからJuice=Juiceは大丈夫」というメッセージだったんだ。

何よりこの日、僕が一番驚いたのは工藤由愛の安定感とパワーだった。けっこう重要なフェイクを担うこともある彼女だが、この日までの僕の印象では正直なところ安定感にはかけるイメージだった。だが、このロッキンの彼女は最初から最後まで安定感とフェイクの力強さと、その眼力でステージに君臨していた。「すごっ」と思わず声に出してしまうほど、この日の彼女のパフォーマンスは突き抜けていた。

2023年のロッキンはハロプロ勢ではJuice=Juiceが優勝だった。そしてそれは工藤由愛という逸材の覚醒を目撃した衝撃によるものが大きい。彼女が今回のMVPだった。

それも植村あかり卒業が切っ掛けだったのだろう。植村あかりの卒業でJuiceもオリジナルメンバーが全員いなくなる。来年の春からJuiceも第二章が始まる。だが、この日のJuiceを観た人なら「何も不安はない」と誰もが思っただろう。宮崎由加、金澤朋子、植村あかりという包容力の塊のような3人のリーダーによって紡がれてきた優しい空間でJuiceの子たちはすくすくと成長してきた。

竹内朱莉の卒業で第三章を迎えたアンジュルム。譜久村聖の卒業で今後、激動の改革が始まるであろうモーニング娘。'23。そしてJuice=Juiceは来春の植村あかり卒業に向けてどうなっていくだろうか。

変化を恐れないのがハロプロの良さだと僕は思っている。でも、なんかJuiceに関しては良い意味で変わらない気がしてもいる。たぶん、次のリーダーは段原瑠々になるだろう。オリジナルメンバーの寵愛を受けていた彼女だからこそ、その場所を誰よりも大切にしたいと思っているはずだ。優しい姉たちのように、自分が受けてきた愛情をこれからの子たちに目いっぱい注いでいくことだろう。

僕は段原瑠々がリーダーのJuice=Juiceが楽しみでならない。

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円衣めがね
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