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あやうく一生懸命生きるところだった

お薬のお世話になることになった。

こういう本格的なのは初めてだ。はじめに処方された薬は一週間服用したが効果がなかった。先日、再診で話をして処方を変えて貰った。

よく効いている、気がする。ただ、物凄くぼんやりとする時間が多くなった。思考が遅く、深く考えることが出来ない。「出来ない」じゃなくて「しない」のかもしれない。そして「やれることをやろう」という気持ちだ。少しこれは前向きな気がする。「出来ないものは出来ない」そう割り切って、いま目を背けている問題とかにも向き合えると良いと思う。いまは出来ないし、この状態もまた波があるのかもしれないけれど。

少し前まで気分が落ち着かなくて文字を読んだりするのも苦痛で、ギリギリ漫画は読めるくらいの精神状態だったんだけど、なんか急に文字を読むことが自然と出来る。と言っても1時間以上とか連続は無理なんだが、散歩した先のお寺や公園でベンチに座って本を読むのが日課になっている。

医者から「楽しいことを探しましょう」と言われた。

だが、ライブやサッカー観戦、それに伴う遠征旅行とかを趣味としていた人間にとって、今は楽しみが何も存在しない世界だ。それでも配信ライブとかをハロプロもバンドマンも積極的にしてくれている。

僕は普通の人より密集への恐怖感もあるので、また前みたいにライブハウスやホールへ行けるようになるのか分からない。「問題なく行けるよ、大丈夫だよ」と言われたとしても、素直に「じゃあ、行こう」となるには時間がかかりそうだ。それは仕事も同じ。自分の考え方も含めて、それこそ「自分なりの新しい生活様式」を確立しないといけないんだろうなぁ。そして、そこには「えいやっ!」と思い切りも必要なんだと思う。

韓国のイラストレーターで作家のハ・ワンさんの『あやうく一生懸命生きるところだった』というエッセイに出会った。40歳になる時に副業でイラストレーターをやっていたのだが、ふと会社を辞めた。別に不満があったわけでもないのに、なんとなく「不惑」を前に「折り返し地点」を意識して衝動的に辞めてしまった。

ずっと無理して山を40年登り続けてきた。あと10分で山頂だとか言われて我慢して登ってきたけど、何も先なんて見えない。もう疲れた。「今日から必死に生きないようにしよう」と決めた。

ハさんはそう書いている。

ああ、国が違ってもみんなそうなんだな。いや、韓国は日本以上に結果主義、周りを蹴落として生きないといけない社会だから、余計にしんどいんだろう。そして「不惑」もまた、儒教精神の国だけに重い言葉なんだろう。以前、大槻ケンヂさんが「不惑」への愚痴を言っていたことを書いたが、韓国人のハさんも同じことを言っている。

「不惑だとか言うが、惑いまくりだ」と。

この本、いわゆる啓発本の類ではない。どちらかというと現在進行形で悩みながらも新しい人生を進んでいる筆者の等身大の考えをイラスト付きのエッセイという形で書いているものだ。

また、このイラストが絶妙な緩さで良い。

努力と時間が実を結ばなかったら、潔く吹っ切る勇気
失敗しても、新たなことにチャレンジする勇気

そんな「賢明なあきらめ」を出来る勇気をもとう。まだもう少しムリ出来そうでも勇気をもってやめることをしようと言っている。

思わずKindleの機能使ってハイライトしてメモってしまった。

「勇気」それが一番いま足りないんだろうなぁ。どっかで本当に「えいやっ!」と決めないとダメなんだろうな。「正しい、正しくない」とか「どれを選べばいいのか」なんて誰にも分からないし、人生のコントロールなんて不可能なんだから「自分のせい」なんて考えもやめよう。

正解のない「なぞなぞ」に真剣になる必要なんてない。

でも、それって独り身だからできることでもあるんじゃないか? 自分の選択が自分に降りかかる分には、それこそ自己責任で納得できるが、周りに影響が出るんじゃないかという時は躊躇してしまうと思う。そんな気持ちも同時に浮かんでくる。

「自由を取るかお金を取るか」

難しい問題だ。未練はたらたらある。だから「我慢して、もう少しやってみようか」と堂々巡りだ。とりあえずは自分の気持ちが今は分からない。いや、分かっているけど向き合えない。

今の状況を「いい機会」だと捉えて、少しまた視野を広げて見れるように、ちょっぴりお薬のチカラも借りてやってみようと思う。その途中で楽しいことにも気づけるといいな。

明日は18時からアンジュルムの「十人十色」ライブのプレミアム配信がある。アンジュルム史上でも屈指の名ライブだ。まずはこれを存分に楽しもうと思う。これ、本当に最高のライブなのよ。だからみんな観て。


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