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武道館に咲いた大輪のつばき

円衣めがね

先日、某バンドのライブに久しぶりに行ってきた。コロナ禍で2年近くライブやコンサートには行ってなかったから、いろいろ不自由だったり勝手が違うことだらけで新しい生活様式、大変だなと思った。なかでもアンコールの対応。声出しできないから会場全体で拍手してアンコールをしていたのだが、これがグダグダで全然揃わない。コロナ以前は大声で叫んでこそのアンコールだったりする現場だったので、どうしてもみんなおざなりな拍手でお茶を濁す状態だった。

まあ、しょうがないよな。と思っていたのだが、今日のつばきファクトリー初武道館のアンコールは全然違っていた。

テレビで視聴していたのだが、まるで「つ！ば！き！ つ！ば！き！」と会場全体が叫んでいるような、本当にクラップ音が声のように聴こえる見事なリズムが鳴り響いていた。「パン！パン！パン！ パン！パン！パン！」嗚呼、こんなところからハロプロはヲタク含めて全力でコンサートの雰囲気を創り出しているんだなぁ。ステキだなぁと本当に感動してしまった。

ヲタクに感動してどうするという話だが、やはりコンサートをするつばきのメンバーだけじゃなくヲタクも待ち望んでいた晴れ舞台なのだ。しかもコロナ禍で声も出せない環境。そういう逆境をどう払拭して一体感を出すかというのを自然に現場が共有できるのはハロプロが培ってきた歴史、文化の結晶なんじゃないかと大袈裟だが思わずにはいられなかった。

と、アンコールのクラップ話だけで終わってしまいそうだから本編の感想。

つばきオリメン8人は気合が充実しているのが、その佇まいからも伝わって来た。仕上げてきたなぁとパッと見で分かる凛々しさだった。そして、そのなかにあってなんの遜色も無い新メンバー4人の堂々とした逸材っぷりがキラキラ輝いていた。

2曲目に披露した最新曲『ガラクタDIAMOND』はライブで聴いてみて、あらためて「好きだわぁ」と思った。

前奏のダンスから新メンバー4人がフィーチャーされていて、歌いだしも新メンバーからはじまるところ、とても良い健全な試みをしている。しかも「ただ新メンバーだから歌わせている」ではなく、キチンと実力でパートを勝ち取っていることが分かるパフォーマンスを新メンバーがしている。

「実力こそ正義」な本当に健全な環境だと思う。

続く『低温火傷』『ふわり、恋時計』までが新メンバー含む12人体制でのパフォーマンスだった。12人。本当なら13人だったはずだが、この晴れの武道館に小片リサはいない。

それがとても残念でならないが、それでも小片リサの担っていた歌唱パートが新メンバー4人を中心に割り振られているように感じられたことが嬉しかった。立てなかったメンバーの想い、散ってしまった無念を新たな息吹が受け継いで咲かせているようで、そんな勝手な解釈をしてしまうくらいには感動した。

特に河西結心ちゃん。ずっと歌いながらニコニコ笑っていて、武道館に立っている喜びを全身で表現していて素敵だった。いや、結心ちゃんだけじゃない。八木栞ちゃんも凛々しく笑顔で美声を響かせていた。福田真琳ちゃんは観ていると吸い込まれそうなオーラを漂わせていた。豫風瑠乃ちゃんの圧倒的な歌唱力が際立っていた。

つばきファクトリーに加入した4人が4人とも初武道館。しかも初めてのコンサート。そんな状況で、そんな状況を楽しんでいた。それがすごい。

小片リサ脱退後、パフォーマンス面でどうなってしまうのだろうと懸念していた僕みたいなヲタクの横っ面を「目を覚ませ！今はもう未来だぞ！」と打ん殴ってきた新生つばきファクトリー。そう、いつだってハロプロは困難を乗り越えてきたのだ。

最後のMCで浅倉樹々ちゃんが「私たちは2つの困難を乗り越えてきた」と言っていた。それはコロナ禍のことじゃなく、ひとつは小片リサの脱退。そして、もうひとつはこぶしファクトリーの解散を指していたんじゃないかと思う。本当なら先に武道館に立っているはずだった姉妹グループのこぶしファクトリー。

志半ばで解散した彼女たちの分まで、つばきは背負って進んできたんじゃないだろうか。そんなことを思いながら聴くアンコールの『今夜だけ浮かれたかった』は格別なものだった。

ここまで辿り着いた。だから、今夜だけは浮かれても良いじゃないか。

ラストナンバーはアルバム曲の『マサユメ』だった。夢にまで見た武道館が正夢になった。そんなメッセージがこもったラストナンバーを強く激しく歌う彼女たち。「可憐さ」が売りだったグループは武道館で「力強さ」という新たな花を咲かせて生まれ変わった。

ここからが「つばきファクトリー第2章」のはじまりだ。

こぶしファクトリーの広瀬彩海、浜浦彩乃が揃って同期の晴れ舞台を見守った。想いは繋がっていく。ハロプロが続く限り、歴史は紡がれていく。

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