見出し画像

最強だった「十人十色」を懐古して、未来のアンジュルムを夢想する

ライブハウスが営業再開できるようになった。とはいえ、制約は多く以前のように大暴れすることは現時点では不可能。ホールコンサートとかも同じようにできることはあると思うが、まだまだ多くは難しい。

そんななか、アンジュルムがYouTubeのアンジュルムチャンネルで「アンジュルム コンサートツアー2018春 十人十色+」をプレミアム配信した。

2018年、2年前だけど、もはやはるか過去のように感じる。まだ和田彩花も勝田里奈も中西香菜も室田瑞希もいる。そして伊勢鈴蘭、太田遥香、橋迫鈴が加入していない。2020年6月現在のアンジュルムとは全く違うメンツだ。

この2年、激動だった。3カ月おきに主要メンバーが卒業していき、その間に新メンバーが加入してくるも、なかなか落ち着かないからパフォーマンスも正直不安定だった。いま現在も船木結の卒業が延期になっており、太田遥香は謹慎していて、新メンバーオーディションは二次審査が終わった状態で止まっている。

まだまだまだまだ、コロナと同様に落ち着くことは先になりそうなアンジュルムだ。じゃあ、そんなアンジュルムは今後どうなっていくのか。

例えばモーニング娘。であれば自分たちのパフォーマンスでお手本、指標になる「プラチナ期」や「カラフル期」みたいな分かりやすくヲタも含めてクオリティの基準と思えるものがある。そしてアンジュルムにとって目指す場所は「十人十色」なんじゃないだろうか。

とりあえずリンク貼ったハロステをクリックしたら始まるオープニングの『泣けないぜ・・・共感詐欺』を観てほしい。まず衣装、ツアータイトルの「十人十色」に相応しく色合いも服装もバラバラ、全く統一感なんてものはないが、メンバーそれぞれの個性に完璧にマッチしていることで「こういう個性の集合体こそアンジュルムである」というものを体現している。

ちなみに衣装プロデュースはメンバーの勝田里奈。卒業してからも精力的にファッション関係の仕事をはじめようとしている彼女のメンバー愛とセンスによって、ハロプロらしからぬ自己プロデュースが感じられる。

そして、彼女たちの表情を見てほしい。「今の私たちって最高でしょ!」という自信に満ち溢れた表情で歌い踊っている。一曲一曲の決めポーズから、自分のパートを歌い終わった後のドヤ顔、全てがキラキラと輝いている。

この頃は何をやっても「最強だ」「アンジュルム最強だ」と言われていた。あの蒼井優もアンジュルムの魅力を「最強だから」と言っていたくらいだ。サッカーで言えば銀河系軍団と言われていた頃のレアル・マドリーとか全てのタイトルを総なめしていたバルセロナくらい最強だった。

普通、そこまで昇り詰めたら持続的にハイパフォーマンスを供給できる集団に落ち着かせるはずだが、まあそこがアイドルの難しいところだ。グループとしては当然、維持したい。だけどメンバー個人個人からすると未来のことも考える。新しいことにチャレンジしたくなるのは若い子なら特に至極当然の流れだ。

アンジュルムは絶対的な初代リーダーである和田彩花が卒業したことも、他のグループ以上に各メンバーに自我を植え付けたのだろう。だからこそ、僕はそんな難しい状況で二代目リーダーに就任した竹内朱莉を称賛したい。次々と抜けていき、新メンバーも加入し、安定できないグループを何とか鼓舞して盛り上げている竹内朱莉を心から尊敬する。

タケは日ごろから「後輩を育てたい」と言っている。今はライブが出来ない状況でパフォーマンスを通して育成がままならない状態だが、タケには不思議な求心力がある。和田彩花には絶対的な説得力があり、メンバーはその後ろを付いていけば良いだけだった。

だが、竹内朱莉はメンバーが周りを囲んで一緒に盛り上げていこうとする雰囲気がある。和田彩花のアンジュルムとの大きな違いがそこだ。メンバーそれぞれが考えて、危機感と責任感を持ってリーダーを助けようとしている。

今はまだ、だから「強さ」という意味では心もとない。Juice=Juiceの方が数段上の「強さ」が今はある。だが、そんな状態だからこそメンバーひとりひとりの成長は可能性に溢れている。自分で考え、行動し、自分の魅力を最大限に表現できるようになった時、新たな最強アンジュルムが誕生するんじゃないだろうか。

僕はそれを期待したいし、そうなることを確信している。

久しぶりに「十人十色」の完璧なパフォーマンスを観て、あらためてここが未来のアンジュルムが目指し、超える場所だと思った。そして出来ればそれが満員の横浜アリーナでの竹内朱莉卒業コンサートであって欲しい。これは個人的な理想と願望だ。

画像1

プレミアム配信の途中、サプライズでアンジュルムの新曲が発表された。

活動休止中の太田遥香が不在というのは残念だけど、卒業が延び延びになっている船木結も参加しての9カ月ぶりとなる待望のシングルだ。少しだけ先行配信された『限りあるMoment』のMVでは、伊勢鈴蘭や橋迫鈴といったアンジュルム歴の浅いメンバーが要所要所でしっかりとフィーチャーされ、伊勢鈴蘭なんかは船木結と共に貫禄のパフォーマンスを魅せてくれていた。

主要メンバーが抜けようと「今が最高」をちゃんとメンバーが更新してくれようとしている。まだまだ16歳の笠原桃奈だって、天才なのに自信がなかった上國料萌衣だって、引っ込み思案な川村文乃だって、全幅の信頼を寄せていた室田瑞希が居なくなった佐々木莉佳子だって、新曲のMVを観たら頼もしさしか感じなかった。

アンジュルムは大丈夫だ。今は辛抱する時期だけど、Juice=Juiceに奪われてしまった「最強」の称号だってアンジュルムが取り戻せると信じてる。いや、Juice=Juiceと共に「ハロプロこそ最強」を世の中に宣言してくれると信じてる。

これからもハロプロの未来は明るい。


全て無料で読めますが、「面白かった!」「すき!」なんて思ってくれたら気持ちだけでもサポート貰えると喜びます。