プラント・プラネット

皆様ご存知の通り、今現在、恋人もおらず、
生涯の伴侶が、地球外生命体になりそうなボク。

そんな感じのボクは日々を意味もなく浪費して、寂しさをエロでごまかしていく有様。これではイカン！
何か環境を変えて、この乾いた日常を打開するしかない。そう思ったボクは、日々の生活に潤いを与えるために植物を買うことに決めた。

幸い、家の近所に花屋さんがあったので、そこに行くことにした。

どんな植物がいいだろうか…。
「パキラ」（それしか知らん）なんか立派でいいじゃないか。
いや、置く場所ねぇや。いっそ、お花にしようか…。
なんて、いろいろ思案し、イメージを描きながら入店。

亜熱帯気候くらいジャングルな店内で、物色しだしたのだが…。

アレね！植物って意外とするのね！
値段で面食らったボクは、ちょっとオネエになってしまった。
普通にオフィスなんかに置いてある、観葉植物的なやつでも万近く行くし、平気で超えてくる猛者もおるではないか。
これは、相場を知らないボクの落ち度なんだけど、ビビったね。実際。

これから、植物買う人は、小国の国家予算くらい用意したほうがいい。
完全に出鼻をくじかれたボクに、店の人が話しかけてくる。
「どんなのをお探しですか？」
「まぁ何でもいいんですけど、ズボラなもんで、世話の少ないやつですかね…」
「じゃあサボテンですね！」
てな具合に、サボテンを勧められたんだけど、こちらもまぁまぁな値段。
『俺は今、やべぇ代物に手を出そうとしているな…』
と、その場で薔薇のトゲを心臓に刺し、死んでやろうかと思った瞬間。
横に牛乳瓶の上に乗っているサボテンを発見。

「これって何なんですか？」
「これは水耕栽培できるサボテンです。もちろんサボテンなんで世話も少ないし、水も2週に1回で良いんです。植物初めてなら、ちょうど良いかもしれませんね。」

いいじゃん！コレで！値段も他より安いし、コレだけ世話が少なかったら
非常に助かる。

即買い。帰り道、ウキウキして、スキップとトリプルアクセルを決めたボクは、案の定サボテンの水を全て股にこぼし、漏らした人みたいになっていた。
気を取り直し、水をあげて部屋にセッティング。

「おぉ！いいじゃん！」ボクの殺伐とした、部屋に新たな息吹が誕生した。
牛乳瓶に顔を描いて、「ボテくん」と命名。こいつの成長記録でも、SNSにうpしようとまで画策。その日は1日サボテンにLOVE注入していた。

鋭い洞察力をお持ちの方はお分かりだろうが、次の日以降、全く世話をしない。そもそも、あまり世話をしなくて良いのだ。となると、即座にヤツは部屋の一部に溶け込み、同化する。成長記録もうpしない。つーか、見た目変わらん。
ボクの記憶からは抹消され、水を1ヶ月に1回しか代えない。水を代える都度、買った意味あるのか…。と感じざるを得ない。そもそも生活に潤いを与える目的が、むしろ干上がらせているような気がする…。

と、この記事を書いて思い出し、水をやろうとしたがトゲが刺さる。
ボテくんの謀反。
これからはキチンと愛でてやらないとなぁ。

愛でないと植物は枯れ、愛する人は、別れを告げる。
植物の世話もできない男に、女は惹かれない。