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温室を出たら

 高校を卒業したら、ほとんど大人だって思ってた。でも、そんなことなかった。温室育ちだって自覚はあった。だって、周りからそう言われてきたから。だけど、温室の外がこんな世界だったなんて想像もしなかった。これでも大学の話なんだから、ある程度同じ学力の人たちが集まっているわけで、ここにいる学生はみんな、社会全体でみたら、似た者同士なんでしょう?信じられないな。

 みんな、どこで覚えたの?不謹慎なジョーク、人の傷付け方、お酒を飲み過ぎた後の吐き方、約束の破り方、タバコの吸い方、友達の恋人の寝取り方。新しいことを知って、1人で泣いた。1人で怒った。友達と縁を切った。悲しかった。

 自分が受け入れられない世界が、外に広がっていたことを知らなかった。何度も温室に戻りたいと思った。大人の世界が、温室に無かったものだけで構成されてるなら、ずっと温室の中で生きていたいと思った。

 ねぇ、大人になりたくないな。大人は、みんなこんなに傷付けあって生きているの?どんな愛があったって、あの子の傷跡は消えないよ。私はこの世界が大嫌いだ。私じゃこの世界を変えられないよ。何も知りたくなかった。ねぇ、ずっと子どものままでいるにはどうしたらいい?

 どうか、明日が来ませんように。おやすみなさい。

#大学生 #小説 #友達 #大人 #恋愛

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