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「採用」とは全く別だと思ったほうが良い。「人事組織界隈」で起こりうるパラダイムシフト

「採用業務と人事組織系の業務は使う筋肉が圧倒的に違うよ」

と、社内外でお話しすることが多いのですが、この文章自体は、今でも意見は変わりません。ただ「使う筋肉」の正体が、自分の中で明瞭化してきました。本ブログのタイトルに「パラダイムシフト」と書いておりますが、僕の中での大きなパラダイムシフトがありました。「あ、これは本質的にうまくいかないわけだ」と言う大きな気づきがあったわけですが、本ブログでは細かく説明していきたいと思います。




0. 人事組織業務とは?

本ブログで使う言葉の定義をしておきましょう。「人事組織系」と僕が呼んでおりますのは、下記の範囲になります。採用/人事全般の活動フローの全体図から説明します。


当社ポテンシャライトでは、人事組織系の業務をこういった形で分類しており、こちらの並んでいる「順番」も強く意識するようにしています。今いる採用業務は入社承諾/入社完了までがゴールだとして、入社「後」からが人事組織業務の範囲になります。


1. 採用業務と人事組織系業務を1本の線につなぐ

まず前提として、採用業務のプロフェッショナルであり、且つ人事組織系業務のプロフェッショナル、つまりいわゆる「HR」の全領域におけるプロフェッショナルを網羅している方と僕はお会いしたことがありません。非常に幅広い領域のため、お一人で網羅する事は難しい、そしてHR業務の中で特に人事組織系の業務については、在籍する企業の状況によって取り組むべきことが変わります。そのため、「狙ったタイミングで」「狙った業務を」担当することは難しい場合の方が多いです。

例えば、「人事制度の設計をしたい」と思ったとしても、その企業の優先順位が人事制度の設計ではない可能性も多いにあり、またその設計自体が滞留する可能性もあります。また、「カルチャー設計をしたい」と言う本人の思いがあった場合、本人の思いとその企業の課題発生における時期がドンピシャとなる事はほぼありません。そのため、採用活動におけるキャリアは「計画的」に、人事組織系におけるキャリアは、「偶発的」に積むことになることが個人的には多い印象です。

何を申し上げたいかと言うと、これまでの日本の人事業務の分担の仕方、課題が発生する順番が偶発的であることから、全HR業務の領域を網羅することが難しいと認識いただいた方が良いと思います。
もちろん、大手企業さまであれば、全人事組織領域においてチームを分けて、そのチームを1つずつ渡り歩くことができるかもしれませんが、ただここでも1つ障壁が発生します。それは「会社のフェーズ」と「課題のフェーズ」と「その項目における取り組みのフェーズ」、この3つの変数が発生することです。

 

1-1. 会社のフェーズとは

設立年数や従業員数の事だとご理解ください。設立から何年経過しているのか、従業員数が何名なのか、そして直近●年間で従業員数が何名増加したのかによって、人事組織領域における課題の項目は異なります。

1-2. 課題のフェーズとは

人事組織の各領域における課題がどのように変化しているのか。例えば、ミッション/ビジョンを全く作っていない企業さまもあれば、存在はするけれども浸透がしていない企業さまもあれば、浸透はしているけれども、その達成イメージが湧いていない場合もあります。また、マネージメントにおいては、部長クラスはマネージメント能力が高く、いわゆるリーダークラスにおけるマネージメント能力にばらつきが発生しているなどのこともあります。


1-3. その項目における取り組みフェーズとは

前述した会社のフェーズと相関関係がありますが、人事組織系の各領域における各社の課題のフェーズが異なると言う意味合いです。例えば、20名の企業でカルチャー設計がほぼなされていることもありますし、100名の企業でほぼカルチャーの文言化ができていないと言うのもあります。また、20名の企業でマネージャークラスが10名いることもありますし、100名の企業で、ほぼフラットでマネージャー経験がある方がほぼいない、なんてこともあり得ます。これが課題のフェーズです。

また、もう一つ複雑な要素をお伝えすると、人事組織系の業務には「正解が存在しない」です。もちろん、人事組織の各領域におけるノウハウ/テンプレートは存在します。ただ、そのテンプレートをただ反映するだけではうまくいかないことがほとんどです。なぜうまくいかないのか?その正体は、どうしても「属人化」してしまう業務が多い、ということです。「それであれば、採用活動も属人化されているのではないか?」そんなご意見をいただいてしまうかもしれません。

ただ、採用活動においては、「テキスト」で情報が伝わることが約半分、そして面接官から情報が伝わることが、約半分、そんな分類をすることができます。例えば、「求人メディア」の記事をご覧いただいた方が、その情報をインプットする、同じポジションであれば、同じ面接官からお話を聞く、もちろんテキストや口頭でのアウトプットにおける事実としての情報の「解釈」は人それぞれかもしれませんが、概ね「同じ」情報が渡ります。
また、最も大きいのは「企業と候補者がほぼ初対面であること」です。つまり「文脈」を「これから作り始める」フェーズなわけです。
「文脈」とは何か?それは候補者さまと面接官の「過去のコミュニケーションにおけるやりとり」とご理解いただけるとわかりやすいかもしれません。また自社に勤めているマネージャーとメンバーにおける「文脈」とは、「その2人が出会ってから、これまでに交わしたコミュニケーションにおいて、形成された関係性の全て」です。ポジティブなコミュニケーションもあったでしょうし、ネガティブなコミュニケーションもあったかと思います。致命的な信頼感欠乏をしてしまう事象が発生したかもしれませんし、お互い信頼しあっているかもしれません。

何を申し上げたいかと言うと、採用業務と人事組織系業務を比較した際に、ポジティブな/ネガティブな文脈も全て合わせて、その要素が変数になるため、割と大変です。


2. 合理的なことに取り組んでいるのに、なぜ組織は前進しないのか?

当社もあらゆる人事組織における問題が発生して、あらゆるトライ&エラーをしました。個人的には、深い自己喪失も経験したわけですが、一生懸命取り組んでいるのにもかかわらず、なぜ自社の組織は前進しないのか?この途方もない深い問題の解決する糸口を掴めました。言い換えると、原因がわかってきた、そう表現したほうが良いかもしれません。

順序立ててご説明します。

2-1. 事実と解釈の違いの理解 (同じモノ/コトを見ている/聞いているのに解釈が異なる)

僕ら人間は全く同じ「事実」を見ている/聞いているのにもかかわらず、異なる「解釈」をします。下記をご覧ください。

ご存知の方も多いかと思いますが、有名な書籍である「7つの習慣」でご紹介されている画像です。
これを見たときに「お姉さん」もしくは「おばあさん」のどちらかに見えていらっしゃるかと思います(もしくは両方見える方もいるかもしれません)。
何を申し上げたいかと言うと、全く同じものを見ているのに、「見え方」が異なります。
また、1度「お姉さん」と思い込んでしまうと、「お姉さん」にしか見えません。「おばあさんがいる」と言う情報があれば、「何とかしておばあさんに見えるように見てみよう」と努力するからこそ、おばあさんも見つけるかもしれませんが、現実社会ではそんなことはありません。これは現実社会において数え切れないほど発生しています。「事実」と「意見」を無意識的に混同してしまい、「不確かな情報」にもかかわらず、それを「事実」として認識して周りに伝えてしまう。これを「無意識的に」を行ってしまっていることを、本質的に理解しなければなりません。

僕の好きな言葉があります。

「評価(解釈)を加えずに、観察する能力は、人間の最大限の知性」

この言葉は非常に深いです。
つまり、人間は「誰が」「何を」「どのように」話していたのか?これによって物事を解釈します。ただ、ここで言う「誰が」「どのように」については、話の受け手が「解釈」をするのに無駄な要素となり得ることが多いです。どういうことかと言うと、「何を」だけに集中した場合、「評価(解釈)」と言う要素をなくすことができます。これは僕も日々トレーニングしていますが、目の前にいる方の言動を、「解釈せずに」観察することが本当に難しいです。その「解釈」を加えて、自分たちは物事を判断している。そして相手に第三者の情報を与えている。つまり、「話し手」には、全く悪気がなく、見たものを相手に伝えている。ただ、悪気はなく、かつ無意識であるゆえに、それが「真実」であると思ってしまう。同じもの/ことを見ている/聞いているのに、認識がずれてしまうのはこのためです。そのため、「話せばわかる」と言う類の問題ではなく、そもそも会社全体で本項について深く理解する必要があります。もし理解できなければ、「なぜ理解してくれないのだ」と堂々巡りになってしまう可能性が高いです。

2-2. 自分との対話

前項とやや重複しますが、お伝えしたい内容が異なるため、分類して話を進めます。まず前提として「議論」と「対話」の違いを理解する必要があります。

議論とは
「勝ち負け」を結論として出す会話のこと。能力やスキルが伴うこと、何か結論を出さなくてはならない時に用いる会話

対話とは
感情や価値観にアプローチすること。前項で説明をした事実と解釈の話などが該当しますが、声が大きい(立場が強い/役職が高い)メンバーが言ったことが必ずしも正解ではないことを前提としてする会話の類。

例えば、僕の目の前の佐藤さんが今日のミーティングの感想を述べていた。その感想には、佐藤さんがどのように感じたかの感情を吐露していた。これに関しては、声が大きい人が偉いと言う類の話ではないです。一方で、鈴木さんが今日のミーティングの感想を述べていた。内容としては、採用ノウハウや採用戦術の具体的な話であった。これは「スキル」や「経験」が紐づく内容であるため、能力が高い人の意見が筋が通っているのであれば、優遇されるのは正解である会話の類です。

少し話を戻します。「自分との対話」と申し上げましたが、その企業で自分の周りで起こり得ていることを、自分の偏った価値観で物事を捉えていると、そのメンバーも疲弊しますし、その周りのメンバーも疲弊します。少し時間が経過すると、退職にもなり得る可能性も十分にあります。例えば、人事制度が変更されたとしましょう。その変更背景を人事側が一生懸命話をします。ただ、その変更背景の全てを各メンバーが理解するわけではありません。おそらく50%も変更背景が伝わらない可能性もあるでしょう。

そんな中、最も発生しやすいのは「事実」「解釈」です。仮に人事制度の周知が「テキスト」で発表されたとしましょう。もちろんテキストには限界があります。そのため、テキストで記載が「ない」部分については、メンバーは「予想」をし始めます。「予想」と言うのは「解釈」であり、その解釈は人それぞれ間違いなくずれます。そのずれた解釈を、メンバーは「事実」として認識します。なぜならば、自分との対話ができていないからです。さて、「自分との対話」に話を戻しましょう。

対話とは、感情や価値観を伴う会話、と表現しましたが、ここで言う感情や価値観と言うのは、事実と解釈の話とリンクします。

「相手がそんなことを言っていないのにもかかわらず、自分自身がネガティブに(ポジティブに)勝手に解釈している」
「きっと〇〇さんが言いたい事は△ △であった、と勝手に解釈をしている」

皆さま、こんな経験ありませんか?
ちなみに、本ブログを執筆している山根も、毎日のように勝手に解釈をしていることが多いです。ただ、当社ポテンシャライト並びに僕は、「あ、またやってしまった。」と気づくことが多くなりました。例えば、

「〇〇さんが△ △のことを話している。おそらく□ □と言いたいんだろうなぁ…。あ!しまった、また自分で勝手に妄想して、□ □と解釈を進めていた。この解釈が合っているかどうかを〇〇さんに聞いてみよう。」

と言う具合です。「対話」と聞くと、相手と実行するものだと思われがちですが、「自分との対話」の能力が高いと、自分にも相手にもチームにも組織にも迷惑をかける事はありません。むしろ誤認識が生まれない傾向にあります。ただ、この文化を作っていくのはものすごく大変です。なぜならば、メンバーの中で少数でもこの認識が甘いメンバーがいると、何が「真実」なのか組織においてわからなくなってしまうからです。

2-3. 認知の歪み

同じような話が進みます。
「認知の歪み」という言葉を聞いたことがある方はいらっしゃるかもしれませんが、僕ら人間はこれまで生きてきた人生の中で、「認知」における特性のようなものがあります。「歪み」と聞くと、ネガティブに捉えられがちですが、当たり前のように皆さまも存在しているものです。

山根が認知の歪みで傾向として強く出ているのは、こちらの赤い項目です。僕は、この赤い項目を「決めつけ」をして話を聞くことが多い傾向にあります。これ自身を、僕も僕の周りのメンバーも理解をしてくれていて、僕がこの「決めつけ」を発生した瞬間に、察知をしてくれているような気がしています。何を申し上げたいかと言うと、前述した通り、人間には事実と解釈が存在しており、そして自分/相手との対話も能力に差分が存在しています。そのため、同じもの/事を見たり聞いたりしているのに、理解/解釈が異なるわけです。そんな中、この「認知の歪み」は前述した「尺度の大きさ」と表現するとわかりやすいかもしれません。特に「過大解釈/過小解釈」はわかりやすく、同じもの/ことを見たり聞いたりしてるのに、解釈の尺度が非常に大きいメンバーがいます。過度に気にしすぎてしまうパターンです。「ああ、確かに〇〇さんは過大解釈しやすい」と思われた方がいらっしゃるかもしれません。ただ、実はそんな事はありません。正確な表現をすると、その限りではありません。

こちらのブログに記載しましたが、「心の中で過大解釈をしている人」も存在しています。具体的には下記2つのパターンです。

  • 社内におけるあらゆる発信に対して「はい、わかりました」と表面的には合意をしていますが、心中においては納得していない。

  • もしくは「はい、わかりました」と表面的には合意しており、且つその人自身は納得していると思っていますが、無意識的に拒否反応を示している。

認知の歪みが「尺度の大きさ」と表現したのですが、過大解釈は「表面に出ている/出ていない」も重要です。現に当社でも本件は発生しています。


3. すべてが繋がった成人発達理論との出会い

突然話が変わりましたが、「成人発達理論」と出会ってから、これまで人事組織系の知見を身に付けてきた内容を大きくひっくり返すような感覚を覚えました。本ブログの「1」に記載したのですが、「合理的な施策を投じていたとしても、組織がうまくいかない」ということが組織においてはよく発生します。仮に施策に手ごたえがあっても、組織が必ずしも良くなるわけではありません。もし仮にうまくいったら、無数の複雑な要素がうまく噛み合って成功した、僕はそのような解釈を一部しています。

少しずつ話を進めていきます。

3-1. 成人発達理論とは

成人発達理論とは:
「私たちの知性や能力が一生をかけて成長を遂げていく」という考えのもと、人の発達プロセスや発達メカニズムを解明する学問であり、発達心理学という心理学領域の一部に位置付けられます。

オーセンティックワークスさんのHPより

3-2. 成人発達理論の勉強をしていたときの気づき

「発達段階nの人は、発達段階n+1の人の気持ち(視座)は理解できない」

この文章を読んだときに、頭に雷が落ちたような衝撃がありました。
これ以降、山根自身を棚に上げた話を進めるのですが、僕自身は、あらゆるメンバーに対して「時間をかけて話せば理解してもらえる」と思って接するようにしています。ただ、うまく伝わらなかったり、もしくはメンバーが自分の話を理解していないのに、うなずいてくれていたり、理解していないけど信じて実行してもらったり、などが発生していました。「社長の言う事はよくわからない」これはどの会社でも幾分か発生しているのではないでしょうか?社長が偉い、社長の視点が高いと言う話をしたいわけではなくて、これは社長が丁寧に社員に伝えていないから、もしくは人事組織の活動をきちんと一本の線につないでできていないから、そう解釈を僕はしていました。

ただ、そうではないと感じたのです。
また、もう一つ僕がなんとなくモヤモヤしていた答えがつながった感覚を覚えました。何かと言うと、CHROの方々とお話しする機会を持ったときに、半分(以上)くらいの方々が、HRを主軸に置いたキャリアを積んでいらっしゃらない方であること。どういうことかと言うとCHROは「HR」と言う単語が内包していることからわかるように、「最高人事責任者」です。ただ、人事経験が薄い方がこの役職についていることもよく目にします。これはなぜ発生するのか?僕の答えとしては「事業サイドでの経験がある方の方が、事業サイドの人の気持ちがわかるのではないか」だと思っていました。ただ、そうではないのでは?と感じることがありました。

僕の現在の答えとしては、「HRの経験があるかないかは別として、CHROもしくは人事組織に携わる方々は、発達段階が高い人でなければならない」と言うこと。ベストなのは発達段階5であること。つまり自己変容型知性を持っている方が、CHROもしくは人事組織のリードをするべきだと思っています。何故かと言うと、発達段階4 (自己主導型知性)の方が人事組織をリードした場合は、その知性を打ち出した組織になることは間違いありません。自己主導型知性は、下記の特徴を持ちます。

成人発達理論とは?大人でも成長を続けることはできる

「山根を棚にあげますが」と前述しましたが、上記の自己主導型知性の特徴について、少し前の自分の説明書のように思ってしまいます。おそらく2017年から2022年頃まで山根と共に仕事をしていただいたことがある方は、ピンと来ていただけるのではないかなと思います。
もし仮に発達段階4(自己主導型知性)の方が人事組織をリードしていた場合は、自己主導型知性が「過ごしやすいような」組織になると思います。自己主導型知性の特徴は前述した通りなのですが、発達段階3 (環境順応型知性)とは、そこまで相性が良いわけではありません。そのため、割と前のめりな組織になると思います。また、仮に発達段階3の「環境順応型知性」の方が人事組織をリードしていたとしましょう。この場合は、割とマイルドな組織になると思います。

成人発達理論とは?大人でも成長を続けることはできる

前述した自己主導型知性と、こちらの環境順応型知性の特徴を比較いただければと思うのですが、「全く別」と言っても過言ではありません。よくベンチャーの経営者クラスがこんなことを言います。「人事組織系の活動することにより整えていく事は賛成なのだが、守りの施策が多く会社が前進するイメージが、そこまで湧いていない」この言葉の裏に隠されているのは、

「自己主導型知性である自分(社長)からすると、環境順応型知性のメンバーがリード(提案)した人事組織の仕組みにおいて、守りの施策が多く、会社が前進するイメージが、そこまで湧いていない」

このように変換できると感じています。ただ、この言葉自体を環境順応型知性のメンバーは心底納得してアクションを起こすことはできません。なぜならば、「発達段階nの人は、発達段階n+1の人の気持ち(視座)は理解できない」からです。ここで、こんな質問をいただくかもしれません。

「ただ、人事組織を担当する人事メンバーからすると、経営陣の意見をそのまま形にすれば完成するのではないか?」

その通りではあります。
ただ、これは大きな問題が発生します。次項で説明いたします。


4. 人事組織に携わる人事メンバーから社員への伝達について

ここが大きな問題だと個人的には思っています。
前項で説明した通り、発達段階によって物事に対しての理解のギャップが発生すると説明しました。また、人事組織を担当するメンバーが経営陣の意見を反映させて完成すれば良い、という話もしました。ただ、いざ会社が大きくなると、その企業の人事組織にまつわる「思想」を、人事組織をリードするメンバーが会社のメンバーに対してしなければならなくなります。

ここで大きな問題が発生すると思っています。

自分の言葉で語れないのです。なぜならば、本質的に人事組織の作成側の「思想」を完全に理解することは難しいからです。そもそも、その知性まで達していないため、納得することや理解することができません。強引に理解しようとしても、「わかりあえない」項目が存在しており、歪みが発生します。少しネガティブに表現してしまいましたが、本ブログでお伝えしたいのは「採用業務」と「人事組織業務」における筋肉が大きく異なることです。

本ブログをここまでお読みいただいた方はご理解いただいたかもしれませんが、人事組織業務に携わる人は、発達段階5でなければ、まずもって経営陣の言っていることの理解ができません。そして、発達段階4 (自己主導型知性)のメンバーが周りにいた場合、おそらく信頼をしていただく事はできないかもしれません。「1人のメンバー」としては信頼してもらえるかもしれませんが、「組織」をリードすると言う立場においての信頼と言う点においては、役不足かもしれません。
ではどうすれば良いのか?その答えの1つを、僕なりに算出しています。


5. 人事組織をリードする立場だからこそ「自己変容型知性」であることが理想なのではないか?

今から記載する事は、僕の拙い社会人経験、理解でお話ししますので、正解を書いているわけではなく、2024年5月段階の山根の意見だと思ってご覧ください。発達段階5(自己変容型知性)は、発達段階3と発達段階4の気持ちを理解しています。聞いたところによると、発達段階6が存在するようですが、本ブログではその説明を割愛します。
話を戻して、その企業の全社員をリードする立場である「人事組織」を担当する上で、自己変容型知性であれば、うまく歪みを作ることなく、組織を回すことができると感じています。どんな人ともうまくコミュニケーションが取れると思います。

※「どんな人ともうまくコミュニケーションを取れると思う」と言うのは、「どんな人とも不都合なくコミュニケーションが取れる」ということではなく、「どんな人とも齟齬なくコミュニケーションが取れる」ということです。

皆さまもご経験をお持ちかと思うのですが、レベルが高い方の話について、「何となく理解したつもりだけど、何を言いたかったのだろう?」と感じる理由はさまざまあるかと思うのですが、その正体がこれだと思います。

本ブログのタイトルに「パラダイムシフト」と記載しました。この「パラダイムシフト」の意味は、「人事組織系の業務においては、努力/学習しても身に付けることができない範囲が存在する。一般的な水平的スキルについての話を凌駕している」と言うことをお伝えしたいと思って、あえてパラダイムシフトと言う言葉を入れました。ここで言う「努力/学習しても身に付かない範囲が広い」について、イメージが湧きますでしょうか?これは水平的スキルと垂直的スキルに分けて説明するとわかりやすいです。

水平的スキルは「学習すれば身に付くいわゆる業務スキル」を指します。
垂直的スキルは「心の成長」「人間的な器」を指します。

垂直的スキルの成長は「深い自己喪失」が生まれなければ成し遂げることができない、と言われています。

自己喪失については上記のブログをご覧いただければと思うのですが、実は本ブログの「1」に記載した内容についての理解がなければ、成し遂げる事は不可能です。そして「理解」だけでは難しく、「習得」していなくてはなりません。
もう少し詳しい話を知りたい方は、こちらのブログの「2」についてご覧いただけると良いかと思います。


6. 結局、採用業務と人事組織業務は使う筋肉はどのように異なるのか?

前項で記載をした内容が回答としては近しいです。採用スキルは努力や学習で積むことができるが、人事組織への本質的なスキルは、努力や学習で積むことが「難しい」類であると思っています。言い換えると、人事組織へのスキルを身に付けるための「土台」として、自身の発達段階を上げることがポイントであると思っています。そんな中、「マネージメント育成」「人事制度構築」など一定の「型」が存在する項目もあります。この2つの項目については、フレームワークが存在するため、そのフレームワークを覚えること自体には賛成です。ただ、そのフレームワークを用いて育成や設計をした「後」における「組織設計」については、発達段階が重要であることは事実だと思います。

長文になってしまいましたので、本ブログはこのあたりで締めたいと思います。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
※当社の採用/人事組織系支援にご興味がある方はお気軽にお声掛けください。

今後も採用/人事系のアウトプットを続けていきます。
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