「キャリアの志向性」に即したインサイト設計について
「突き詰めるところ、キャリアの志向性は13に分類できるのでは?」
そんなことに気づいたのは本当に最近のことでした。きっかけはスカウトメールの返信率をどう上げるのか?という長年の課題を追求していたときでした。
「この求職者さまは、おそらくマネジメント志向があると思うんだよね」 「いや、業務の専門性を深めたいと思っているのではないかな」 そんな会話をしている際に「いや、それも一理あるな。むしろ、キャリアの方向性は何種類あるのか?」という問いに直面しました。
本ブログでは、ポテンシャライトがたどり着いた13のキャリアの方向性についてご紹介したいと思います。
0. インサイトとは?
ポテンシャライトでは、インサイトを
「人の隠れた心理」
と定義しています。ポテンシャライトでインサイトを言及するタイミングとしては、
です。
1. TIMとは
上記のことを指しています。採用広報の記事作成や求人作成時には上記を意識して実施すると、ターゲットに訴求できるメッセージ作成が可能です。
TIMの話をなぜ出したかというと、前項で記載した「インサイト」の種類の1つが「キャリアの方向性」であることを認識していただきたかったからです。キャリアの方向性は、転職理由になり得ると思っているのですが、ただインサイトはキャリアの方向性だけではありません。例えば、「職種」や「業態」、「年齢層」なども存在します。
また別のブログでご紹介したいと思っていますが、他にもインサイトの種類があります。その一部のご紹介をしているブログを貼り付けますので、ご参考までにご覧ください。
本ブログは「キャリアの方向性」にスポットを当てて書き進めていきます。
2. キャリアの方向性とは?(概要)
その名の通り、皆さんがキャリアを進めていくための方向性のことです。キャリアの方向性は3通りあると思っており、説明していきたいと思います。
2-1. 前進させるキャリア
文字通り「前進」をさせるキャリアのことです。おそらく20代の方は本項のみを考えていらっしゃる方が多いかと思います。
「マネジメントをしたい」 「専門性を身に付けたい」 「他の職種にチャレンジをしたい」 「他の事業にチャレンジをしたい」 「もっと大規模なプロジェクトに関わりたい」
という類のキャリアの方向性です。これはしかるべきして発生する志向性だと思っていますし、むしろこの志向性は僕もすごく好きです。
2-2. 減速させるキャリア
文字通り「減速」をさせるキャリアのことです。個人的にも20代の頃は全くこれを考えたことがなかったのですが、もう少し詳しく言うと1年ほど前までこのことは全く考えていませんでした。ただ、当社のメンバーでもライフイベントが増えてきており、ご両親の介護だったり、子供が生まれる、体調が若い頃とは異なる、などの事象により、あえて「減速」をしてキャリアを構築したいという意思を持つメンバーが少しずつ増えてきました。個人的には共感をする部分もあり、ただ仕事の時間はアグレッシブに取り組んでいきたいけれども、時間の制約が出てくる、という類のパターンだったりします。
「今マネジメントについているけれども、メンバークラスとして仕事をしていきたい」 「現場の業務が専門性が深すぎるので、もう少し浅くしたい」 「今何でも屋さんのようになってしまっているので、業務の範囲を狭くしたい」 「携わっている事業が多すぎるので、1つに集中していきたい」 「ダイナミックなプロジェクトが嬉しいけれども、もう少し小規模のプロジェクトを回していきたい」
このような類のキャリアです。
2-3. その他
その他については多数ありますが、例えば「社会貢献したい」「報酬を上げたい」「自己実現をしたい」という類です。「リモート勤務をしたい」というリモートワークの考え方も、本項目のキャリアの方向性に該当すると思います。もちろん、リモート勤務+前進をさせるキャリア・減速させるキャリアという考え方もあります。
3. キャリアの方向性とは?(具体的)
では、本項目のタイトルでもある「キャリアの方向性の13パターン」について説明していきたいと思います。
3-1. 縦(高さ)のキャリアアップ
マネジメント職や役職の昇進を目指す、リーダーシップを発揮するキャリアです。
いわゆる「マネジメント志向」という類で、自分がこれまで身に付けたスキルを異なるメンバーに伝達していきたいタイプです。
転職理由は「より高い役職や責任を担い、リーダーシップを発揮したい」という内容であることが多く、現職において何かしらの理由でマネジメントレイヤーに就くことが難しいこともあります。
価値観のキーワードは「リーダーシップ、成長、影響力」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
3-2. 縦(深さ)のキャリアアップ
スペシャリストとしての専門性の深化を目指すキャリアです。
いわゆる「スペシャリスト志向」という類で、専門性を極めたいタイプです。
転職理由は「専門性をさらに深化させ、技術や知識で差別化を図りたい」という内容であることが多く、現職において専門性のさらなる発展が望めない場合に変更を求めることがあります。
価値観のキーワードは「専門性、精密性、スキルアップ」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
3-3. 横(幅/周辺職種)のキャリアアップ
関連する周辺職種への知識拡張を目指すジェネラリスト型キャリアです。
いわゆる「ジェネラリスト志向」という類で、多様な知識とスキルを持つことを望むタイプです。
転職理由は「他職種への知識拡張を図り、広い視野で活躍したい」という内容であることが多く、現職において異なる分野への挑戦が困難な場合に変更を求めます。
価値観のキーワードは「多様性、適応性、広範囲の知識」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
3-4. 横(幅/新規事業・スタートアップ)のキャリアアップ
新規事業やスタートアップに関わり、創造と挑戦を楽しむキャリアです。
いわゆる「チャレンジ志向」という類で、新しいことへの積極的な挑戦を求めるタイプです。
転職理由は「スタートアップや新規事業での役割を求め、革新的なプロジェクトに関与したい」という内容であることが多く、現職において新しい挑戦の機会が限られている場合に変更を求めます。
価値観のキーワードは「イノベーション、チャレンジ、ダイナミズム」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
3-5. 斜め(規模感・影響力)の拡大
大きな組織でインフルエンスを持ちたい、規模感を重視するキャリアです。
いわゆる「影響力志向」という類で、大規模な影響を与えることを求めるタイプです。
転職理由は「より大規模なプロジェクトに関わり、影響力を拡大したい」という内容であることが多く、現職においてはそのような役割が限られている場合に変更を求めます。
価値観のキーワードは「アンビション、グローバル、ダイナミズム」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
3-6. 縦(高さ)を低くする
マネジメントや上層部の役割を抑え、もっと具体的な作業に集中するキャリアです。
いわゆる「実務志向」という類で、管理職よりも専門的な仕事に関与したいタイプです。
転職理由は「マネジメントの責任から解放され、専門性に集中したい」という内容であることが多く、現職においてマネジメント業務が重く感じる場合に変更を求めます。
価値観のキーワードは「エキスパート、プロフェッショナリズム、集中」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
3-7. 縦(深さ)を浅くする
専門性の範囲を広げ、幅広い知識を身につけるキャリアです。
いわゆる「多角志向」という類で、一つの分野に留まらず様々な技能を習得したいタイプです。
転職理由は「専門性を広げ、幅広い知識が求められる職へと移行したい」という内容であることが多く、現職においてはそのような機会が限られている場合に変更を求めます。
価値観のキーワードは「柔軟性、適応性、オールラウンダー」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
3-8. 横(幅/周辺職種)を限定的にする
特定の周辺職種を深く掘り下げ、そのエキスパートとしての役割を担うキャリアです。
いわゆる「専門家志向」という類で、特定の技術や業界において高いレベルの知識を持つことを求めるタイプです。
転職理由は「特定の周辺職種のプロフェッショナルとして、専門性が高い分野で活躍したい」という内容であることが多く、現職においてはそのような専門性を深める機会が限られている場合に変更を求めます。
価値観のキーワードは「専門性、精密さ、専門家」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
3-9. 横(幅/新規事業・スタートアップから離れる)
スタートアップや新規事業の環境を離れ、より安定した業界や職に転職するキャリアです。
いわゆる「安定志向」という類で、定型的な業務と安定した職務環境を求めるタイプです。
転職理由は「スタートアップ環境の不安定さから離れ、安定した企業で働きたい」という内容であることが多く、現職において不安定な環境が負担となっている場合に変更を求めます。
価値観のキーワードは「安定、確実性、安心感」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
3-10. 斜め(規模感・影響力)を減少させる
大きな組織やプロジェクトから離れ、コンパクトな環境で働くキャリアです。
いわゆる「小規模志向」という類で、より個人的な対応が可能な小さなチームやプロジェクトを好むタイプです。
転職理由は「大規模なプレッシャーや責任から解放され、より実質的な業務に集中したい」という内容であることが多く、現職において大きな組織の複雑さが負担となっている場合に変更を求めます。
価値観のキーワードは「集中、効率、人間関係」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
3-11. 自己実現を求めるキャリア
自己の価値観に基づいて、自己実現が可能な仕事を求めるキャリアです。
いわゆる「自己実現志向」という類で、個人の成長と満足を重視するタイプです。
転職理由は「自分自身のスキルや才能を活かし、より満足のいく業務に従事したい」という内容であることが多く、現職においては自己の能力を十分に発揮できていないと感じる場合に変更を求めます。
価値観のキーワードは「自己実現、才能、個性」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
3-12. ライフステージに合わせたキャリア
ライフステージの変化に応じて、働き方を調整するキャリアです。
いわゆる「バランス志向」という類で、プライベートの時間や家族との時間を重視するタイプです。
転職理由は「家庭の状況や個人的な事情に合わせて、働き方を調整したい」という内容であることが多く、現職においてはワークライフバランスの取りづらさが問題となっている場合に変更を求めます。
価値観のキーワードは「バランス、柔軟性、家庭」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
3-13. 報酬(給与)向上を目指すキャリア
経済的報酬の向上を主な目的とするキャリアです。
いわゆる「報酬志向」という類で、高い給与や利益を得ることを優先するタイプです。
転職理由は「より良い給与条件や金銭的な報酬を求めて」という内容であることが多く、現職において経済的な報酬が満足のいくレベルでない場合に変更を求めます。
価値観のキーワードは「経済的安定、利益、報酬」。このあたりの文言に反応することが多いと感じています。
4. 本ブログの内容をどのように採用活動に活かしていくのか?
「本ポジションの魅力は、様々な職務内容に携わることができることです!」
このような求人内容におけるPRがあったとしましょう。個人的にもすごく魅力的な内容だと思います。ただ、このPRは、前項目で記載したどのパターンに該当しますでしょうか?おそらく、「3-3. 横(幅/周辺職種)のキャリアアップ」であることがご理解いただけるかと思います。
この13のパターンにおいて、求職者の志向性が「重複」することもあるかもしれませんが、その話は一旦置いておいて、この「3-3. 横(幅/周辺職種)のキャリアアップ」に該当する方が世の中の何%に該当するのか?という話です。
もしかしたら、御社がどうしても採用したい人材が、別のキャリアの方向性である可能性もありますし、ただ御社としては別のキャリアの方向性の提案をしてしまっている、なんてことも十分にあり得るかと思います。
少し話を変えましょう。
3年ほど前に、こんなブログを書きました。このブログは「キャリアシフト」という類であり、本ブログでご紹介をしている13のキャリアの方向性の中でいうと、「3-4. 横(幅/新規事業・スタートアップ)のキャリアアップ」にやや近い内容になります。
僕も採用支援の仕事をして長くなりましたが、採用企業側の意見を聞いた際に、違和感を覚えることがあります。
「山根さん、メルカリで働いているクラスのエンジニアを採用したいのです」
その意見についてはぜひ叶えるべく精一杯支援させていただければと思うのですが、例えばメルカリでバックエンドエンジニアで働いていた方に対して、御社のバックエンドエンジニアの求人でスカウトメールをお送りしたとしましょう。この場合、13のキャリアの方向性のパターンに何も該当しない場合もあります。もしかしたら、「社会貢献をしたい」「自己実現をしたい」「報酬を上げたい」というバリュープロポジションを得ることができるかもしれませんが、バックエンドエンジニアの方に対してバックエンドエンジニアの求人でスカウトメールをお送りする際に、何かしらのキャリアの方向性に合致しなければ転職をする意味がないです。
では、御社の採用活動において、キャリアの方向性×バリュープロポジションについては、何を打ち出していくのか?については追求していくべきだと思っています。
👆こちらは参考程度にご覧ください。
最後に
皆さんいかがでしたでしょうか。
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