【財務分析 Vol.35】 コメダ珈琲店の「コーヒー大戦争の勝者」

すらまっぱぎ!うっちーです(@Life_is_UpToYou)
インドネシアからお送りいたします。

このブログでは、"当たりまえ"を破壊して
新しい"当たりまえ"を作った会社を、主なモデルとして取り上げています。
テーマは"Think Different"です。(Apple)

読んでいただいた方が少しでも、ビジネスモデルのおもしろさとか、
会社の基盤であり結果を表す数字を、楽しいものと思ってもらえたら嬉しいです。

財務諸表をみればその会社がわかる。
Vol.35 『コメダのビジネスモデルとコーヒー比較』

理念:「私たちは珈琲を大切にする心からを通してお客様にくつろぐ、いちばんいいところを提供します」
ビジネスカテゴリー:喫茶店

▶フランチャイズの活用

いままでこのブログ内にも、たくさんのフランチャイズ活用例を見てきました。セブンイレブンの拡大戦略や、KUMONの隙間を使った教育FC戦略など。今回はコメダ珈琲による戦略を覗いてみたいと思います。

以前のブログ内にStarbucksについても取り上げました。Starbucksの戦略は「マーケティング・ブランディング」を真骨頂として、逆にFC店展開をしないことで理念に沿ったサービスを一貫しておこなうことを可能にしました。詳しくは、「Vol.22」をご参照ください。

FCのメリットは簡単に二つ上げるならば、『店舗拡大』と『収益性向上』にあると考えます。

反対にデメリットは、『理念のブレ』を起こすことと定義します。この理由はFCオーナーが稼ぐために利益至上主義となることに起因して、「理念より利益」となるからです。

▶コメダ流フランチャイズ術

このフランチャイズの利用により引き起こす効果をうまく掛け合わせたのがコメダ流フランチャイズと言えるでしょう。

【FC展開】 × 【理念の浸透】

このクロスを引き起こすためにおこなっている施策が三つあります。

①商材の集中化

コメダの提供する商品は、「コーヒー類いの飲料+パン中心の食料」となっています。この集中化がもたらす利点は、店舗の分類を『喫茶店』にできることにあります。ポイントは、『飲食店』ではないということです。

飲食店の分類にて事業をおこなうためには、ライセンスの取得や調理師免許所持者の雇用などの制限が発生します。しかし喫茶店であれば、そういった規制がないため、フランチャイズ展開を容易にするという利点があります。

また集中化によるバリュエーション変化をもたらすことで、ロスの削減にもつながっています。

②自社生産体制

集中化した商品は、そのほとんどを本部にて生産します。そのため、コーヒーもパンも店舗では、特殊やプラスで必要となる工程をなくして提供することだけとなります。これはマクドナルドの標準化と似ているが微妙に違う商品の均一化を可能としています。

①+②によって、飲食未経験者でもスタートしやすいことを実現しています。また調理に手間がかからない分、サービスに力を入れられるという事を示しています。

③FC利用料の定額化

初期費用を高めに設定する代わりに、FCの利用料を定額としています。これは、他の事業が展開するような”当たり前”のFCが適用する”売上に比例したロイヤリティの支払い”とは異なる方策となります。

そうすることで、初期費用はある人が展開する=余裕のある人が副業的に始めることができる。⇒定額の費用と同様に定額の利益を稼ぐことを意識する。売上利益にこだわりをもっておこなうことよりも、展開するサービスに力をいれることが多くなる。という思考に導くことができるんですね。理念の通り”いちばんいいところ”となるわけです。

①+②に③が加わることで、【FC展開(始めやすいこと)+理念の浸透】を実現しています。

▶コーヒー会社財務比較

そんな私、コーヒーが大好きです。体が刺激に弱いので体質的にはあってないんでしょうが、ブラックコーヒーは毎日飲みたい人です。ということで、財務的な視点から、何社か比べてみたいと思います。

【コメダ珈琲】

収益性 ★★★★★
安全性 ★★★
生産性 ★★
成長性 ★★★

【ドトール】

収益性 ★★★
安全性 ★★★★
生産性 ★★★
成長性 ★★★

【ルノアール】

収益性 ★★
安全性 ★★★
生産性 ★★★★
成長性 ★★★★

【横並び】

こうして比較してみると、コメダの異質性がわかると思います。まずは資金の調達にて積極的に他人資本を活用している点。他の二社がレバレッジ1%なのに対して、80%となっています。

資産項目をみると、そうした調達資金を営業債権やのれんなどの項目に投資していることがわかる。そのため2社に比べ資産が膨らみ、総資産回転率は唯一の1を切っている。

にも拘わらず、収益性の%は圧倒している。規模は2倍近くあるが利益の額はドトールと同等という驚異的な数値であることがわかる。

FCを活かした固定費の削減が、粗利80%越えという超付加価値のルノアールとの大きな違いだろう。


この結果を見ると、どういう価値を提供するか、そしてそれを徹底しておこなうためにはどういう仕組みが必要になるかといった経営のセンスが前面に出ているように感じる。

また「負債はない方がいい」や、「回転率は高い方がいい」といった指標ベースでは測れない部分が多いにあることも立証している。


~まとめ~

コメダを取り上げたけど、実は行ったことが一度もないので、日本に帰った際は行こうと決心しました。カフェが好きで休みの日は一日入り浸る生活をしていますので、どっちかといえば「ゆったりできる環境」を先行しているので、理念を感じ取ることができると期待しています。わら

”何において価値”をなすか。これがとても大切だと再認識することができました。


過去の資料である財務諸表から結果を読み取り、その原因を考え、要因分析し将来の施策を考えると、その企業の動向をつかめるようになります。

一緒に財務の観点から物事を把握できるよう頑張りましょう!

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参考

財務分析項目について下記サイトがすごく便利です!是非活用してみてください。

財務諸表ハック|各種企業財務チャート、複数社比較も簡単にできるXBRL財務分析ツール
財務諸表ハックは、XBRLをベースに企業財務情報を財務分析チャート、帳票に展開するWebアプリです。
www.tukuttemiru.biz

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