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追いかける、夢。

好きなことを続けていくのが年々辛くなるのはなんでなんだろうな。
筆をとることも、折ることも、今も私には怖いよ。

気づいたらもう何年も前の話になっちゃうんだけど、一度仕事を辞めてから定職にも就かず、細々とアルバイトで食い繋ぎながら絵を描いて、その日1日分の食費くらいの金額で極たまに絵が売れて、その日は好きでもないお酒飲んで浮かれちゃうくらい嬉しかったっけ。
嬉しいことがあったら酒飲んでもいいって、大人の悪習だな。

あれから数年経って、正社員でなくとも週5で恐る恐る仕事に行くようになって、大学の頃夢だった学芸員の職業に就いた。
絵画の中に囲まれて仕事をするのは本当に幸せだった。
鍵当番で一人展示室の中を点検しながら歩くのは、幸せすぎてよくひとりでこっそり泣いてたっけ。

憧れていた仕事をやっと掴んで、自分の知識の足りなさを悔やみ通信大学に入り直し、非正規でも得られるものはできるだけ手に入れたくて、日中仕事して夜は通信大学の勉強し、
頑張りたくて、
もっかい走りたくて、
走りまくったら適応障害が再発し、
仕事に行く足取りが重くてお腹痛くて毎日泣いて、
好きなことにすら一生懸命に向き合えない自分に本当嫌気が刺した。

この職業に、喉から手が出るほどなりたいと思っている人がたくさんいるのを知ってる。
再就職した時のたくさんの「おめでとう」「夢を叶えたね」って言ってくれた人たちの笑顔を覚えてる。
大好きな仕事をまた手放すのがしんどい。続けるのもしんどい。
傍目から結婚による寿退社で幸せそうに見えるその環境もまた逃げてるようでしんどさを助長させていく。

好きなものは日々変化する。
大好きな職と勉強の中で、絵を描く時間が確実に削られている現実に目を背けていた。きみの絵が好きだと待ってくれている人たちの期待と優しさがプレッシャーになった。
好きな人や趣味を増やしたら増やした分、今までの「好き」に費やしていた時間が削られる。

でも大事なんだ、全部。
今まで好きだったことも、これから好きになっていくものも、全部手放したくないんだよ。わがままでいたい。

学芸員も大好きだった。もう一度フルタイムで仕事に戻れたことも、それが学生の頃から夢だった職業であったことも、幸せすぎるくらい幸せだった。
だからこそ、今は少しだけ距離を置きたい。

心を壊してまで続けられない。
というか嫌いにならないために今は少しだけ離れたい。
そしてまた絵を描きたい。いつか本を出したい。
数年前にぼちぼち始めたへっぽこギター、今年はもう少し上達したい。

好きなものを続けるために、休憩が必要な時期に来ていたんだと、自分に言い聞かせる。今は言い訳でもいいんだ。

描いた絵が売れたって、好きな職業に就いたって、全然夢が終わらない。
追いかける、夢。

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