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仕事 と 友人

先日、久しぶりの友人と食事をした。

月の半分は出張で新幹線や飛行機ばかりの彼女は、数年前まで同僚だった。

中途入社で今の会社に入り、当初なかなかうまく仕事に携われず落ち込んでいた私に、手を差し伸べてくれたのが彼女だった。

入社してまず会社から課せられたのは、チームビルディングとマネージメント。一見うまく行ってそうに見える社内が、実ははちゃめちゃなのはすぐに見て取れた。しかし、いわば大縄跳びをぐるんぐるん回して楽しそうにはしゃぐその姿を見ながら、どのタイミングでその輪に入ったらいいかわからない、そんな心持ちになっていった。別段、皆も喜んで和に入れようとはしない。次第に「怖い」という感情も芽生えてしまう、そんな毎日。

怖がってしまうと当然、いつまでたっても飛び込めず、しかし仕事上リーダーシップを取らねばならず、形だけのというには悔しいが、思うようにいかない日々が続いていた。

うつむくと、ふいに涙がこぼれそうだったある日の19時ごろ、その人は文具を取りに私の席の近くまでやってきて、体育座りをした。

「なんか…疲れますよね」

と静かに笑い、自席に戻っていった。

それからにわかに打ち解けていき、仕事帰りに食事して帰ることもあり、それまで仕事内容以外ほとんど無駄口もきけずに誰とも喋らないような日々があった中に、やっと希望が見えるようになった。

あとから、もっと早くに声かけてくれてもよかったのでは、なんて贅沢にも思ったけれど
彼女はクールで仕事ができる、見た目は強い感じだけれども実際は知れば知るほどとても繊細な人だったから、彼女なりの1番ベストな時にえいっと声をかけてかけてくれたのだろう。

他部署の部長だった彼女と仲良くなったおかげで、その後仕事は劇的にうまくいくようになった。そして自分にも自信が少しずつ戻っていった。

そうしたある日、突然彼女が会社を辞めることになった。よく気にしてくれて、助けの手を差し伸べてくれた人がいなくなることに一抹の寂しさはあったけれど、根性あるその人の次の展開がとても楽しみだったし、違う場所にいてもきっと仲良くできると思っていたので、英断を祝福した。

そして今、その時から数年経ち、
間にちょっとした喧嘩もしたりしたけれど、苦しい時を知っている人が今も仲良くしてくれているというのはなんて心強いことだろうと、有り難さを噛み締めている。

日本全国、ものづくりの職人さんたちの声に耳を傾けながら、素晴らしい仕事をしている彼女から、時折手紙が送られてくる。

さっと気分で書いたような、あぁ、こういう風に書きたいんだよなぁ と思わせてくれる、手紙。

助けてくれただけでは飽き足らず、素敵な手紙までくれるとは。

手紙を書く人は、やはり素敵な人が多いな と思う。自分調べでしかないけれど、やっぱりな。



回想していたら、先日のお礼を手紙で送りたくなったので、今夜はこの辺で。 

それでは、また。


#手紙  #エッセイ #仕事 #リーダーシップ 

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