俳句のいさらゐ ◬∬◬ 松尾芭蕉『奥の細道』その二〇。「あつみ山や吹浦かけて夕すゞみ」
「あつみ山」は、漢字表記では温海山。わかった上でひらがな表記にしているはずだ。その理由は、「温海山」とすれば、あとの俳句を「暑き」と始めているので、「温」「暑」が字面的にひっかかりを感じさせるために、あえてあとの俳句の「暑き」と音で重なるように「あつみ」と表記している。
また、そうすることで、「あつみ山」が「暑き日」を呼び起こす効果を意図し、翻って「あつみ山」の字句にも、暑さのイメージがこもっているように感じ取れるという効果もある。
さらには、「あつみ山」の《 あつみ 》は