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俳句のいさらゐ

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松尾芭蕉の俳句が、上質のエピグラム(寸鉄詩)であることを探ります。
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#松尾芭蕉

俳句のいさらゐ ◬∬◬ 松尾芭蕉『奥の細道』その二〇。「あつみ山や吹浦かけて夕すゞ…

「あつみ山」は、漢字表記では温海山。わかった上でひらがな表記にしているはずだ。その理由は…

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俳句のいさらゐ ◈∔◈ 松尾芭蕉『奥の細道』その十九。「笠嶋はいづこさ月のぬかり道…

芭蕉が行きたかった笠嶋とは、平安朝 ( 紫式部と同時代人 ) の一頭抜きん出た歌人、藤原実方ゆ…

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俳句のいさらゐ ▧⊛▧ 松尾芭蕉『奥の細道』その十八。「笈も太刀も五月にかざれ紙幟…

多くの解説書では、名吟とも評されず、深く触れられてはいない俳句である。前文から俳句の意味…

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俳句のいさらゐ ⋓◍⋓ 松尾芭蕉『奥の細道』その十七。「一家に遊女もねたり萩と月」

「一家に遊女もねたり萩と月」                      芭蕉『奥の細道』…

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俳句のいさらゐ ◬👁◬ 松尾芭蕉『奥の細道』その十六。「涼しさを我宿にしてねまる也…

今回は、尾花沢での芭蕉と曽良の俳句を解釈する。 先ず、芭蕉の最初の俳句「涼しさを我宿にし…

瀬戸風 凪
2週間前
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俳句のいさらゐ ■⇋■ 松尾芭蕉『奥の細道』その十五。「行ゝ(ゆきゆき)て たふれ伏…

この曽良の俳句で、おやと目に止まるのは、「萩の原」である。なぜ、倒れ伏すことがあろうとも…

瀬戸風 凪
2週間前
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俳句のいさらゐ ◉↹◉ 松尾芭蕉『奥の細道』その十四。「波こえぬ契ありてやみさごの巣」(曽良)

曽良のこの俳句を、『奥の細道』象潟の段の掉尾に置いた意味を考えていて、第一句である芭蕉の吟「象潟や雨に西施がねぶの花」に響かせていることに気づいた。 その「象潟や 雨に西施が ねぶの花」の方から見よう。 俳句に詠まれている西施とはこういう女性だ。越王・句践( こうせん )が、実力で及ばない敵、呉王・夫差( ふさ )の力を削ぐため、絶世の美女を贈り、その色香の虜にして政治を疎かにさせ、臣下との軋轢 ( あつれき ) を生じさせる策を企てた。 その企 ( たくら ) みは成功し

俳句のいさらゐ・物語仕様 ✧☽✧「松尾芭蕉/影法師①」

🎬 以下の文は、「俳句のゐさらい  松尾芭蕉『続猿蓑』より。「埋火 ( うずみび ) や壁には客…

瀬戸風 凪
3週間前
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俳句のいさらゐ ❍✡❍ 松尾芭蕉『奥の細道』その十三。「あかゝと日は難面もあきの…

🟡 あえて同じ季語の句を同じ段に並べた◈ あかゝと日は難面(つれなく)もあきの風  芭蕉  …

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ ❂◙❂ 松尾芭蕉『奥の細道』その十二。「野を横に馬牽(ひき)むけよほ…

🔶「走馬看花聞香下馬」の思い「野を横に馬牽むけよほとゝぎす」 この句から先ず連想するのが…

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ ✿◎✿ 松尾芭蕉『奥の細道』その十一。時間の奥行きを詠む

「奥の細道」の中の、名吟の特徴として、 🔷 激しいもの、苦難を強いるもの、心を落ち着かせな…

瀬戸風 凪
3か月前
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俳句のいさらゐ ◍◪◍ 松尾芭蕉『奥の細道』その十。「しほらしき名や小松吹萩すゝき…

🟡 二句一対の構成の句ではないか『奥の細道』で、7月24日に金沢を出て小松に着き、7月26日…

瀬戸風 凪
4か月前
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俳句のいさらゐ ⊡▩⊡ 松尾芭蕉『奥の細道』その九。「あやめ草足に結(むすば)ん草鞋…

🟩 あやめは、草鞋の紺の染緒の見立てか?⦿あやめ草足に結 ( むすば ) ん草鞋 ( わらじ ) の…

瀬戸風 凪
4か月前
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俳句のいさらゐ ▰⋄▰ 松尾芭蕉『奥の細道』その八。「庭掃て出でばや寺に散柳」

🌀 曽良との別離の情が句の裏にある『奥の細道』の芭蕉の句は、おそらく自然詠の句の方が取り上げられることが多いだろう。しかし、ある人物を讃えたり偲んだりした句にも、句の裏には幾重もの意味が読み取れる深い思慮があって、さらりと通り過ぎるわけにはゆかない。 今回考察する「庭掃て出でばや寺に散柳」は、分類すれば自然詠になるが、この句は長き旅の道連れ曽良と別れたばかりの、芭蕉の寂しさを抜きにしては読み取れない句だと思う。 逆に言えば、曽良との別れが前日 ( 元禄2年8月5日 ) になけ