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俳句のいさらゐ

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松尾芭蕉の俳句が、上質のエピグラム(寸鉄詩)であることを探ります。
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俳句のいさらゐ ❁✣❁ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十七。「石山の石より白し秋の風」

「石山の石より白し秋の風」は、現在石川県小松市の那谷寺での吟。 『奥の細道』の旅のあと、…

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俳句のいさらゐ ◈✇◈ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十六。「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ…

「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ」をもって、『奥の細道』は閉じられる。先ずはこの俳句の技巧を見…

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俳句のいさらゐ ❀◌❀ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十五。「浪の間や小貝にまじる花の…

これは、私独自の見解だろうと思っているが、敦賀の種の浜で詠んだこの俳句は、象潟のおとない…

瀬戸風 凪
13日前
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俳句のいさらゐ ∔✴∔ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十四。「夏山に足駄を拝む首途 ( …

『奥の細道』の俳句の特徴として、物に魂がこもる、あるいは霊験が宿ると信じる思想が、かいま…

瀬戸風 凪
2週間前
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俳句のいさらゐ 🏳✍🏳 松尾芭蕉『奥の細道』その二十三。「蚤虱馬の尿 (ばり) する枕…

今回は、私の解釈の結論から言う。 この俳句の主題は、馬の尿の音である。よって、「尿」の読…

瀬戸風 凪
3週間前
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俳句のいさらゐ ∮⦿∮ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十二。「松島や鶴に身をかれほとと…

この俳句の「ほととぎす」の受け止め方には、異なる次の解釈が出来る。 一。 聞き止めたその…

瀬戸風 凪
3週間前
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俳句のいさらゐ ☬◙☬ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十一。「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」

湯殿山での吟、「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」は、さっと読み飛ばされてしまう俳句だろう。句の姿は伝統的に、端正に整っているから、つまらない俳句に見えて来る。 湯殿山神社を参拝した者は、掟として見たさまを語ることは許されない。今その秘儀を賜っているありがたさに涙がこぼれる、という意味だと諸本は解釈している。 しかし私には、そういう、説明に堕しかねないことを詠んでいるだけなのかという疑問が大いにわく。 その疑問を持って俳文の方を詠むと、参道の山道で遅桜の花に心を奪われたこと、その

俳句のいさらゐ ◬∬◬ 松尾芭蕉『奥の細道』その二〇。「あつみ山や吹浦かけて夕すゞ…

「あつみ山」は、漢字表記では温海山。わかった上でひらがな表記にしているはずだ。その理由は…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ◈∔◈ 松尾芭蕉『奥の細道』その十九。「笠嶋はいづこさ月のぬかり道…

芭蕉が行きたかった笠嶋とは、平安朝 ( 紫式部と同時代人 ) の一頭抜きん出た歌人、藤原実方ゆ…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ▧⊛▧ 松尾芭蕉『奥の細道』その十八。「笈も太刀も五月にかざれ紙幟…

多くの解説書では、名吟とも評されず、深く触れられてはいない俳句である。前文から俳句の意味…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ⋓◍⋓ 松尾芭蕉『奥の細道』その十七。「一家に遊女もねたり萩と月」

「一家に遊女もねたり萩と月」                      芭蕉『奥の細道』…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ◬👁◬ 松尾芭蕉『奥の細道』その十六。「涼しさを我宿にしてねまる也…

今回は、尾花沢での芭蕉と曽良の俳句を解釈する。 先ず、芭蕉の最初の俳句「涼しさを我宿にし…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ■⇋■ 松尾芭蕉『奥の細道』その十五。「行ゝ(ゆきゆき)て たふれ伏…

この曽良の俳句で、おやと目に止まるのは、「萩の原」である。なぜ、倒れ伏すことがあろうとも…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ◉↹◉ 松尾芭蕉『奥の細道』その十四。「波こえぬ契ありてやみさごの巣」(曽良)

曽良のこの俳句を、『奥の細道』象潟の段の掉尾に置いた意味を考えていて、第一句である芭蕉の吟「象潟や雨に西施がねぶの花」に響かせていることに気づいた。 その「象潟や 雨に西施が ねぶの花」の方から見よう。 俳句に詠まれている西施とはこういう女性だ。越王・句践( こうせん )が、実力で及ばない敵、呉王・夫差( ふさ )の力を削ぐため、絶世の美女を贈り、その色香の虜にして政治を疎かにさせ、臣下との軋轢 ( あつれき ) を生じさせる策を企てた。 その企 ( たくら ) みは成功し