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俳句のいさらゐ

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松尾芭蕉の俳句が、上質のエピグラム(寸鉄詩)であることを探ります。
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俳句のいさらゐ ❍✡❍ 松尾芭蕉『奥の細道』その十三。「あかゝと日は難面もあきの…

🟡 あえて同じ季語の句を同じ段に並べた◈ あかゝと日は難面(つれなく)もあきの風  芭蕉  …

瀬戸風 凪
4週間前
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俳句のいさらゐ ❂◙❂ 松尾芭蕉『奥の細道』その十二。「野を横に馬牽(ひき)むけよほ…

🔶「走馬看花聞香下馬」の思い「野を横に馬牽むけよほとゝぎす」 この句から先ず連想するのが…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ✿◎✿ 松尾芭蕉『奥の細道』その十一。時間の奥行きを詠む

「奥の細道」の中の、名吟の特徴として、 🔷 激しいもの、苦難を強いるもの、心を落ち着かせな…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ◍◪◍ 松尾芭蕉『奥の細道』その十。「しほらしき名や小松吹萩すゝき…

🟡 二句一対の構成の句ではないか『奥の細道』で、7月24日に金沢を出て小松に着き、7月26日…

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ ⊡▩⊡ 松尾芭蕉『奥の細道』その九。「あやめ草足に結(むすば)ん草鞋…

🟩 あやめは、草鞋の紺の染緒の見立てか?⦿あやめ草足に結 ( むすば ) ん草鞋 ( わらじ ) の…

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ ▰⋄▰ 松尾芭蕉『奥の細道』その八。「庭掃て出でばや寺に散柳」

🌀 曽良との別離の情が句の裏にある『奥の細道』の芭蕉の句は、おそらく自然詠の句の方が取り…

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ ▣◙▣ 松尾芭蕉『奥の細道』その七。「閑さや岩にしみ入る蝉の声」

❃ 目に映る光景を詠む一貫した創作姿勢❂ 蝉という言葉からつながってゆくもの 今回は、『奥の細道』より、現在の山形県、出羽国立石寺で詠まれた 閑 ( しづか ) さや岩にしみ入る蝉の声      の考察。 この句を、一文字ずつしげしげと見ていて、蝉の文字からふと蝉吟の名が浮かび、こう思った。 そうだ!かつて芭蕉が仕えた主君が、蝉吟という俳号を持っていて、芭蕉もともに俳諧を学びながら、この人は若くして亡くなった のだった ( ※ 芭蕉より2歳年上 25歳で病死 ) 、とすれば

俳句のいさらゐ ◙◈◙ 松尾芭蕉『奥の細道』その六。「世の人の見付ぬ花や軒の栗」

🌕 旅から帰ると芭蕉は隠棲した⦿ 幻住庵―隠棲を望んだ芭蕉 元禄2年、芭蕉は奥の細道の旅を…

瀬戸風 凪
3か月前
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俳句のいさらゐ ☆♦☆ 松尾芭蕉『奥の細道』その五。「荒海や佐渡によこたふ天の川」

以前の記事、「俳句のいさらゐ 松尾芭蕉『奥の細道』その三」の「象潟や雨に西施がねぶの花」…

瀬戸風 凪
3か月前
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俳句のいさらゐ ☪☪☪ 松尾芭蕉の陰の句、陽の句を比べ読み

第一幕 🎦 衣装を詠む句の陰と陽 ⭕ いでや我よき布着たり蝉衣    貞亨4年夏。芭蕉44…

瀬戸風 凪
9か月前
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俳句のいさらゐ ▩▩▩ 松尾芭蕉『奥の細道』その三。「象潟や雨に西施がねぶの花」

◩◩ 『奥の細道』には、童女や若い女性をイメージさせている句が以下のようにある。 草の戸も…

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俳句のいさらゐ ⊸⊸⊸ 松尾芭蕉『奥の細道』その二。

『奥の細道』は、自然観照の中に、人生の機微や人の心の核心が漉きこまれていて、何度読み直し…

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俳句のいさらゐ ⊷⊷ 松尾芭蕉『奥の細道』その一。

俳句の深い世界へ連れて行ってくれる創作者としては、松尾芭蕉の右に出る人はいないと思ってい…

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俳句のいさらゐ ⊝⊝⊝ 松尾芭蕉『猿蓑』より。「行く春を近江の人と惜しみける」

『猿蓑』に収めれた句は、『奥の細道』の句に現れている、非日常の大きな自然に、高らかで情の濃い精神性を見いだしている句風に比べてみると、市井の生活者であってなお、文雅を味わう意志を持ち続け、そこに生きる愉しみを感じ取る態度から生み出されていると言えるだろう。 その集の中から選んで、句の滋味を味わってみたい。標題の「いさらゐ」はちいさな泉のこと。にじみ出て来る思いを、そんな古語に喩えてみた。 芭蕉は、心の底では江戸を好んでいなかったのかという疑問が筆者にはある。 名声定まり江戸