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AB6IXの夜明けはすぐそこだ!

デビュー4周年を迎えた韓国のボーイズグループAB6IXが、7番目のエピソードとなるアルバム「THE FUTURE IS OURS:LOST」を携え、本日5月29日にカムバックしました!

コンセプトは、以下のように書かれています。

日の出の直前が一番暗い。きらびやかな光を訪れる旅の中で必然的に向き合った欲求不満と絶望。

AB6IXがより大きな跳躍のための熾烈な苦悩を盛り込んだ7番目のEP『THE FUTURE IS OURS : LOST』で連作アルバムの信号弾を打ち上げる。

大勢に従うよりもAB6IXだけのストーリーやメッセージを盛り込むことに焦点を当てた今回のアルバム『THE FUTURE IS OURS : LOST』は、アルバム名からも分かる通り「未来を自分たちのものにする」というAB6IXの抱負と、その過程で体験する避けられない喪失感や痛みをアルバムの中に溶かす。彼らが表現するこの傷はAB6IXの次のページのための成熟したピリオドであると同時に、夢を見て生きるこの時代のすべての人々が一緒に経験している不安を慰める奇跡のような共感を与える。

タワレコオンラインより引用

このアルバムは、AB6IXの新章前夜。
決して明るいエピソードではありませんが、かといって絶望的な感じはしない。
未来はきっと、彼らのものであり、同じように悩む私たちのものです。

AB6IXがこれまで培ってきた音楽の魅力はそのままに、
これまでにない強い感情を込めながらチャレンジングなことをしつつ、
それが彼らのスタイルとして昇華されたアルバムだと感じます。
いつもはメンバーが作詞・作曲した楽曲が多く収録されていますが、今回は少ないです。ここにも、いつもとは違った様子が見られます。

トラックリスト

トラックリストとファーストインプレッションなどをざっと紹介します。

BLAZE

アルバムの1曲目は、そのアルバムの大きなコンセプトを表していることが多いです。歌詞を翻訳してみたので、是非読んでみてください。

曲調はAB6IXらしいなという印象です。
BLAZEは、英語で「炎・強い輝き」という意味の他に「燃える怒り・感情の発露」という意味があるように、
燃え尽きるまで輝きたいという気持ちが、どこか反骨心に似た怒りとともに強く発出されています。
これまでAB6IXにしかできない音楽でシーンを盛り上げてきた彼らですが、
それゆえ爆発的なヒットというわけにはいきませんでした。
しかし、流行に媚びるという生き方は御免だ、敢えて険しい道を選んで燃え尽きようという、アーティストとしての矜持を感じる曲です。

LOSER

今回のタイトル曲として、MVが公開されています。

アルバムのタイトルでもある「LOST」は、道に迷うという意味があります。道に迷ってしまった僕は「LOSER(敗者)」だと歌います。
闇の中で迷い、苦しみ、足りないともがき、救いを求めるような曲で、最後まで救われない感じがします。AB6IXは1曲に込めるメッセージが少ないのが特徴なので、苦しみの果てに救われるストーリーを1曲で描くことはないのだろうと思います。苦しみの曲は苦しみで終わるのです、それがまた良いのですが。
サビの振り付けは、サムズダウンのハンドサイン。MVのストーリーと相まって、不穏な空気がありますね。
ただ、「LOST&FIND」の文字が見えるように、失った先に見えたものや得たものがあり、迷った果てに行き着いた場所があるのでしょう。そんな一筋の望みも感じられる曲です。

REALITY

一昔前のポップスを思わせる曲です。ダンスも楽しくできそう。
歌詞は、幻想のような君が目の前にいる、奇跡みたい、信じられないという内容です。目が合った瞬間なのか、気持ちが通じ合った瞬間なのか。その瞬間に柔らかい光が刺すような暖かさも感じられます。

EDEN

オールドスクールファンクミュージック的な曲調には、いつもよりクセの強いボーカルと在りし日のヒップホップを彷彿とさせるラップが乗ってきます。スクラッチが効いていてノリが良いです。歌詞ですが、少々依存的な恋の、刹那の幸せと微量の不安がギュッと詰まっていて、なんかグッときます。

우리가 헤어졌던 이유 Part.2 (SUCKER)

2022年のアルバム「A to B」に収録されていた「우리가 헤어졌던 이유(Sucker for your love)」のパート2となるこの曲は、しっとりとして切ないバラードです。タイトルは日本語にすると、「僕らが別れた理由」。前作に引き続き、作詞をグループのマンネ(末っ子)、デフィが担当しました。
前作が「僕ら別れたのはきっと僕のせいだ、別れてからやっとわかった」ぐらいで終わってたので、めちゃくちゃ切なくて良い歌だったんですが、今回、クズっぽい男性目線で別れの理由がわかります。別れたのはこの感じだと君のせいですわ。それを美しく書いているんですよね。でも今回のパート2が画期的な理由は、「LOSER」のサムズダウンもそうですが、AB6IXがいい子ちゃんをやめたことです。

まとめにかえて

AB6IXはこれまで、五感に訴えるような歌詞が多かったのですが、今回のアルバムは、迫ってくる闇に五感を閉ざされるような感じもしました。
しかし、楽曲は全て、刹那を切り取った強い力があり、その没入感には、青春のようなまばゆい魅力と、次の瞬間掴めなくなる危うさを感じます。

AB6IXは、アーティストとして順風満帆と言えない苦しみを味わっていたのかもしれません。しかし、不安定な時の方が、もがいている時の方が、豊かな感性で誰かに刺さる音楽が作れるのかもしれないと思ったりしました。もしかしたら今が一番おもしろかったりして。そして、その悩みがにじんだ音楽に私たちは惹かれ、救われるのだろうと思います。音楽ってたくさん再生されれば良いってもんじゃないよなっていうのが私の考えです。

新章の前夜に立ち、一番暗い中で大きな光を掴もうとする今のAB6IXをぜひ、聴いてみてください。

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