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#7 ポシュロウの人たち【井川 翼 編】


「今日ちょっと嬉しかったことがあって。ここ数年これ(ベスト)着れなかったんですよ。ビヨーンってなってて(笑)」
 
そう言って、井川さんはニコニコしながら部屋に入ってきた。
 


「瘦せたってことですか?!」
私は、笑いながらカメラのシャッターを切った。
 
「そうなんですよ、、、その、えっと、、、、、何でしょう、あの、、、すいません、、、、」
 

 
「カメラ慣れしてなくて!カメラは恥ずかしい!!」
 


(爆笑)
そんな彼の親しみやすい人柄がにじみ出る会話からのスタート。
 
 
 
 
今回はポシュロウの開発を陰で支える、
新規事業企画課の井川さんに、ポシュロウを開発するきっかけとなったビジネスデザインコンテストやポシュロウを通じて今、感じていることについてお話を聞きました。

井川翼(Igawa Tsubasa)
株式会社TMJ 新事業企画課 課長

【好きなこと】
・バイクいじり
最近、自分の年齢と変わらないバイクを購入しました。どうすればまた元気に動いてくれるのか、原因を想像しながら試行錯誤を繰り返す楽しさに夢中です。

【苦手なこと】
・針の穴に糸を通すような繊細な作業が苦手です!!
息子のレゴブロックを手伝っていて小2の息子より不器用な自分にがっかりしました。
 (↑針の穴に糸を通すような繊細な作業でもないw)

“「今」につながる経験”


山本:
早速ですが、井川さんのこれまでのキャリアや今のお仕事について教えてください。

 
井川:
入社15年目となりますが、始まりはコールセンターのオペレーターからスタートしました。
そこから10年くらいはいわゆるコールセンターの運営・管理に携わらせていただきました。その後、営業に移りクライアントの課題解決や目的達成に向けた提案活動を主としていました。
現在は企画部門に移り、社内のビジネスデザインコンテストの運営を主軸に全社に向けたイノベーションの文化浸透や、コンテストで生まれた企画の支援を中心に活動しています。

 
山本:
なるほど~。もともとはコールセンターの現場がスタートだったのですね。そこから異動するきっかけとかはあったんですか?
 
井川:
本当にBPO人間みたいなところが根本にあるんですけど、ちょうど5年前にひとつターニングポイントがあって、
色々キャリアについて悩んでいた時に、今の上司である人に、会社をこうしていきたいという気持ちを話したら、すごく共感していただいたんです。
当時ちょうど親会社が変わったっていうタイミングで、グループシナジ―をどうつくっていくかを考えて、そこを創っていくようなチームを新しくつくるというお話があって、
そこの営業担当として親会社と自分たちの強みをつなぎ合わせていく仕事を2年間していました。

 
山本:
へえ!現場の視点は活きたんじゃないですか?

 
井川:
そうですね、こういう課題があれば、こんな活動をすると解消できますよ、というのが状況を見るとすぐに出せたりして、困りごとにリーチできたのかなと思います。
で、そこから次のミッションに移るということで、新規事業開発部なる部が新たにできました。

 
山本:
なるほど。そこから新規事業開発が始まったんですね。
 

井川:
その時のミッションはまさに文字通り、BPO以外の新しい軸となるような新規事業にチャレンジしていく領域だったのですが、私含め5名のメンバーは新規事業の経験が全くない状態で、正直何からやったらいいんだっけ?っていうところから始まりました(笑)
 

山本:
それは、すごいですね。。

 
井川:
なので、外部の『新規事業を始めるには』的な基礎の『基』から学びに行くようなところから始めて、自社で進めていこうとすると、どういう在り方で、何を考えなきゃいけないか、ということをガイドラインや手順に落としこんで、いわゆる基盤づくりみたいな、
それこそポシュロウの開発の支援のベースに繋がるようなものを最初はやっていました。
 

山本:
そんな時代があって、私の『今』があるわけですね。


“イノベーションのヒントは身近にきっとある”

井川:
その後は実際に1人1個それぞれアイデアを考えてチャレンジしたり、100本ノックみたいな感じで、今週はこのテーマでいっぱいアイデアを考えよう!という感じで、生みの苦しみみたいなものをとにかく味わっていました。
ただ、やっぱり生みの苦しみと同じくらい、創り出す楽しさみたいなものがすごくあって。すごく前振り長くなっちゃったんですけど、ビジネスデザインコンテストが生まれたきっかけがまさにそこかなって。
 

山本:
どういうことですか?

 
井川:
やっぱり新規事業成功率10%未満と言われる中で、少数の5人だけでずっとやり続けて成功する可能性は非常に厳しいですし、アイデアの数をいっぱい作っていくというのも大事だということと、
アイデアを自分たちで考えていく楽しさを従業員に訴求できると、会社としてすごく良い文化が生まれるんじゃないかという気づきがありました。
全社を見渡すと現場で得た気づきを『改善』していこうという文化は根付いていたんですけど『開拓』みたいなところは道半ばというか、あまり手が付けられてなかった印象があったんです。
なので『“カイゼン”と“カイタク”』を並べる感じで進めていけると良いよねってことで、ビジネスデザインコンテストが生まれたという感じですね。
 

山本:
なるほど、そういう背景だったんですね。

 
井川:
やっぱり弊社は事業特性上、イノベーションスキルを有している人がすごく限られているという印象がありました。
どうしても既存の業務の中だけで培っていくには限界があると思っていて、
そのためには土壌が必要だと思うんです。
そうした場の中でスキルを身に着ける機会を生みだすことが社員みんなにとってすごく大事かなというのもありましたね。
 

山本:
井川さんたちが設計されているビジネスデザインコンテストは参加しやすい建付けでありながら、ステップを踏むごとに少しずつ思考が深まる設計になっていてすごい良いなと思ってます。2年連続で、150件ものエントリーがあって、幅広い層がチャレンジしてますよね。

 
井川:
『想い』でいうと、広く本当に全社員に触れていただきたかったので率直に挑戦いただけて嬉しいです。
なんかイノベーションって聞くと、すごい難しそうなイメージに捉えられる事が多いと思うんですけど、本当にちょっとした自分の周りに起こっている不便なことのような、
『ありそうでない』みたいなところに、イノベーションのヒントがいっぱい隠れていると思っているので、やっぱりそれをみんな自分の身近にあるんだっていうのに気づいてもらえるきっかけになると本当に良いなと思っています。
 

山本:
たしかに。様々なバックグラウンドを持った従業員が多くいるということそのものが、大きな強みですしね。
 

井川:
あとは、個人的にはコンテストから生まれた取り組みが、世の中に届くことによって、自分たちが社会に貢献しているというのを、家族だったり友人だったり、周りにも知ってもらえるような、何か一つ伝えられるものとして、生まれていってほしいという思いがあります。今はそこに向けてどう支援をするかという感じですね。
 
 

”ポシュロウを通じて気づいたこと”

山本:
じゃあここからは、ポシュロウのことについて聞きたいんですが、まさにコンテストのとき、当時は『障害のある方のためサブスク型動画学習サービス』みたいなアイデアでエントリーしましたが、ぶっちゃけ初めて聞いたときどんな感想でしたか?
 

井川:
ふたつの衝撃がありましたね(笑)
ひとつは、圧倒的なアウトプットの高さです。コンテスト時からの資料デザインもそうですし、どういうストーリーで作っていくかという構成も、ルールが決められている中で、仕立てていただいたっていうところは本当にインパクトが大きかった。
 

山本:
恐縮です(笑)
 

井川:
あと、もうひとつは、それがサービスになるんだっていう気付き。
自分の中では当たり前だと思っていた、例えば転職活動をしようというときに、手に入れていたような情報っていうのが、当たり前に手にできない人達がたくさんいらっしゃるんだということ。
それ自体の認識が全然なかったので、着眼というか、実情っていうところが、僕はガーンという衝撃を受けました。
 

山本:
なるほど、そこに社会課題があったんだと。
 

井川:
そうですね。さっき言った『ありそうでなかった近くの不便さ』みたいな。
見に行こうとしてもなかなか見えない現実が見えたというのが、僕は衝撃でした。
 

山本:
ポシュロウがコンテストで優勝してもう既に1年くらい経ちますが、ここまで振り返っていただいてどうですか?
 

井川
そうですね、まずサポートするうえで、自分のアップデートがもうとにかく大事だなって気づかされた企画で。
私の10年のキャリアで、仮にも採用などにも関わった中で、恥ずかしながら、障害のある方の採用をしたことがなかったんですね。
で、それで、何でそうだったんだろうって考えた時に、やっぱり自分の中のイメージで、何かできることに制限があるんじゃないかってバイアスがあって、軽作業とか、そうした一部の仕事を用意する必要があるみたいな風にずっと考えてきたなって。
 

山本
そんな内省をされてたんですね。
 

井川:
ポシュロウもきっかけのひとつですし、今、自社内での障害のある方の在籍も増える中で、一緒に仕事をする機会もあって、自分の認識が間違っていたなと。
勝手なバイアスで、可能性を潰していたかもしれないなと思いました。
その方に対してどういう向き合い方、どういう環境を作るかによって、その人達のお仕事の領域や可能性が広がるんだなと感じて。そこに気付けたというか。
この一年はそもそも考えているポイントがズレていた事に気付けて、やっぱりそこに向けてのアップデートがとにかくこの一年は多かったですね。
 

“井川さんとポシュロウ”

山本:
偉そうな言い方になりますが、井川さんはいつも話をしていて、解像度が高いなと、障害福祉の分野だったり、すごく私の感覚をつかんでいただいているなと感じます。監修者の方が増えた時も、『この方はベースの思想が直さんと合う方ですね』とかコメントくださって、それがわかるのか!!と、驚いたことがありました。
 

井川:
いえいえ、それを引き上げていただいたのが、まさにこの企画なんだろうなと思います。

 
山本:
そういう意味では、私の裏目的である、社内の障害者雇用を進めるきっかけになるかもという狙いが、まさに感じていただいたのは嬉しいです。
 

井川:
本当にポシュロウは、その動画や、プラットフォームを介して、働き方の可能性を広げる一助になるんじゃないかと思っています。
仲間になる専門家の方も日々増え、我々が社会課題に対して、一緒になることで、社会のひとつ手段や選択肢を広げるという、そういった関わりを世の中にできるのは、本当にいいなと思っています。
 

山本:
井川さんとお仕事をする中で、日々のアップデートはもちろん、いつもかゆいところに手が届くというか、絶妙の支援をしていただいているなと思っているんですけど、なんか意識していたりすることはあるんですか?
 

井川:
いえいえ、やっぱり自社内のサポートでいうと、なかなか新規事業の事例や経験がないっていう会社なので、やっぱりポシュロウがやりたいことっていうのは、ほとんどが初めての体験になってしまう。
企画を進める上で、必要な手段を取ろうとしたときに、何かしらの弊害だったり、スタートアップとかだと当たり前に取れる選択肢がうちの会社であるがゆえに取れない可能性もあるんじゃないかなというのをすごく危惧していて、その弊害が起きないように社内のネゴシエーションだったり、企画者が企画に集中できるようにする、そこがすごく重要だなって思っています。
なので、やりたいことの定義であったり、やりたいことの業務を整理して、リスクポイントの洗い出しだったり、全体像を俯瞰したりして、これまでのBPOの知見を活かすと、他の部署も理解しやすくなるという、そういうところが、止めないためにもすごく重要かなと。
 

山本:
リスクでいうと、いつも遠慮しながら「気にしすぎかも知れないですが、ここ大丈夫ですか、、」と気にかけてくれますよね(笑)あれもとても助かってます。
 

井川:
それがほんとに意味があるのかというとこなんですが(笑)
新規事業ってイレギュラーの連続で、基本的に立ち止まることの方が圧倒的に多いと思っていて、進んでいく一方で、逆の目線で、止まるリスクはどこなんだっていうのは考えながらサポートしていますね。
 

山本:
井川さんのその繊細さとか、調整力はどこからくるんですかね?人に伝える力とかはどこからきてるんですかね。
 

井川:
いや、ゴマすってるだけじゃないですか?(笑)
 

山本:
いやいやいや(笑)
 

井川:
何ですかね、現場の経験ですかね。
BPOの現場の業務ってやっぱり改善と提案の繰り返しで、現状維持では絶対ないので、良い改善をして良い提案と合意形成を図っていくことが必要で。その提案するうえで、提供できる価値は何なのか、実行する側もどういう価値があるのかという双方の価値をアウトプットしていかないと、合意形成が得られなかったというのもあります。
 

山本:
ここでも過去のご経験が活きてくるわけですね。
一方で、BPOでの経験だけでない、井川さんならではの根源にある、原体験とかあるんじゃないですか?
 

井川:
それでいうと、結構、学歴コンプレックスみたいなものがあって。
自分自身が、結構そのバイアスによって、働ける場所とか選択肢が狭まったり、本来の見てほしいところじゃないところで評価を受けるのがすごく嫌でした。
だから、そうならないように、どうしようという、アウトプットへのこだわりというか、そこをブラッシュアップさせる必要がめちゃくちゃ自分の中で研ぎ澄まされたのかな?
なんか今でもひとつの言葉を気にしたりすることも、これを目にした人はどういう風に伝わるんだろうとかは結構、自問自答しますね。
結局怒られるんですが(笑)
 
山本:
(笑)なるほど。でも、なんだか最後に井川さんのコアに少し触れた気がします。もうちょっとそこを突っ込んでみたいのですが、すいません、このタイミングでお部屋の時間になってしまいました。。今日はありがとうございます!
 

井川:
こちらこそ!大丈夫でしたかね?!ちゃんと記事になるかな?!

【編集後記】
井川さん、たぶんですが、ちゃんと記事になりました。

井川さんは、ずっとこちらの意図を汲もうとしながら、こちらの意図にあった返しができているかをすごく気にしながら話をしてくださっているような印象を受けました。

それはまさに井川さんの人柄でもあり、ポシュロウを今心地よく開発することができている一つのポイントでもあると改めて思います。

そして、最後に井川さんがお話してくれた事は、私の中で、ある意味ポシュロウの存在意義と、井川さんのストーリーが重なった感覚を覚えました。

きっとそういうある種の「痛み」みたいなものを知っているからこそ、それがきっと、ポシュロウの「深み」になるのだと思うし、
「自分らしく働く」というサービスのキーワードをただのキラキラした聞こえの良い絵空事ではなく、現実的にとても難しいことである、ということを前提に理解しながら、
そしてある種、その困難さの当事者でもありながら、それでも実現したいんだということを、表現できるのではないかと思います。

井川さん、引き続きよろしくお願いいたします。

                                山本


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