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「君は放課後インソムニア」について語る

多分この記事は長文になるでしょう。
そして、10巻までのネタバレを含みます。

その作品知らんのだけど。
という方のためにアニメのpvを残しておきましょう。これを見ると大体の雰囲気がわかるんじゃなかろうか。
気になった方はぜひ漫画読んでみてください。不眠症二人のラブロマンスとなっております。


ここから10巻までのネタバレを含む語りが始まります。



この記事は作品の魅力を思いついたところから取り止めもなく語るものです。オチはない。

なぜこの作品を読んだか

同じ作者の「富士山さんは思春期」という漫画が好きでして、先日ふと思い出して読んでたんです。3巻ぐらいまでkindleに入ってます。

で、同じ作者の方が新しい作品出してるんだなーと思って1話だけ試しにサイトで読んでみたんです。そして、この3連休でえーい読んじゃえ!と読み始めたら10巻まで夢中で読んでしまった次第です。

※以降普通に10巻までのネタバレ含むので注意です!

僕しか気づいていない彼女の魅力

2作品しか知らないんですが、オジロマコトさんの作品で共通して惹かれるのは、”僕しか気づいていない彼女の魅力”が描かれていることだと感じます。それがめちゃくちゃ良い。
似たようなコンセプトだと植芝理一さんの「謎の彼女X」でも同じことを感じます。謎の彼女Xのヒロイン「卜部 美琴」も実は美人なのですが、あまりそれに気づかれていなくて、一般にはモテない。

当作品のヒロイン「曲 伊咲(まがり いさき)」もそんな感じで基本的に主人公しか魅力に気付いていない。
セリフでも「鼻が低い」といったことが言われているので突出して可愛いタイプではないと思われます。きっとヒロインの友人の方が見た目的には美人なんでしょう。

しかし、主人公とともにイサキちゃんの可愛さを発見していく、その楽しみがあると僕は思います。
超個人的な話になるが、妻がイサキちゃんに似た特徴を持っている。
チビだし、鼻が低いことをコンプレックスに思っているらしい。(自分は別に鼻が低いとは思わないが)
なんとなく服装も似ているし、ちょっと体が弱かったりするところも共感できる。そんなバイアスがかかりながら作品を見たということをご了承いただきたい。

話を戻すと、このパターンの漫画は争いが発生しなくて平和でいいです。
ヒロインの良さに気付いている人がいないですからね。平和そのもの。
実際、10巻まで男女ともに恋のライバルと呼べる人物は出てきません。

秘密の共有と動物的なシンパシー

二人が近づくきっかけとなるのが「不眠症」であることをお互いに打ち明けることだと思います。それはきっかけに過ぎず、そこから二人は急激に近づいていく。

おそらくですが恋愛では動物的な感覚を信頼した方がうまくいく、という考えが作者のなかにあるのではないかと思いました。(僕がこの考えなので、なんとなく同じような考えをしているなーと思いました)

お互い全然話さなかったはずなのに、なぜか天文台でたびたび会って話すようになったり、夜に街を散歩するような仲になっている。
話もなんだか自然に湧き出てくる。
こんなすぐに人と仲良くなれるタイプじゃないはずなのになんで?という倒錯感があると恋愛はうまくいくんじゃないかなーと思います。

最初に二人で寝てしまう場面でもう決着がついているという感じですね。
イサキちゃんは最初の時点で、丸太にもたれかかっている。
そして、丸太も後のエピソードで「人のいるところでは寝れない」ということを発言しています。
動物的、生理的な部分でこの時点で抵抗感がないことが現れています。

境界線を跨ぐのは?

作中でイサキちゃんが「まだ心は一線超えてませんからね!」という境界線引きを何回かすることがあります。

自分で引いたはずのその境界線が、結局なし崩しに崩れていくのが絵で表現されているので、注目してみてください。
結局心許しちゃってんじゃん!というのがとても愛らしいです。

どちらかというと女性がわの方が積極的であり、境界線を超えるのはいつもイサキちゃんというのが今っぽいところかなぁと思います。
丸太の性格が生真面目というのも関係あると思うんですが、コンプライアンスとかが重要視される世の中でちゃんと恋愛するにはその方がリアルなのかもしれない。とか現実的なことを考えてしまいました。
キスもイサキちゃんからするんですよねー。

節々に挟み込まれるフェチ描写

直接的なエロな描写はほぼなし、といってもいいと思います。
しかし、大事なところで挟み込まれています・・・。
作者の好みが存分に出されていて、それが刺さる人には刺さるんじゃないでしょうか。太眉、うなじ、透けブラとかです。

ここでめちゃすごいと思うのが、これを書いているのが女性だということです。めちゃくちゃ男性視点じゃないですかこれ?
作者は女性のはずでは?本当に意味がわからないです。ありがとうございます。
女子が見た時の感想を教えて欲しい。スルーするところも多いんじゃないかと思う微妙な描写が上手いんですよ。めちゃくちゃ。
(※怖くて妻には聞いてない&まだ読んでない)
それを表現する画力というのも魅力の一つといっていいでしょう。
いや、エロを表現するだけに使ってるわけじゃないですよ。

天文学、写真とカメラ、石川県の名所といったサブ要素が確かな画力で表現されていてすげーなーという言葉しかないです。
猫は飼ってないのであんまり刺さる描写ではないのですが、猫がいっぱい出てくるので、猫好きも必見です。

理想の青春シチュエーション

  • 天文台の部屋で秘密基地を作る

  • 夜の街をドキドキしながら二人で散歩する

  • 夜の学校を探検する

  • 学校の屋上で夜空の鑑賞をする

  • 花火を学校の屋上で見る

  • 誰もいない家で二人で疑似同棲生活をする

  • 二人で撮影旅行をする

  • 二人で深夜のラジオ放送

これでもかと繰り出される理想のシチュエーション!読者は死ぬ!
(青春ゾンビとして)

学校の一部屋を秘密基地にするってやってみたいですよね。
今もなんらかの「場所を作る」ってやりたいことの一つかもしれないと、これをみて気づきましたよね。人生のやりたいことリストに入れようかなって思いました。

一抹の不安要素がストーリーに緊張感を保たせる

なんでこの物語をこんなに夢中に読んだかというと、イサキちゃんの心臓のことからくる不安感だと思うんです。
こういう系でバッドエンドになるやつを2作品知っているので、今から不安でしょうがないです。
めっちゃ嫌いだよ!このやり方!でも読んじゃうのはこの要素のせいだよ!上手いよ!

丸太の父親とか別に悪いやつじゃねーよなーとか、白丸先輩のキャラ良いよなぁとか、友達のサブストーリーも結構いい味出してて好きだよとか、語ることはたくさんあると思うんですが、この辺にしておきます。

久々に夢中になってる作品です。続きがめちゃ気になってます。
オジロマコト先生ありがとう。(おわり)