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note_31【ブロックアウトとは】

モデリングの初期段階で非常に重要な「ブロックアウト(Blockout)」について解説します。ブロックアウトの基本概念から具体的な手法までを学び、効率的なモデリングのスタートを切りましょう。



1. ブロックアウトの基本概念

1.1 ブロックアウトの定義

ブロックアウトとは、3Dモデリングの初期段階でモデルの基本形状やプロポーションを大まかに作成するプロセスです。詳細なディテールを追加する前に、全体のシルエットやバランスを確認するための重要なステップです。

1.2 目的と重要性

ブロックアウトの主な目的は、モデルの全体像を早期に把握し、プロポーションや配置の問題を事前に解決することです。これにより、後の工程での修正を最小限に抑えることができます。

▶「ブロックアウト」と「ラフモデリング」
CGモデリングにおいて、「ブロックアウト」と「ラフモデリング」は似た概念ですが、微妙に異なる意味を持つことがあります。

【ブロックアウト】
モデルの基本形状やシルエットを大まかに作成する初期段階。迅速に全体のバランスを確認することが目的。

【ラフモデリング】
ブロックアウトで作成した基本形状に、もう少し具体的なディテールを追加する中間段階。全体のバランスを再確認し、調整を行う。

2. ブロックアウトのメリット

2.1 時間とリソースの節約

詳細なディテールを追加する前に全体のプロポーションや配置を確認できるため、無駄な作業を省き、効率的に進めることができます。これにより、時間とリソースを大幅に節約することが可能です。

2.2 全体のバランス確認

ブロックアウトを行うことで、モデル全体のバランスを早期に確認することができます。細部にこだわる前に、全体の一貫性やプロポーションを確認することで、モデルが視覚的にバランスの取れたものになるように調整できます。全体のバランスを保つことで、最終的なモデルが一貫性を持ち、視覚的に魅力的なものになります。

2.3 フィードバックの早期取得

ブロックアウト段階でモデルの基本形状を提示することで、早期にフィードバックを得ることができます。この段階でのフィードバックは、作品の方向性を早期に修正するために非常に重要です。早期のフィードバックは、後々の大幅な修正を防ぎ、作品制作をスムーズにするための重要な要素です。

2.4 クリエイティブな自由度

ブロックアウト段階では、詳細なディテールにとらわれずに全体の形状を自由に試行錯誤することができます。この段階での柔軟なアプローチは、クリエイティブなアイデアを試すための貴重な機会となります。異なる形状やプロポーションを試すことで、最も効果的なデザインを見つけることができ、最終的なモデルの品質を向上させることができます。

2.5 コミュニケーションの向上

ブロックアウトを通じて、チーム内やクライアントとのコミュニケーションが円滑になります。全体の形状やプロポーションを視覚的に共有することで、共通の理解を持つことができ、作品制作の進行をスムーズにします。これにより、全員が同じ目標に向かって効率的に作業を進めることができます。

3. ブロックアウトのステップ バイ ステップ

ブロックアウトは、3Dモデリングの効率を高めるための重要なプロセスです。以下に、ブロックアウトのステップバイステップを詳細に説明します。

3.1 コンセプトの理解

まず、作成するモデルのコンセプトをしっかりと理解することが不可欠です。リファレンス画像やスケッチを用いて、モデルの全体像や重要なディテールを把握します。この段階では、以下のポイントに注意します。

【リファレンス収集】
インターネットや書籍、自身で撮影などを行い関連するリファレンス画像を集めます。これにより、モデルのスタイルやディテールを具体的にイメージできます。

【コンセプトアートの確認】
プロジェクトに関するコンセプトアートがある場合、それを詳細に確認し、モデルの方向性を明確にします。

【メモやスケッチ】
自分自身の理解を深めるために、重要なポイントをメモしたり、簡単なスケッチを描いたりします。

3.2 基本形状の作成

次に、モデルの基本形状を大まかに作成します。この段階では、複雑なディテールを無視し、主要な部位をシンプルなジオメトリ、プリミティブオブジェクトで表現します。以下の手順を踏みます。

【主要部位のブロックアウト】
キャラクター制作の場合なら、頭部、胴体、四肢など、モデルの主要な部分をシンプルな形状(例えば、ボックスやスフィア)で作成します。

【シルエットの確認】
全体のシルエットを確認し、モデルが意図した形状になっているかをチェックします。シルエットは、モデルの第一印象を決定づける重要な要素です。

3.3 プロポーションの調整

基本形状ができたら、次にプロポーションを調整します。ここでは、モデル全体のバランスを細かくチェックし、必要な修正を加えます。これらのステップを順に進めることで、効率的に高品質な3Dモデルを作成することができます。具体的には以下の作業を行います。

【全体のバランス確認】
主要部位のサイズや位置を確認し、モデル全体のバランスが取れているかをチェックします。

【プロポーションの微調整】
頭部が大きすぎる、胴体が短すぎるなどの問題があれば、各部位のサイズや位置を調整します。

【リファレンスとの比較】
収集したリファレンス画像とモデルを比較し、プロポーションが一致しているかを確認します。

3.4 その他の要素

モデリング作業であってもカメラや、ライティングなど欠かせない要素はたくさんあるので、必要なものはこの段階で軽く作業を行っておきます。

【カメラとライトの配置】
カメラの視点や、照明の基本配置もこの段階で行い、シーンの構成を確認します。

【動きの確認】
アニメーションがある場合、オブジェクトやキャラクター、カメラなどの動きを簡単にプレビューし、動きが適切かを確認します。

ブロックアウトは、CG制作における「設計図」のような役割を果たし、最終的な仕上がりをイメージしながら効率的に作業を進めるために欠かせないステップです。


ブロックアウトは、3Dモデリングの成功を左右する重要なプロセスです。基本形状やプロポーションを早期に把握し、全体のバランスを確認することで、後の工程での無駄な修正を減らし、効率的に作業を進めることができます。


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