グラジナ・バチェヴィチ
グラジナ・バチェヴィチは、ポーランド出身の作曲家、ヴァイオリニストです。1909年2月5日にポーランドのウッジで生まれ、1969年1月17日にワルシャワで亡くなりました。20世紀の最も重要な女性作曲家の一人として評価されています。
彼女は音楽一家に育ち、幼少期から父親による音楽の手ほどきを受け、5歳でヴァイオリン、ピアノ、音楽理論を学び始めました。彼女は早くから才能を発揮し、7歳で初めてのコンサートを開き、さらには13歳で最初の作品「ピアノのための前奏曲」を作曲しました。
1928年ワルシャワ音楽院に入学。カジミェシュ・シコルスキに師事し、作曲を学びました。1932年には、作曲家として、加えてヴァイオリニストとして、最高の成績で卒業しました。
その後、パリに留学。エコール・ノルマル音楽院でナディア・ブーランジェに作曲を師事しました。
ポーランド放送管弦楽団の第一ヴァイオリン奏者を務めるなど、ヴァイオリン演奏にも優れていた彼女は、7曲のヴァイオリン協奏曲をはじめ多くのヴァイオリンのための作品を遺しました。その他にも4つの交響曲、ピアノ曲などを遺しましたが、ごく最近まで、彼女の作品はポーランド以外であまり知られていませんでした。しかしクリスティアン・ツィメルマンを始めとしたポーランドの演奏家たちが取り上げたことで、その独創的な作風に注目が集まり、近年は演奏される機会が増えています。
次にバチェヴィチの音楽の特徴を説明します。
バチェヴィチの音楽の特徴として挙げられるのが、ネオクラシカル(新古典主義)です。
19世紀後半から20世紀初頭にかけては、ロマン主義音楽が主流でした。しかし次第に形式主義や感情表現に偏り、音楽の本質を見失っているという批判が生まれました。
そこで、ネオクラシズムの作曲家たちは、バロック時代の音楽の秩序、均整、明快さを再評価し、現代音楽に取り入れることで、音楽の本来の姿を取り戻そうとしました。
バチェヴィチ以外のネオクラシズムの代表的な作曲家には、ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、プーランク、ヒンデミットなどがいます。
また彼女は後進の育成にも尽力しました。多くのコンクールで審査員を務め、また様々な教育機関で教鞭を執りました。
バチェヴィチの音楽は、20世紀の音楽史における重要な遺産です。彼女の作品は、これからも多くの人々の心を捉えていくでしょう。
素晴らしい彼女の音楽をぜひ聴いてみて下さい。
以上です。