見出し画像

パン屋さん好きがパンのまちで暮らし始めました



「パン屋さんが好きです。」

と言うと大抵、「へー、パン好きなんだね!パン美味しいよね!」と返ってくる。


違う。いや、違わないけど違う。

私はパンが好きでパン屋さんに行くのではなく、パン屋さんが好きでパンを買うのだ。いやもちろん大前提としてパンが好きなんだけど。

例えばグルメサイトで評価をつけることがあるのならば、パンの味はもちろん、パン屋さんの店内インテリアとパンの融合具合、パンたちのディスプレイのされ方までを評価したい。評価なんておこがましいけれど、それが自分の好きポイントに大きく関わる。

パン屋さんに並べられているパンたちを見ているだけでも気持ちが昂るから、パンは売られているというより、展示されている感覚なのだ。



最近まさに冒頭のやり取りをする機会があって、私は説明してみることにした。

「パンが好きですし、パン屋さんが好きなんです。あの空間でパンを見るのが好きで、正直食べなくても見ているだけで楽しいし、、」と話していると、途中から相手が分かりやすく困惑している。

「大丈夫です?ついてこれてます?」と笑いながら聞くと、「いや、変わってる子なんだなーと思って。」と笑われた。




前置きが長くなったけれど、私はパン屋さんが好き。もちろんパンも好き。そんな私は最近、パンのまち神戸で暮らし始めた。

実は昔から何となくこのまちに憧れていた。それは多分、異国情緒があったから。家族で訪れた時に歩いた坂のある風景は、私の住んでいるまちとは全く違う雰囲気が漂っていた。同じ坂道でも全然違った。

煌びやかさよりも懐かしさやクラシカルな雰囲気に惹かれる私の心は、洋館の建物が並ぶその雰囲気にぐっと掴まれた。

そして私はもう少し大きくなって、そこが「パンのまち」だと知った。祖母宛てに届いていた旅行ツアーの案内には、パンのまち神戸でパン屋さん巡り!みたいなことが書いてあった。

神戸は、生まれ育ったまちより都会で、しかし山を眺めることは容易くて、少し電車に揺られれば海が見えて、風がよく通る。そして、パンのまちだ。

私は決めていた。ひとまず最初の数ヶ月は、観光客のように過ごそう、と。ここ2年、旅行というものをしていないのだから、週末は金銭的なことは気にせず、行きたいところに行こう。それはもちろん、殆どがパン屋さん。

訪れてみたら書きたくなってしまったので、何軒かのパン屋さんをご紹介します。


①フロインドリーブ

◯◯のまち、などと言われると、その理由を知りたくなる。それは大抵の場合が歴史に紐づいていて、パンのまち神戸にもその歴史があった。

まずは、はじまりと言われる場所にご挨拶に行かなければならないでしょう!という謎の使命感に駆られる。それが礼儀でしょう、といった感じで、私はその歴史のはじまりとも言える場所「フロインドリーブ」に向かった。


教会を改装した店内は、1階がショップ、2階がカフェになっている。私は教会という建物にも弱い。何故だか心を掴まれる。オープン10分前に着いた頃には既に何組かが並んでいて、人気店なんだなあと分かった。

一見だだっ広くて落ち着かないように見えるけれど、大き過ぎる会話の声もなく、接客サービスもスマートで、居心地が良かった。隅っこに座ったからかもしれないけれど。

お水と一緒に、お待ちの間にどうぞとショップで購入できるクッキーが提供された。ロゴマークはプレッツェルかな?ここは、ドイツのパン職人さんが始めたお店。

個人的にはシンプルなトーストがあるならオーダーしたかったけれど、カフェで食べられるのは主にサンドウィッチ。なので、クラブハウスサンドウィッチとカプチーノをオーダー。

しっかりとバターの風味がするパン。耳がサクッとモチっとしていて好み。上手く説明が出来ないけれど、具材の味付けもとにかくおいしい。備え付けのピクルスまでおいしかった。

一階のショップで販売されているパンは大きいので今回は購入を断念。ライ麦やグラハムが気になったけれど。その代わりにおやつを買った。その名もミミパイ。


店内の椅子もミミパイみたい。


戦争や震災を乗り越え、受け継がれてきたパンの歴史。パンのまちの、はじまりの場所。始めた人と続けた人がいるということは、本当に凄くて有難いことだよなあと思いながら外観を眺め、その場をあとに。ゆっくりしたい時、自分へのご褒美にまた来たいな。


②THE BAKE

パン屋さんでパンが並んでいる景色が好き。そんな私の心を掴んだのが、THE BAKE。

外観から海外の装い。窓から中を覗いた瞬間、もう、うっっっわああああーーーーってなった。語彙力消滅。

そして店内に入ると、感嘆のため息。はいもう最高です。ありがとうございます。好きです。


こんなのテーマパークだよ胸が高鳴って仕方がない。最高!天才!好き!大好き!ありがとう!愛してる!ということばが心の中でとまらなかった。うわー、という声が漏れた。

ショーケースにパンが整列していて店員さんがパンを取ってくれるスタイルも大好きなのですが、このテーマパーク感溢れるディスプレイも大変素敵です。

普段パン屋さんで写真は撮らない、というか邪魔になりそうで撮れないのですが、偶然他にお客さんがいなかったのでお店の方に尋ねてみると、快く写真撮影を許可してくれました。

そこにパン・オ・ショコラがあるなら買わない選択肢はない、という私はこちらの大きなパン・オ・ショコラを購入。本当に大きい。


そして店内に入ると一番に目につく場所に置かれていたソーセージブリオッシュ。ソーセージも自家製とのこと。フライパンで焼いて食べると聞いて、気になって購入。明日の朝、焼いてみる。わくわく。

夜は立ち呑みやってるんでよかったら来てくださいね、と店員さん。パン屋さんの立ち呑み、パン呑み?、、なんだそれすこぶる気になる。でも飲めない私がひとりで立ち呑みはハードルが高い。そのうち友達が出来たらきっとパン呑みに来ようと誓った。早くパン呑み友達ほしいな。そして次回はカンパーニュを購入したい。


③パンのやきどころ RIKI

ここは、お部屋の内見で神戸を訪れた時に来たお店。行ってみたかった雑貨屋さんに行く途中に長い行列を見つけたのだけど、その列が向かう先にはパン屋さんがあった。炎天下の中、母と私はとりあえずその列に並んでみた。写真は撮っていないのでインスタのURLを。


こじんまりとした店内の両側には、パン、パン、パン、パン、パン、パン。ここで感じたのは、選べない幸せ。どれもおいしそうだし、ネーミングがずるい。ハード系に使用されているナッツやフルーツの種類がとても豊富だった。胃袋が4つあるなら全部買いたかった。

私は何故かパンではなく、パイ生地にカスタードが入っているコルネが気になってそちらも購入。冷蔵なのでお店を出て少し離れた場所でいざ、実食。これが凄かった。

ひと口。ひと口食べれば、もうおいしさが爆発してくる。あのサクサク感はただ者ではないと思う。「これはもう、2022年スイーツ部門ベストオブザイヤー決定です!!」などと口にしてしまうくらいの感動だった。翌日に食べたハード系のパンもとてもおいしかった。ここはまた並んででも買いに来たい。


④ローゲンマイヤー

会社の方から教えてもらった、芦屋を中心に展開するパン屋さん。店内は、まちのパン屋さん、という感じ。流行りなどに左右されなさそうな安心感。


店内に一歩入り最初に目が合ったのは、三日月のカタチをした塩パンだった。パンの名前も塩バタークレッセント。うん、君に決めた。

バター香る三日月。もしも君が夜空に浮かんでいたのなら、私は夜の間ずっと窓を開け放ってその香りを楽しみたい。と思う程にバターの香りが良くて、塩加減が絶妙のおいしさ。

実際は、夜空に浮かぶ間もなく。昼間のうちに私の胃袋へストンとおちていった。私は家に帰るのを待ちきれず、近くのカフェでラテをテイクアウトして公園のベンチに腰かけ、バター香る三日月をぱくり。蘇ったのは、メルボルンでお気に入りのクロワッサンをムシャムシャしていた朝。あの開放感を感じられるような公園に、このまちでも出逢えたらなあ。



こんな感じで、パン屋さん好きがパンのまちで暮らし始めたら、パン屋さん好きが加速しています。ううー、楽しい。意外と平日は専らお米を食べているので、休日のパン屋さん巡りがより一層楽しみになります。

こんなにもパン屋さんがあるんだからパンスタグラムでもやってみようかな〜なんて思ったけれど、写真を撮ることが目的になってしまいそうなので、時々ここに書いていこうかなと思います。そのうち、京都や大阪のパン屋さんにも出没予定。


この記事が参加している募集

#休日のすごし方

54,298件

じっくり読んでいただけて、何か感じるものがあったのなら嬉しいです^^