ポッポちゃん

妄想です。ぬるい目で読んで下さい。

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最近の記事

Cabbage6

《your side》 あれからもう2週間。 あんなに毎日顔を合わせていたのに、避けようと思えば全く会わずに過ごせてしまうから不思議。 とは言っても、2週間の半分は仕事で会社に戻って来ている。 年に一度開かれるアウトドア用品の大きな展示会があり、SOTODEROも会場内にブースを構えている。 ここ何回か私の移住記事の評判が良かったので、イベント期間中毎日出てくるようレイ編集長から言われた。 「ほらぁ〜、僕の狙い通り良い記事になったでしょう〜?君の代表作だね〜。もうずっと

    • Cabbage5

      《your side》 「うん、カンッペキ。元々可愛いけど、もっと可愛くなった」 鏡越しに目を合わせてニカッと笑うベクちゃんのお世辞にスマートな返しが浮かばずヘラヘラする。 うん。でも…我ながら… まじまじと鏡の中の自分を見る。 忙しさにかまけて放置されていた髪は軽やかに肩の辺りでカットされ、ツヤのある栗色のカラーが施されている。 今日はスクーターを譲ってもらう代わりにと約束していたカットモデルの日。想像していたより大掛かりで、美容院のスタッフ総出みたい。 「んじゃ

      • Cabbage4

        《Kyung-soo side》 「はい…はい…、了解です。…はい、今日はカイと現場に。そろそろこちらに着く頃なので、駅に向かってるところです。…はーい、失礼しまーす」 軽く一礼しながら電話を切ると、運転中の俺に向き直ってゴメンねのポーズをする。 「すみません、車出してもらった上にバタバタしてて」 申し訳無さそうに断りを入れて、またどこかに電話している。スマホを耳と肩で挟みながら書類をパラパラしたりメモを取ったり忙しそうだ。 車に酔わない?いつもより更にソフトブレーキ

        • Cabbage3

          《your side》 「昼ご飯をウチで食べるつもりらしいので、昼前には来ると思います」というギョンスさんの言葉通り、11時頃になると砂利道を走る車の音がした。 お!大男さんが来たぞ! 引っ越し作業の手を止めて迎えに出る。 あれ?ギョンスさんが大男って言うからプロレスラーみたいな人を想像していたんだけど、違ったみたい。車高の高いアウトドア車から颯爽と降りてきたのはモデルみたいなシュッとした男の人だった。 えー!?この人? 確かにデカい。大男。でも、思ってたんと違う!

          Cabbage 2

          《your side》 どんな家に住むことになるのか?という最大の心配事が思いがけず良い方向に解決して、つい涙腺が緩んでしまった。自分で思ってたより、だいぶ追い詰められてたみたい。 急に泣いたりしてギョンスさんを驚かせてしまったけど、すかさずハンカチを差し出してくれたりして、朴訥に見えて意外とスマート。 「お恥ずかしい」 エヘヘと笑って誤魔化しながら「洗ってお返しします」とハンカチをポケットにしまう。 と、ギョンスさんからの反応が無い。 ん? 見上げると大きな目を見開いた

          Cabbage1

          《your side》 「来週から田舎暮らし、してみない?」 締切明け。出勤するなりレイ編集長のデスクに呼びつけられたと思ったらコレだ。 優美に組まれた指の上に顎を置きながらニッコリ笑ってる。ニコニコポワポワ癒し系に見えるけど、レイ編集長が「してみない?」と言ったらそれはすなわち命令で、すでに決まった事というわけ。 「田舎っていうと…」 「ちょっと僕の先輩のツテがあってね。地元に戻って村おこし事業をしてる人なんだけど、古い一軒家を無料で貸し出してくれるから誰か住まわせて