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たべること


出前をとる、っていう習慣がない。

半年にいち度だけ宅配ピザをたべることが、あるにはあるのだけど、わくわくしながら注文し、そわそわしながら待っている。

いつものいち日が、とくべつのいち日になる。



この前はじめてウーバーイーツを利用してみた。

たべたいものがあれば、たいていじぶんで料理してしまう僕は、どうせなら、じぶんにはつくれない韓国料理をオーダーしてみることにした。

ウーバーイーツは、配達員の現在地が、注文者のアプリケーションに表示されると聞いていたので、どんなものかぜひともみてみようと思っていたのだけど、僕が部屋の掃除をしているあいだに、あっという間にノックが鳴った。



ちなみにこのときもそわそわして、部屋の掃除をとうとつにはじめてしまったのだ。配達員が家にあがるわけなんてないのに。



料金はクレジットカードから引き落とされる。

だから、僕は玄関の扉を開けて、お礼を言って、頑丈に梱包された料理を受けとるだけ。

まるでタダで料理をつくってもらって、運んできてもらったような気がしてしまうけれど、それは錯覚だ。

料金はきっかりクレジットカードから引き落とされる。



プラスチックのケースからヤンニョムチキンを取り出してたべる。冷蔵庫にあったスーパードライを開ける。純豆腐は予想していたよりもからい。

料理は美味しいのだけど、やっぱり店でたべないと味わい尽くすことはできないって思った。

せっかくじぶんではつくれない料理をたべている(非日常だ)というのに、そこはふだんじぶんが仕事をしたりくつろいだりしている場所(日常だ)というのは、なんだかちぐはぐで、具合がわるくなってしまいそうだ。

あるはずのないものがそこにある。——例えば、ワニの背中に毛が生えているみたいな、そんなちぐはぐさ。具合のわるさ。

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