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いじめっ子と映画「風と共に去りぬ」


「いじめっ子」と
「風と共に去りぬ」
どんな関係が?


わたしがこの映画を鑑賞したのは12歳の時です。

なぜ12歳で鑑賞することになったのか。

少々昔話におつきあいいただくことになります。

ちょっと…聞いていただけますか?

小学生の頃、親の都合で2回転校しました。

1校目は東京。
小学1年生の1学期まで。
友達らしい友達も、ろくにできなかったので、寂しさを感じることはありませんでした。

2校目は地方。
1年生〜4年生の途中まで。
1番よかった時期です。

わたしは団塊ジュニア世代・第二次ベビーブームってやつで子どもがわんさかいました。

公立マンモス校で学校の大きさも校庭も人数も規模が大きかった!
全校生徒1500人!

校庭に「回旋塔」という遊具がありました。
知らない方は検索してみてください。

握力がないと、吹っ飛びます。危険と楽しいは隣り合わせな刺激的な遊具でした。

毎日が楽しくて、ここを離れるのは本当に辛かったです。

3校目はまた東京へ。
今度は極端に子どもが少ないエリアでした。

各学年1クラスか2クラスしかなく、わたしの学年は1クラスしかありませんでした。


団塊ジュニアどこいった?


こんなところでいじめられようものなら地獄の日々の始まりです。

いたんですよ。
いじめっ子の女子。
ボスが。

男子が彼女のことをジャイアン。
とりまきをスネ夫と影でよんでいたのは、本人達は今でも知る由はないでしょう。

アニメの中のジャイアンは、乱暴だけど、ここぞという時は情がある悪い子じゃなかったですけどね。

やりたい放題、いいたい放題な彼女に、男子も不満を持っていたのは一目瞭然でした。

ではなぜ反抗しないか。
それはジャイアンのお兄ちゃんが、ヤンチャ系で仕返しが怖いから。

もう「ドラえもん」の世界観があべこべだったんです。

大人になった今ならわかります。
彼女のいじめの理由なんて何でもいいんです。
中学受験の憂さ晴らしですから。

ジャイアンよりテストの点が良かった。(毎回、点数きいてくる。)

ジャイアンの好きな子としゃべった。

ジャイアンのその日の気分。

ジャイアンのつるのひと声「あの子としゃべっちゃダメ。」と言われたら、クラスの女子が誰も話してくれなくなります。


何週間も。


やられたことすべて書き連ねたらキリがないので、このへんで。

ただでさえ子どもの世界はせまい。学校と家庭が世界の全てぐらい。

それなのに1クラスだから、クラス替えはない。
卒業するまでの2年ちょっとがすごく長く感じ、我慢の日々でした。

おかげでというのもなんですが、この時期が人生で1番図書館に通い、読書と映画鑑賞をしていた気がします。
(昔のテレビは映画番組が多かった。)


そんなある日、ジャイアンが2本のビデオテープをわたしに持ってきました。

「これおもしろいから観て。」

それが「風と共に去りぬ」です。

突然の指令にわたしの心のなかは「はぁ?」ですよ。

言葉には出しませんでしたが。

しかも120分テープ2本。同じタイトルが書いてある。

なげぇ。(今回調べたら3時間31分)

これ感想求められる系か?
わたしなにか試されてる?
なんでわたしに?

つまらなかったら、どうしよう。
なんて感想返せばいいのだろう。


たすけて!ドラえも〜ん!


ですが、たすけてくれるドラえもんはいないし、頭の中は「???」でいっぱいだけど、指令だから観るしかない。

覚悟をきめて鑑賞し始めたんですよ。

そしたらね。



はまりましたよ。



不覚にもおもしろいと思ってしまったんですよ。


くっ!悔しい!!!



当時は12歳ですから、南北戦争、奴隷制度、人種差別の部分は自分にとって現実味がなく、

単純に昔の悪いできごと、酷いできごと、という認識で観ていました。

それ以外のロマンスの部分。

少女マンガが大好きだったわたしにはお気に入りの展開でした。(少女マンガっていうより、レディースコミックよりですが。)

衣装も大好きなポイントでした。

ただ12歳のわたしには長すぎた。
学校から帰ると、何日もかけて少しずつ観ました。

今回もう一度鑑賞したのですが、子どものころより長く感じませんでした。

あれ?こんなもんだっけ?

そしてやっぱり衣装が素敵でビビアン・リーが美しい!

冒頭の大きな帽子にグリーンの大きなリボン。
それに合わせた白地にグリーンの花柄と腰のリボン。このドレスが1番好きです。

南北戦争前後のアメリカ南部を舞台に、炎のように激しく美しい女性スカーレット・オハラの激動の半生を壮大なスケールで描く。南北戦争直前のジョージア州。大地主を父に持つ勝ち気な娘スカーレット・オハラは、思いを寄せる幼なじみアシュレーが彼のいとこと婚約したことにいら立ちを募らせていた。そんな彼女の前に、素行の悪さを噂される男レット・バトラーが現れる。スカーレットはレットの不遜な態度に激しい憎しみを覚えながらも、なぜか彼に惹きつけられる。やがて南北戦争が勃発し、激動の時代の中でスカーレットの運命は大きく翻弄されていく。

eiga.com

原作を読んでいないので、映画から受ける印象の感想しかないのですが、

主人公スカーレットは、
自由奔放でわがまま。常に自分が注目され、ちやほやされたい。

他人のパートナー、妹のパートナーでさえも自分に振り向かせたい。

自分が手に入れたいものは手段を選ばない。

唯一、思い通りにならないアシュレーのことがずっとずっとずっと好きなのです。

12歳のわたしも、今のわたしも共通の感想は、

アシュレーのどこがそんなにいいの?

「手に入らない。」という理由以外で、アシュレーの魅力を感じる場面がほとんどないといっても過言ではないのです。

アシュレーはスカーレットとは正反対のメラニーという女性と結婚するのですが、メラニーはマザーテレサのような人で、最後まであまりにもいい人すぎて…。

正反対の2人の絆も観てほしいです。

そしてレッド・バトラーは、悪評は高いけれどスカーレットに熱烈な愛情表現をしめします。

窮地に追い込まれた時は、いつも助けてくれる。

それでもなかなか彼を受け入れないスカーレット。

自分を1番わかっているのは自分。

自分を1番わかっていないのも自分。

まさにスカーレットはそれを体現している女性だと思います。

最初から最後まで、とにかくめちゃくちゃで強気なスカーレットに、全く共感はできないものの、戦火の中でも誰も見捨てず、強く生きる姿はなんだか憎めなくて応援したくなる存在と展開なんです。

子どものころから、強い女性主人公の作品が大好きでした。

現実世界は、理不尽なあつかいを受けているのに、抵抗できない。

自分の思ったことを言えない。

一生懸命なにかをすることはダサいと嘲笑される。

自由に振る舞えない。

今思えば、なぜあんな状況を受け入れていたのか…世界が狭いって恐ろしいことです。

だからよけいに、思いのまま生きるスカーレットの作品に惹かれたのだと思います。

貸してくれたジャイアンの感想も聞いてみたかったですね。どう面白いと思ったんでしょう。

その後の行動から見ても、自戒の念はいっさい感じなかったですが。

結局、返す時に

「面白かったよ。」

「でしょ!」
「あぁ、あげるよ。それ。」

と、言われただけでした。
この「あげるよ。それ。」は

「気に入ったならあげるよ!」という良心的な言い方でなく、「もういらないからあげる。」という言い方でした。

おかげでまたしっかり爪を折り、メリーポピンズのビデオのとなりにコレクションが増えたのでした。


最後に…。


ジャイアンは
無事、中学受験に合格し
女子校に入学しましたとさ。
めでたし、めでたし。


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