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どこの家にも「我が家のお正月」がある、のか。

2020年最初の記事です。
あけましておめでとうございます。
今年はお正月休みがとっても長く、初詣に3回も行ってしまいました。
(もはや初詣じゃない)

去年まで、サービス業に就いていたこともあり
稼ぎ時の年末年始はあまり休みがなかったのですが、
今年はカレンダー通りに休めてとても新鮮でした。
年末年始に仕事をする、あのバタバタ感も好きだったんですけどね。

夫が年末ぎりぎりまで仕事をするとのことだったので
わたし1人で帰省することに。
年末に地元にいるなんて学生ぶりのことでした。

夫の仕事納めに合わせて東京に戻る短い帰省でしたが、
今回、初めて母の実家で餅つきに参加してきました。

以前も少し登場したもうすぐ93歳になる祖父が
張り切って仕切ってくれ、
それはもう業者のごとく、大量の餅を生産。
(トップの写真、こういう木箱10箱分くらい作りましたー)

”おくどさん”※と呼ぶかまどでもち米を蒸すのも、
鍋を洗う用に七輪でお湯を沸かすのもすべて祖父の仕事。
(※調べたら京都で使われている言い方みたいです。うちは京都じゃないけどそう呼んでいました)

代々農家のこの家では基本的になんでも大量生産。
農協で購入したであろう大きな音がする機械と
我々人間の手を駆使してあっという間に出来上がる大量の餅。餅。そして餅。

こんなに作ったのにまだ作るの・・・?と少々困惑気味のわたし以外
みんな何の疑問も持ちません。

母も久々に自分の実家の餅つきに参加したとのこと。
子どもの頃を思い出していたようで、すごく楽しそうでした。

そういえば、
わたしの幼い頃のお正月の記憶は
いつも大晦日から元旦にかけて過ごしていた父のほうの実家。
同じ県内でも、母方の実家に顔を出すのはだいたい2日か3日で。
残ったおせち料理と、テレビに映る箱根駅伝、
終わりかけギリギリの正月という印象しかなかったのです。

当たり前だけど、母の生まれた家にもお正月の習慣はあって
それをわたしは今まで体験していないから知らなかっただけで。
お餅の味や、おせちの中身は知っていたけれど
どうやって作っているのか、何の意味があるのかは知らなかった。

普通にガスコンロもあるから、
”おくどさん”を使っているところをちゃんと見るのも初めてでした。

「餡子の作り方、今度おばあちゃんに聞いておかなくちゃ」
と言っていた母。
結婚してから自分の実家でお正月を迎えることがなくなり、
自慢の味のレシピを聞くタイミングもなかったのだと思います。

ひとり身になった母は
たまたま帰ってきた娘を連れて実家のお正月準備に再び参加することになりました。

父の実家で過ごすのが当たり前だと思っていたけれど、
母の生まれ育った家のやり方に触れ、その存在に改めて気づいたというか。
なんで今まで考えてこなかったんだろう、と。
祖父母が生きているうちに、「母の家」のお正月に少しだけでも参加できてよかったと思います。

わたしも大人になったのか、
田舎らしいその時間が
なんだかすごくいい「家の習慣」だなって感じて。


与えられるままにぼーっと過ごしていたあの頃。
当たり前のように、
お正月はこうするものだって親から与えられてきた経験。

仕事を始めてから、
忙しない中でふと思い出すのは当然その時の記憶でした。

そういう「思い出」に
何度も温かい気持ちにさせてもらっているけれど、
祖父母の家だったからか、「我が家のお正月」という感覚はあまりなくて。

先祖代々続く立派なお家でもない限り
「これが我が家のお正月です!」という形は案外決まっていないのかもしれないと思ったり。

わたしの育った家、父の育った家、母の育った家
そして、夫の育った家。そこにもお父さんとお母さんがいて。
それぞれの「家のやり方」があり、
これからも少しづつ家族の形を変えながら続いていったり、
時にはぷつんと途切れたりもするのでしょう。

結局今年もなんとなく、
「お正月ってこんな感じだよね」というイメージで
貰って帰ったお餅を食べながらぼんやりと過ごしてしまったけれど
せっかくならもっと、聞けるうちに聞いておこう。

我が家のお正月、どんなやり方をしていくのか。
手探りでかき集めて見つけていけるといいなあと思いました。

また1年後、この気持ちをちゃんと思い出そう。


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