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ポップインサイト創業記(67)〜動画マニュアルを導入

私がリモートでのグループワークを行う上で活用している手法の1つに、“動画マニュアル”があります。今回は、私がこの動画マニュアルの手法を本格的に導入する契機となったエピソードを紹介します。

退職時の引き継ぎマニュアル作りは難しい

前号にて紹介しました様に、ポップインサイトをリモートワーク化へ体制移行させていくプロセスの中で、残念ながら社員が退職してしまうという出来事がありました。(参照:(66)〜テレワーク化のデメリットに直面する

社員が辞めるということは、その人がやってくれていた業務を引き継がなければ、その分会社の業務に穴が開いてしまいます。

特に当時は一時的な危機的状況を乗り越えようと、メンバーの半分が他の仕事をしながらポップインサイトの業務を行うという形を採っていたので、特にリソースが潤沢でない時期でした。ここで退職する人の業務をしっかりと引き継いでいかないと、さらに厳しい状況を迎えてしまう事が目に見えていました。

業務を全て動画に残してもらった

そこで引継ぎの為に、当時彼に任せていた全ての業務内容をマニュアルとして残してもらう事にしました。しかし、業務内容は非常に多岐に渡ります。これを全て文章化するのは大変な作業です。さらには、出来上がった膨大な文章を読む事もとても大変な時間と労力を要します。前任、後任の双方にとって非常に効率が悪いと思いました。

そこで、彼の業務内容を全部動画で残してもらうようにしました。退職前の1ヶ月間、PC画面を操作しながら説明を加える形で、彼が行っている全ての業務の内容を録画してもらったのです。

例えば、ユーザーテストの配信をする時にはこの画面を見てこの箇所を押していく、動画の回収が滞っている時にはこういう風にメールを送った上でこうしていく、といった感じで、恰も後輩を横にして教えるかのようにPCを操作しながら説明する様子を動画に録画してもらった訳です。

現在も活きる動画マニュアルの手法

録画してもらったデータは、YouTubeにアップして限定公開でメンバーにしか見えないようにし、業務を引き継ぐ際にこれを見て内容を理解できる様にしました。

これが現在も私が活用している「動画マニュアル」の手法に繋がっています。やはり、文章や図面のマニュアルに業務の全ての内容をまとめるという作業は、大変な上にきちんと内容を伝えられる様に文章化するのはとてもハードルが高くなりがちです。しかし、動画のマニュアルであれば、作成の為に行う作業は録画する事だけです。見る側も長文の文章を読まなくても、動画を見るだけでビジュアルを通して理解度高く作業内容を把握する事ができます。

私たちはこのタイミングから、業務の大半を動画マニュアル化して残す事にしました。勿論、最初から全ての業務の動画を完備した訳ではありません。都度都度に5分〜10分の動画を残す事で、徐々に多くの業務の内容をライブラリー化していき、最終的に約300件の動画マニュアルができました。

これらを整えた事で、社員が新たに業務を始める際には、この動画マニュアルを順に見て学習するだけで業務内容をほぼ把握できる体制ができました

▼[参考]ポップインサイトの動画マニュアルのリストイメージ

リスト



この度、私が2015年から5年以上に渡ってリモートでの会社経営・チーム運営を続けてきた中で得られた知見や実践例をまとめた書籍、『テレワーク環境でも成果を出す チームコミュニケーションの教科書』をマイナビ出版さんから出版しました。

この本の中でも“スクリーン録画”という項目の中で、動画マニュアルを導入する際のツールや実践の仕方、導入のポイントなどを紹介しています。ぜひ皆様のビジネスシーンにお役立て頂ければ幸いです。(参照:テレワーク×チームコミュニケーションの書籍を出版した理由

間違いなく有効な手法だった

ところで、リモートワークの場面で多くの方が導入している“Chatwork”というツールがあります。実は、2017年の1月に行われた“UXアカデミー特別セミナー「次世代UX改善文化の作り方」”というイベントで、ChatWork社社長の山本敏行さんと対談する機会がありました。

▼Chatworkホームページ https://go.chatwork.com/ja/

チャットワーク


▼ChatWork社社長 山本敏行さんとの対談の様子

対談


この対談の中で、山本さんもご自身のビジネスの中で動画マニュアルの様な手法を大いに活用している事を紹介されていました。

山本さんはアメリカ在住で、アメリカから日本に居る社員に指示をする訳ですが、伝えたい内容や指示を動画録画し、YouTubeにアップして社員との情報共有に役立てているそうです。これまでにアップした動画は数百に達すると仰っていました。

この手法に関して、私は完全に同意でした。まさに私が活用している動画マニュアルやスクリーン録画と同じ手法だったのです。

時を経て2020年、予想外の所から日本や世界でリモートワークがメジャーなワークスタイルになった訳ですが、この「動画マニュアル」や「スクリーン録画」の手法は、私が5年以上に渡って用いてきた上で、リモートワークにおけるチームコミュニケーションをより良くする為に間違いなく有益なツールであると言う事ができると思います。

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