見出し画像

裸で勝負

悩める少年少女、と子羊。成就させたい淡い恋慕があるというのにそれがなかなか叶わない哀れな者たち。私含む。

恋を謳った書や歌を感じては、その針が振られることを知っている。毎日飽きもせず考え、着飾り、鳴く、泣く。彼の、彼女の相槌1つとってもそれだけで100通りの分析をしてしまう科学者。

似た境遇の誰かを探しては安心し、再度相槌1つで落胆する。言葉を交わす度に間違えてしまったのかと憂いながら等身大を愛して欲しいと嘆く。何たる傲慢。

勝手に恋心を抱いては勝手に傷心し、勝手にその恋心を失くす。人間よりも人間である。失くそう失くそうと尽力しても尚ソレは消えてはくれず、自ら断ち切るには募る想いがありすぎる。

叶わぬ恋というのは何パターンもあり、皆総じてそのほど遠さに唸るのだ。

想いを寄せてはいけない立場にある、敵わない恋敵がいる、いい様に扱われている、友達止まり、或いは。

夏夜に1つのときめきを欲して想いを寄せている相手を誘うのはやめなさい。実体験に基づき聖母私が言う。それもこれも全て成就しないであろう恋心の嘆きから。

ネモフィラは奇麗である。奇麗と呼ばれるために、好かれるべくして成っているのだから。

伸びきった雑草は邪魔である。鬱陶しいとすら思える。はじめからそういう運命なのだから。

ただその肩書きが欲しいだけなのに。名前を口約束で付けてもらえればそれでいいのに。それがこんなにも難しい。

偽っても、取り繕っても尚兆しが見えないのであれば、裸の旅人に成るほかない。真っ向から勝負を仕掛けるしかない。

伸びすぎている雑草は、時に荘厳に、偉大に映るものだ。伸び伸びと凛々しく、小さい花よりは頭に残る。

夏より前に、裸の我々がゆく。夏が来る前に。
勝負の季節だと。


追記 : 私はそろそろ枯れます

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?