【PubMedで翻訳練習:Covid-19編】Cの巻: cytokine storm(サイトカイン・ストーム)
*PubMedでアルファベット順(A-Z)のキーワードに「covid19」を追加して検索→論文を1つ選びアブストラクトを和訳。(詳しくは、こちらのnoteをどうぞ)
●本日のアルファベット:C (cytokine storm) サイトカイン・ストーム + 「covid19」
●本日の論文:『サイトカイン・ストームをターゲットとした新型コロナウイルス感染症患者の管理:ミニレビュー』
Roshanravan N, Seif F, Ostadrahimi A, Pouraghaei M, Ghaffari S. "Targeting Cytokine Storm to Manage Patients with COVID-19: A Mini-Review" [published online ahead of print, 2020 Jun 19]. Arch Med Res. PMID: 32682575
●アブストラクト和訳
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックが、世界中に急速に拡がっている。過度な免疫反応が、致死的なサイトカイン放出症候群(CRS)を引き起こし、それぞれ異なる炎症性の役割を持つ腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、インターロイキン-6(IL-6)、IL-1βを含む炎症性サイトカインの過剰産生を起こす可能性がある。
全身性の免疫反応の調節が、COVID-19患者の治療に重要な役割を果たし得ることが、事例証拠により示唆されている。事の重要性および治療法やワクチンがないことを考えると、IL-6、TNFα、IL-1拮抗薬などの抗サイトカイン療法により患者の過剰な炎症状態を緩和することが提案されている。
このミニレビューでは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)による炎症経路および宿主のサイトカイン・ストームとの関係について検討した。さらに、感染した患者の過剰炎症を改善するとして提案される治療オプションについても言及した。
●PMID: 32682575
●検索日:2020年7月25日
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●感想・難しかった点
新型コロナウイルス感染症は、症状が出て一週間前後経ってから、重症化する人が多いという不思議な現象も、このサイトカイン・ストームの機序によりある程度説明がつきます。ウイルスの増殖自体ではなく、それに対する自己防御機構が効き過ぎて、重症化してしまう、というなんというか皮肉な現象だと感じます。
抗サイトカイン療法も、ウイルス自体をやっつけるわけではなく、あくまで対処療法ではあるのですが、論文にもあるように有効な治療法やワクチンがない中、命を落とす患者さんが1人でも少なくなるよう、最適な薬剤の組み合わせや量など、知見が積み重なっていくことを願うばかりです。
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