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【PubMedで翻訳練習】Gの巻:gut microbiota(腸内細菌叢)

*PubMedでアルファベット順(A-Z)にキーワード検索→論文を1つ選びアブストラクトを和訳。(キーワード・論文の選択は、独断と偏見、その日の気分です。)

●本日のアルファベット:G (gut microbiota)  腸内細菌叢

●本日の論文:『心血管疾患における腸内細菌叢の役割』
Novakovic M, Rout A, Kingsley T, et al. "Role of gut microbiota in cardiovascular diseases. "World J Cardiol. 2020;12(4):110‐122. PMID: 32431782

●アブストラクト和訳

ヒトの腸には、微生物叢(主に細菌)のコミュニティが、宿主と共生関係を結んで定着している。腸内の細菌叢と宿主の相互作用は、ヒトの生理学的な調整に重要な役割を果たしている。腸内細菌叢の構成の有害な変化(腸内毒素症と呼ばれる)は、心血管疾患を含む多くの疾患の発症および増悪と結びつけられたきた。宿主と細菌叢の相互作用の不均衡により、健康を調節している恒常性維持機構が損なわれ、心血管疾患の危険因子の増悪へとつながる複数の経路が活性化される。老化、肥満、食習慣、座りがちな生活を含む心血管疾患の危険因子の大半が、腸毒素症を誘発することが示されている。腸毒素症は、腸炎および腸障壁の機能低下と関連しており、それにより細菌の構成成分ならびにトリメチルアミン-N-オキシドや短鎖脂肪酸を含む細菌代謝産物の血中濃度を増加させ、心血管疾患の発症を促進する可能性がある。本論文では、腸内細菌叢の通常の機能および構成、腸管壁浸漏症候群へとつながる機序、心血管疾患への機構的関連性、および腸内細菌叢の修復や心血管疾患の予防を目的とした新規治療方法の可能性についてレビューする。世界的に、心血管疾患が主要な死亡原因であることから、腸内細菌叢を治療の対象として検討することにより、今後の研究にとって画期的かつ臨床的意義のある手段を提示できるであろう。

●PMID: 32431782

●検索日:2020年5月26日

*できるだけ新しい論文(「Display options」を「Most recent」に設定)、かつ論文全文が入手可能なもの(「Free full text」にチェック)を選ぶようにしています。

●感想・難しかった点

最近、私たちの健康に対して腸内細菌の果たす役割が、大変注目を浴びているので選んでみました。遺伝子の数は、その人自身のものより、腸内にいる微生物のものの方が圧倒的に多く、ヒトの肉体的・精神的状態は、実は腸内細菌が支配している、という話まで出てきており、興味がつきません。みなさん、お腹は大切にしましょうね。

英語的には、「gut microbiota」を「腸内細菌」とするか、「腸内微生物」とするかで悩みましたが、論文の中では主に細菌を取り上げているので、「腸内細菌」としました。「腸内フローラ」という言い方も、よくされますね。

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