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障害者グループホームに二人で入居した(書いた人:かがり)

恋人であるあられと、最初の共同生活が始まった。
二人で一緒の障害者グループホームに入居したのだ。

ここはとてもいいところだ。
スタッフさんも、利用者さんもみんないい人だし、ごはんも(だいたいは)おいしいし、通院や手続き、買い物のサポートもしてくれる。近所には何もないが、歩ける範囲にある駅周辺にはいろんなお店が充実していて、生活には困らない。
そして、カミングアウトしているのは管理者さんたちにだけだが、私たちセクシュアルマイノリティに対して嫌な顔一つせず、受け入れてくれた。

一日体験入居した際はすごく緊張してしまって、ここで暮らすのは難しいかもしれないと思った。
しかし、住んでみると案外平気だった。緊張する場面もやはりあるが、落ち着いて生活できている。これは、あられと一緒にいるのが大きいのだろう。

お恥ずかしながら、私は今まで家事は全部家族にやってもらっていた。これからは、食事の用意や共同部分の掃除などは世話人さんにやってもらえるが、部屋の掃除や洗濯などは自分でやらなければならない。
これも、案外平気だった。生活が始まったばかりだからか、あられがいるからか、なぜかグループホームにいるときの私は背筋がシャンとする感覚がある。今までだったら「めんどくせ~」と思うようなことも、なぜかスッとできる。

睡眠の状態も良くなった。
今までは夜12時に睡眠薬を飲んで寝て朝9~10時くらいに目覚まし時計でうんうん言いながら起きる、といった感じで、目覚ましをかけないと12時間以上寝てしまうこともざらだった。
今は、10時ぐらいに自然と眠くなって布団に入り、朝6時くらいに自然と目が覚める。日中眠くなることはほとんどない。

あと、なぜか肌もすべすべになってきた。


良い変化があったのは私だけではなく、あられもだ。

あられは眠るときに誰かと一緒ではないと悪夢を見たり、途中で何回も起きてしまったりしていた。
そのため入所初日は一緒に寝たのだが、その日私は全然寝られなかった。あられと一緒だったせいかはわからないが、それ以降あられは気を使ってか一人で寝はじめた。
そんな状況になってしばらく経つが、悪夢も見ないし、途中で起きることもないらしい。

そして、あられの話によると、うつ病の症状が無くなったらしい。
たしかに、ずっと一緒にいる私から見ても、精神状態は落ち着いている。


なぜここに入居することになったかというと、あられの家庭に問題があったからだ。

付き合い始めたばかりの頃、あられの家族の話をはじめて聞いたとき、私はとてもショックを受けた。体調を崩してしまうくらいに。
すぐに家を出よう、と言って、いろんな方法を探した。同棲、シェルター、私の家で私の家族と同居…

良い方法が見つからないまま、数か月が過ぎた。

あられから「もう限界」という言葉が出始めた頃、地域の相談窓口に相談をしに行った。
そこで、グループホームへの入居を勧められた。条件は厳しくなるが、二人でも入居できると言われた。

そこからは、トントンと事が進んだ。
私たちは見つけたところは、私たちにぴったりな条件(日中必ず外出しなくてもよい、ルールを押し付けない)だったし、空きも二人分あった。
ここなら穏やかに暮らせると思い、私たちはすぐに入居を決めた。


やっと、ホッとできる環境に来ることができた。
まだやることや課題が山積みで、あまり実感が湧かない。
でも、私たちは一歩前に進んだ。穏やかな場所に辿り着けた。それは確かだ。


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