植物に目があるって本当? ~フィトクロム~
1 導入
こんにちは、ひろきです。今日は視覚と植物について解説していきたいと思います。
植物に視覚があるなんて!と思った方が多いと思います。私も同じことを思いました笑 植物に目が無いのは小学生でも知っているでしょう。普通は目が無い=視覚が無いなので、植物には視覚が無いというのが常識です。
ところが、視覚があるんです!今日はそのことについて解説していきます。
2 前提解説
本題に入る前に前提知識について解説しておきます。今回解説する知識はずばり、「植物と光合成」です。何で光合成?と思った方もいるかもしれませんが、しばしお付き合いください。
植物は光合成を通して有機物を生成し、エネルギーを生み出します。光合成は植物にとって生きていく上で欠かせない機構なわけです。光合成は光が強いほど活発になり、より多くのエネルギーを生み出すことができます。
もちろん、ある一定の強さまでは光の強さと光合成量は比例しますが、ある強さを超えるとそれ以上、光合成量は増えなくなってしまいます。限界はあるんですね笑
てなわけでなるべく多くの光を獲得することが植物にとって肝になるわけです。そうすることで生存の可能性も高まりますし、子孫を残しやすくなりますしね。
さて、なるべく多くの光を獲得するにはどうしたらいいでしょうか。答えはいたって簡単で背が高くなればよいのです。周りの植物よりも背が高ければ、光を独占できます。
しかし、背を高くすることには2つのリスクもついてきます。
① 背を高くするには多くのエネルギーが必要になる。
② 背が高いほど重くなるので、支える茎に負荷がかかる。
特に②の問題は深刻です。植物は根から水を吸収しますが、吸収された水は道管を通って、各組織に行き渡る必要があります。重力に逆らわなければいけないので、高ければ高いほど、水を行き渡させるのは困難になります。
更に水が流れる際に水圧が発生するので、道管内の水柱が切れるリスクもあります。
つまり、背を高くしすぎるのも良くないのです。では、どうすればいいのでしょうか?
背の高さというのは相対的なものに過ぎません。例えば、1mの高さがある植物があったとしましょう。この植物が50cmしかない植物の集団に混じれば背が高いと言えるでしょう。しかし、2mの植物の集団に混じれば背が低くなってしまいます。
つまり、自分の周りの植物よりも高い身長を獲得すれば効率よく光が獲得でき、背を高くするためのエネルギーも最小限に節約できるのです。
3 フィトクロム!?
さて、簡単に書きましたが、周りの植物よりも自身の背を高くするためには、周りの身長を知る必要があります。しかし。そんなこと目が無い植物にできるんでしょうか?
はい、実はできるんです!そのためには植物が持っているフィトクロムという色素を使う必要があります。
このフィトクロムという色素は、赤い光と赤外線の量の比を感知することができます。
人間の目には植物は緑色に見えますよね。それは反射された緑色の光しか人間の目には見えないためです。一方、人間の目には見えませんが、植物は赤外線も多く反射しています。
つまり、自分の周りに他の植物が接近すると赤色光と近赤外交の比が変化して接近を察知します。そして、茎の成長速度が速まるのです。
つまり、隣接個体が存在すれば茎の伸長速度を速くして、隣接個体が存在しなければ、茎の伸長速度を遅くするのです。
実際、隣接個体がいる場合はスラっとしていて、いない場合はずんぐりしたおデブちゃんみたいになっています。
4 まとめ
植物に目はありませんが、フィトクロムという色素で視覚のようなものを身に着けています。植物は動けない分、色々と興味深い機構を発達させています。大変面白いです。
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