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仕事終わりに一杯やりながら将来の旦那に思いを馳せる。

就職を機に上京してきて、もう8年が経つ。
地元の兵庫には年に1回帰れたら良い方だ。

東京は人が多くて、楽しみも多いので帰省のタイミングを逃してしまうことがしばしばである。

赤坂や銀座に行くと、いまだに気後れしてしまうくらい田舎者気質が抜けない質で、好奇心に任せてあっちこっちをフラフラしていたのだが、気がついたら8年が経っていた。

母からは定期的に電話がかかってきて、他愛もない話をする。2人が見ているドラマの話や、気になっている俳優の話、お父さんの話などの雑談で、仕事の悩みを忘れることができる楽しみな時間のひとつだったが、最近はそろそろ電話を切ろうかという時に結婚の予定を聞かれるようになった。

大切な一人娘が独身で彼氏もいないとなれば、母親も心配になるのは当然のことである。

私はその度に「今年中にはなんとか」と、ドラマで聞いたことのある言い訳をしながら、電話の前で頭を下げ、ふんわりと母をなだめてから電話を置くのだった。


彼氏は大学時代を最後に長いこといない。何度かいい雰囲気になったこともあったが、最後は自分からその雰囲気をダメにしており、交際までは至らなかった。

「彼氏が欲しい」という気持ちは勿論ある。だがそれよりも面倒臭さが勝ってしまう。友達以上、恋人未満の関係を維持できず壊してしまうことが多い。「この人は友人」「この人は家族」「この人は顔見知り程度」と自分の中でカテゴリ分けできない人とどう接していいかわからない、という不器用な性格は、30年自分を曲げずに生きた証でもある。

自分を曲げて結婚を前提に付き合える人を探すか、自分を貫いて結婚という家族や世間から望まれる世間体を求めるか。30歳という年齢は、この命題考えるには少し遅いタイミングのような気がしていた。


そんな性格もあり、仕事終わりは基本的に家に直行する。最近は仕事が忙しく、家に帰るのはゴールデン番組が終わる頃。週末に作り置きしたおかずを電子レンジで温めている間にYoutubeを開く。

仕事が忙しいのはいいことだ。余計なことを考えずに済む。8年目ともなると、面倒を見なければならないメンバーも多く、必然的に帰りが遅くなる。家に帰ってきてからもメンバーやプロジェクトのことを考えている自分に気づき、「こりゃ結婚できないな」と心の中で呟きながら、ストーブの前で背中を丸くした。

仕事が忙しくなるにつれ、家でお酒を飲むことが増えたように思う。帰宅から就寝までの時間がなく、あらかたテレビも終わってしまっているので、楽しみがない。そういった時にお酒は短い時間で、少し楽しい気分にさせてくれる。最近は代謝も落ちてきたので、ビールは控えておりハイボールや焼酎を飲むようにしている。

ストーブの前で背中を丸くしながらおかずをつまみ、お酒を片手にYoutubeを見る時間が、1日の最も至福な時間だ。自分だけの時間、自分だけの空間。誰にも邪魔をされることなく、五感全てに刺激を与えて没頭する。そうすることで寂しさやもどかしさを忘れられることもまた、この生活がやめられない理由の1つなのだろう。

こういった趣味嗜好に共感してくれる男性はいないのだろうか。同じような生活をしている男性はいないのだろうか。

もし旦那さんがいたら。

食卓を囲み、交代でお風呂に入ったあとは、温かい寝床が待っているのだろうか。

それとも、同じ場所でYoutubeを見ながらおかずをつまみ晩酌をするのだろうか。

まだ見ぬ結婚生活に思いを馳せる。


そういった妄想をすることも、最早楽しみの一つとなってしまっていることをやるせなく思い、虚空に向かってグラスを掲げハイボールを一気に飲み干した。

日本酒の飲み方を変えて、日本酒が飲まれるシーンを増やしたい。日本酒カクテルの素、ぽんしゅグリアです。ぜひ一度HPに遊びに来てください。 ぽんしゅグリア公式HP:ponshu-gria.com