「笛吹き女より愛をこめて」


このたびはご結婚おめでとうございます。

お二人の結婚を祝して、経験者だからわかる結婚の真実をひとつ披露させていただきます。

お二人は結婚して晴れて今日から家族になります。

きっと笑顔のあふれるすばらしい家庭をお作りになると思います。


さて、

プロポーズの言葉には色々ありますが、

「君と幸せな家庭を作りたいんだ」

という言葉は実は落とし穴が点々と掘られた道のようなものだという事はご存知ですか。

え?新郎のプロポーズの言葉がまさにそれでしたか?
それはそれは、おめでとうございます。

あなたがたは、崖っぷちにお立ちになっておられます。


「家庭を作りたい」
「家族になりたい」

この言葉には実際の夫婦生活と大きな矛盾がある事に皆さんお気づきでしょうか。

プロポーズというのは夫婦になりたい、という事です。

夫婦になる、という事には色々な意味合いが含まれていますが、
その中には
セックスのパートナーという意味も多分にあります。

しかし、よく考えてほしいのです。

セックスの相手の禁忌として
「家族」というのがありますね。

あれ?

なんかおかしくないですか???


順を追って考えてみましょう。

「恋愛」に浮かれた二人は

「プロポーズ」
「婚約」
「結婚」

と夢のような幸福感に浮かれ、

「新婚生活」
「結婚生活」
そして多くが
「新生児のいる生活」

に突入していきます。

「新生児のいる生活」
に突入したカップルは特に気をつけた方がいいですね。

「家族感」
が増すからです。

子どもが生まれなくても、
結婚生活が長くなった夫婦

同棲生活が長くなったカレカノ

だってそうでしょう。

そう、恋の高揚感が落ち着いて「生活」が始まると

「家族」と「セックスする」

という状態に突入していきます。

絵に描いたような幸せな家庭を作っている夫婦はもれなく
「家族同士」で「セックス」しているのです。


それでも本当に愛し合っているカップルはそれも乗り越えていくのでしょう。

私の勝手な想像ですが

精神的に自立した男女が心から愛し合って
お互いを尊重し合える大人の夫婦生活を送る事ができているケースとか

好きで好きでたまらなくて
心から愛し合っているケースとかは

とても少ないんじゃないかと思います。

多数派の価値観に沿って
「そろそろ結婚を」

と妥協して、それが大人の決断だと思い込んで。

そのカップルは「愛し合う」という馬力に欠ける組み合わせでもあると思うんです。

あ、誤解しないでください、
「嫌いじゃない」から結婚した、というケースを批判しているわけじゃないんです。
ここで皆さんにお伝えしたいのは二人で壁を乗り越える馬力という観点での話です。

「家族同士でセックスしてはいけない」

という禁忌を乗り越える馬力がどうしても弱くなってしまうのではないか、という話です。

てかなんか、家族とセックスするって普通に気持ち悪いじゃないですか。

嫌いじゃない他人といつのまにか空気のように生活を回している、
なんて状態は余計に何かよっぽどの事件でもないと盛り上がりませんよ。


まぁ、ただ単に倦怠期の言い訳なのかもしれないし、
それを乗り越えられない人間としての弱さなのかもしれないし、
「家族」と「夫婦という名の家族」という意味合いの違いを自分で決めて
軽々と乗り越えている人もいるのでしょうし、
そもそもそんな事考えもしない人もいるのでしょうし。

ただね、

私たちは「社会のルール」を守る事で
なんとか生きる事を許されている感覚もあると思うんです。

その「暗黙の」「社会のルール」

の一つである「結婚して家族になる」

という事のハラんでいる矛盾に首をかしげてしまうのです。


つまり、

世間、社会の一員としての安定を欲して
もしくは独り身が寂しくて

結婚を選ぶ場合なんかには特に
この矛盾にくれぐれもご用心、と

経験者からの一言に代えさせていただきます。


ええそうですよ、私は妥協で結婚して
セックスレス生活15年目ですよ。
「家族とはセックスする気になれないんだ」
と夫に言い放たれましたよ。

おばちゃんが枯れていく理由がやっとわかってきた今日この頃ですよ。

最近では結婚する人たちが
まるでハーメルンの笛吹き男に連れられて次々と崖っぷちから落ちて行く子ども達のように見えてしまいますよ。ホホホホホ。


いえいえ、新郎新婦は例外ですよ、
きっとすばらしいご家庭をお築きになると思います。

オプションで一曲笛を吹きましょうか。
え?いらない?そうですか、残念です。

そうですよね、いりませんよね、
もうすでに生まれてから毎日繰り返し聴き続けているんですから。

本日は本当にご結婚おめでとうございます。
末永くお幸せに。


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