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殿も姫も素敵な人間ですがなにかぁ     【エッセイ】よもやま子育て話15

今思い返すと
もっと じっくり味わいたかったなぁと思うのです

生まれたての赤ん坊から
少しずつ成長していく姿に一喜一憂し
泣いて笑って喧嘩して
子供と一緒に過ごした
あの かけがえのない時を

当時の私には
子育てを楽しむとか味わうという余裕はなく 
無我夢中で過ごしていたのです



一番しんどかったのは
思い通りに進まない子育てではなくて
思い通りに進まない子育てに対する
周りからの言葉や視線でした

○○ちゃん(よその子)はもうこんなのができるんだね
とか

そろそろ○○できるようにならなきゃ
とか

親がちゃんと教えてあげなきゃ
とか

なんで○○させないの

なんて言葉が
ほんとうに 怖かった


この子にはこのこなりのペースがあるから大丈夫
とか

【子どもの発達段階】なんてあくまで目安
とか

常識にとらわれずこの子の個性を伸ばしてあげたい
とか

子育てのゴールは子供が社会に出るとき
人を傷つけず自立できる人間に
育てることができたら上等だ


なんて言葉で自分を安心させ
気にしないように努力はするけれど、、



人はそんなに強くないのです
気にしてしまうのです
しんどくて堪らなくなるのです


時には 子育てを終えた先輩ママさんから

なかなかできない我が子に
「できない大人なんてほとんどいないんだから大丈夫」
とか

反抗的でいつまでも落ち着かない我が子に
いっときのもんだから そのうち落ち着くよ大丈夫」

なんて優しい言葉もかけてもらいましたが
そんな言葉さえしんどくなるのです

≪自分の子供は【ほとんど】に入らないかもしれない≫
≪自分の子供が【いっとき】で終わらなかったらどうしよう≫

今なら あの時の先輩ママさんたちの言葉は
正しかったなと思えるのですが

子どもの将来が見えない子育て真っ最中の時は
何もかもが不安でたまらないのでした



昨日一歩二歩しか歩けなかった子供が
今日は四歩も歩けるようになったことを知っているのに
ついこの間まで自分で食べることさえ
できなかった子供が
今はスポーンを口に運べるようになっていることを
知っているのに

その子なりにちゃんと成長しているのを知っているのに
周りの声にせかされるように
もっと成長してもっと成長して と焦ってしまう 

自分は親として 大して成長してないのに
子どもにだけそれを望むなんて
今考えたら ひどい話ですよね(笑)



少しずつではあるけれど
確実に成長しているこの瞬間を
親にしか味わえないこの幸せを
かけがえのないこの時を
もっと楽しんでおけばよかったなと
後悔しています


我が子も先輩ママさんの言葉通り
【ほとんど】に入り【いっとき】で終わると分かっていたら

『ゆっくり自分のペースで進んでくれたまえ』

『おおいに暴れたまえ』

なんてドーンと構えてゆったりと我が子に付き合えたのに(笑)



周りからの声に振り回される頼りない私でしたが
心の底では
我が子は天才かもしれない 
とも思っていたのです

(たぶん すべての親は同じだと思うのですが)

●挨拶できない我が子の姿に
≪ママ友におむつ替えてもらっても
 恥ずかしいと思わなかったのに
 恥ずかしがるようになったなんてすごいなぁ≫

●ウルトラマンの本を見ながら怪獣の名前を叫ぶ息子に
≪お勉強の本ではカタカナに興味を示さないのに
 この子は天才だ≫

●娘:「これなんやと思う?」
 母:「何かなぁー ダンゴムシかなぁー」
 娘:「違う 鼻くそー」
≪娘が初めて目的を持って描いた絵が【鼻くそ】なんて
 この子は 将来が楽しみだ≫

●ハーフのお友達の 「ヤロー 貸してー」に
 スーパー戦隊のイエローのフィギュアを渡した息子
≪この本格的な発音が聞き分けられるなんて天才だ≫

●私と本気でけんかしている最中に論破してくる子供たちに
≪君たち 天才かぁー≫


そして
いつもいつも生活態度で叱られる息子が
小学4年生の時
家庭訪問で訪れた担任の先生から

「お母さん わたくしね 
 長いこと教師をしていますけれど
 ゆうとさんのように 
 打てば響くような お子さん
 初めてです」

こんな素敵な言葉をいただいたこともあります
先生 あの時の言葉 今でも宝物です
有難うございました


周りの言葉に振り回されてばかりの子育てでしたが

我が家の殿も姫も 素敵な人間にそだちました
それがなにかぁ😠
(笑)(笑)

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