2歳からの絵本の選び方のコツ

 2才前後から3才前の子どもにとって、絵本はめくって楽しいおもちゃです。目で見て頭で考えて手や体をどんどん動かしたい時期ですから、大人からみるとせわしなく落ち着きなく見えます。絵本も読んであげようとするそばからバラバラページをめくりたがったり、他の遊びをしだしたりします。

 この時期の絵本は、フラップや穴などのちょっとした仕掛けがついていて、おもちゃのように楽しく遊びながらめくっていける絵本がぴったりです。特に欧米の絵本には、ボードブックの丈夫なものがたくさんあります。

 周囲の大人は、せわしなくめくったり見たり指で触ったりする小さな子の動きに合わせて「象さんお鼻長いね。パオっていうよ。そっちはペンギンさん。それは3、猫が1,2,3、3匹いるね。」など話しかけて、一緒に指をさしたりしてみて下さい。読み聞かせるというよりは、子ども主体で合いの手を入れる感じで言葉をかけてあげて下さい。上の空のようで、お耳の良いお年頃ですから、実はどんどん入っていって、ある日ポコッとかわいいお言葉になってつながって出てきます。根気よく寄り添ってお話してあげて下さいね。

 2歳過ぎてくると、大人が言うこともだんだん理解して来て、お言葉が余り出ていない状態でも、会話のキャッチボールが成立してくるようになります。そうすると大人の方は、もう子どもがいろいろ分かっているという前提で会話を進めてしまいがちです。けれど、この時期の子どもは、大人の言うことを理解することは、ある程度スムーズに出来たとしても、自分の気持ちを言語化して思考することは、それほどスムーズに出来ないでいます。ですから、大人が何か訊いても、聞こえていて聞こえないふりをして、無視しているように見える時が結構あります。「自分が話しかけたことを無視された」という受け止め方をすると、声を掛けた大人の方は、少し引っ掛かって苛立ちを覚えたり、反抗されたと思ったりするかもしれませんが、この状態をアメリカ人のママが「Full of Ideas」と表現しているのを聞いて、なるほどそうかと腑に落ちました。つまり、大人の問い掛けに一生懸命答えようとして、いろいろな気持ちが溢れて来る中で、上手に言葉や行動を選べないでスタックしてしまっている状態にあるのだということです。その時に自分がやっていることの手は止まらないので、まるで無視して自分の好きなことを我がままに押し通そうとしているように見えてしまうのですが、実はちょっとオーバーフローを起こしかけている場合が殆どです。

大人は、2歳くらいの子どもの、この心境を理解してあげて、無視されたら少し待ってもう一度ゆっくりお話して、様子を見て、ということを根気よく優しく繰り返してあげて下さい。ただでさえ「もっと遊んでいたい気持ち」「大人の言うことを聞かなきゃという気持ち」の狭間で大きな葛藤を抱えて、上手く切り替えが出来ずにいる幼い子供に「無視されたと思って不機嫌になっていく大人をどう取りなせば良いのか?」「ちゃんと答えなければいけない」「もっと遊んでいたい気持ちを我慢できない」…と、更に難しい状況に追い詰めてしまっては、もう大泣きして暴れるという、ある種パニックのようなところに行かざるをえなくなってしまいます。

大人は、子どもの一挙手一投足に、あまりピリピリ神経質にならずに、鷹揚に受け止めつつ、根気よく丁寧に、言葉を尽くして説明し、言い聞かせすることが大切です。ここは、自分の成熟度と忍耐が試されていると、大人自身も、自分の課題と思って、我慢強く接することが大切です。

 この頃の絵本で、短いストーリーのしつけ絵本が、いろいろ出ています。寝る前の、心が落ち着いて静かな時間に、絵本を通して、お昼間の駄々こねや癇癪、我がままや大泣き、乱暴な振る舞いについて、少し冷静に、幼い子どもに振り返って考えさせるためにも、こうした絵本は有効です。日本語の絵本では、せなけいこさんの「ねないこだれだ?」のシリーズが、おすすめです。

 その時も、お子さんの過去の振る舞いを言いつのったり責めたりしないで、絵本の中の子どものこととしてお話して「〇〇ちゃんは、ちゃんとできるよね。今日できなかったことも、明日目が覚めたら、もっと大きくなって、もっとお兄ちゃん(お姉ちゃん)になるもんね。明日はきっとできるね。おやすみなさい。また明日。」と、優しく寝かしつけるだけで、その子は自分で振り返って、その子なりに考えます。そして「明日は、きっとこうしよう」と自分で決めて、安心して眠ることができるはずです。安心して眠れば、日一日子どもは、スクスク成長していきますから、大丈夫です。

 危ないことやしてはいけないことを制止して止めさせること、何故ダメなのかを話して聞かせることは大切ですが、厳しく責めたり、罰したりする必要は、このくらいの幼い子どもには、一切必要ありません。悪いこと、危ないこと、乱暴なこと、大きな声を出したり泣き喚いたりすること。それは、いずれも「大人のアテンションが欲しい」時に出る行動です。大人は、叱ったり、イライラしたりせずに「ははあ。アテンションが欲しいんだな」と立ち止まって、ハグして、その子の言い分を聞いて、その子なりの言い分を認めてあげた後で、静かに根気よく、大人の事情を丁寧に言い聞かせてあげて下さい。

 そうは言っても、とても時間も気持ちも余裕がなく、ラフな態度で子どもをあしらってしまう瞬間も、もちろん日常の生活の中では多々あります。その場合も、後で気持ちに余裕ができた時に「あの時、このようにあしらったことはすまないと思っている」ということを子どもにちゃんと伝えて、ごめんなさいをして下さい。そうすることによって、子どもは「自分が悪いことをしてしまっても、ちゃんと誠意を持って謝れば、相手は温かな気持ちになって許してくれる」ということを、身を以て体験して学びます。

 「見つめる」「見守る」「認める」「褒める」「受け入れる」「理解する」「心から詫びる」…こうした複雑な人間の気持ちを受ける側が、どれだけ嬉しく、心温まるものと感じるかを、一つ一つ積み上げて教えていく大切な時期ですので、周囲の大人は、大変でしょうが、丁寧に根気よく、子ども達の、この時期を支えていって上げて下さい。「三つ子の魂百まで」と昔から言われるように、この時期の経験が、その子の人生を大きく左右する大切な時期なのです。

 絵本は、そうした複雑な気持ちを味わい考え、その子の心を大きく豊に育てていく大切な道具であり、大人と子どもの気持ちを優しく交流させる場をつくってくれるものでもあります。子どもと上手く会話できない、コミュニケーションが取れない、気持ちが通わないとお感じの方には、ぜひ日常に絵本を取り入れて、お子さまと一緒に過ごす時間を楽しんでいただけたらと思います。

 3才以上の子どもでも、読み聞かせするストーリーブックが好きな子ども、図鑑や事典のような絵本が好きで、自分の好きなところを好きなように見て、知りたいこと読んでほしいことを聞いてくる子ども、絵探しやだまし絵、細かい絵などの遊び絵を楽しむ子どもなどなど、いろいろな子どもがいます。読み聞かせするストーリーブックに関心を示さないからといって「この子は本が好きじゃない」と諦めないで下さいね。その子その子にぴったりの絵本への入り口がいっぱいありますから。そうした面白い絵本との新しい出会いは、周囲の大人にとっても新しい世界を知る愉しみがあります。子どもと一緒にワクワク楽しんで下さい。

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