アルバム “で” 聴こう
「ながら作業」が苦手だ。ついつい聞く方に集中して、肝心な作業をダラダラやってしまう。逆に作業に集中すると、せっかく聞きたくて流していたのに全く内容が入ってこない。
だから最近、音楽は2〜3曲ずつ選んで聴くことが多かった。すると、世界観に没頭出来て、気づいたら終わってたという悔しさからも解放された。そして家事や何かの作業をする時も無音にした。脱ダブルタスク生活は期待通りにストレスフリーだったと思う。
ただ、日中は仕事で目まぐるしく忙しく、夜はnoteを書き続ける毎日の中で、音楽のためだけにまとまった時間を割けられなくなっていた。
アルバムを最初から最後まで通して聴く機会がなくなっていたのだ。
ライブのセトリと同じように、アルバムの曲順もアーティストからの大切なメッセージ。フルで聴くことで、彼ら・彼女らの伝えたいことがわかることもあるだろう。でも時間がないのを理由にして最近は、その「伝えたいこと」へのアンテナを立てられずにいた。
今日の朝は頭をシャッキリさせたかったので、GLIM SPANKYの『grand port』を聴いた。この曲は、夢があるのに外の世界へ飛び立たないでいる絵描きが主人公。映画『アメリ』の重要人物であるあの老人を思い出す。また違う機会に色々と書いてみたいが、私はこの曲がGLIMの曲で一番好きだ。
相変わらず良い曲だな、今日一日がなんだか楽しみになってきたな、と感心しながら聴いていると、次は『時代のヒーロー』『話をしよう』…と流れていった。
『時代のヒーロー』は今までなかなか聴かなかった。『話をしよう』は以前からかなり好きだった。今日、『grand port』からの流れで聴いてみて、前者はこんなに良い曲だったのかと新発見だったし、アルバムという1つの流れの中で聴くと違った印象になるなと新鮮だったのが後者だ。
そして夜、これら3曲が収録されたアルバム『Next One』をフルで聴いた。どれもこれも名曲がズラリで、このアルバム本当に好きだ!やばい!とGLIMを好きになって一年以上経つのに、今更ながら感動した。
何がすごいかって、『grand port』だけでも「後悔のないように生きたい」「自分の素直な気持ちに従って、夢へ一歩一歩進みたい」こんな気持ちが強まるのに、それが×10(曲数分)。一曲聴くだけでは得られないパワーを得られたのだ。
アルバム1枚をフルで聴けるゆとりがあれば、心も体も豊かに生活出来るのかもしれない。毎日の時間の過ごし方にはきっとまだまだ無駄がある。それに、家事や作業のBGMに向いているアルバムとそうでないアルバムがあるのだと思う。
平凡な結論だが、大好きなアーティストからのメッセージを受け取れるか否かは、私の生活の工夫次第でいつでも可能なのだ。
幸いにも『Next One』は洗濯物を干しながら、食器洗いをしながらでも聴けるアルバムだった。だから、まとまった時間がやってくるまで放置することなく(そんな時間ができたとしても放置したままだったかもしれないが)、今日聴けたのだ。
サブスクで音楽の色々な聴き方ができる今だからこそ、原点回帰したい。アルバム“で”聴けば、音楽の効き目はより一層高まるのだというところに。
『Next One』を聴きながら食器を洗った台所は、いつもより愛おしく見えた。
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