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【ショートショート】国民法律制定法の最期【立法権の思い出】

  国民法律制定法の最期

 この国では無作為に選出された人間が好きな法律を作ることができる。すべての学校給食におやつをつける法律、弱者救済法、俺(法律制定者)を敬う法律……。
 色々な、人が居た。
 彼は私に謝った。――良いこともたくさんあった。しかしこの国の人々はどうも権力を良くないことに使いたがる。僕はそれを何とかしたかった。
 私は、それでよいのだと答えた。
「この法律は、国民法律制定法(××暦二百年法律第百五号)の廃止によって、国民権力の過度な暴走を抑制し、真に国民に必要な制度を導入、廃止及び整備し、国家の健全な発展と国民の公共の福祉に資することを目的とする」
 過去の政治家が何故あのような制度を作ったのかは分からないが、彼のような聡明な若者の存在はこの国にとってはプラスだ。
「ありがとう」と青年が云う。
 私は「それが仕事だから」と答えた。

 少し後になって、立法府に新たな議員がやってきた。そこにはあの国民法律制定法を廃止した、かつての青年の姿があった。

 毎週ショートショートnote
 裏お題「立法権の思い出」
 文字数410字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)