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おっさんはなぜ若者に奢りたがるのか?

おっさんは"甲斐性"を適度に発揮していないとおかしくなる生き物だ。

自分の成長に限界を感じ、人生の終点を意識し始めたアラフォー以降のおっさんは、家族に甲斐性を発揮して慕われたり、子供や部下、後輩といった若い世代を育てたり、何か目に見えて形に残るレガシーを残したくなる。

若い頃は自分さえ気持ちよければいい、チヤホヤされればいい、といった自己中心的な考えでも問題ない。しかし、ある程度年を取り無駄遣いもしなくなって、金銭的にも時間的にも余裕が出てきたおっさんは、いよいよ自分のためだけに生きることに満足できなくなるのだ。

中年になったおっさんが自分に投資したところで、伸び盛りの若い頃のようなリターンは望めない。ランニングや筋トレなどはまだ多少の伸びしろはあるかもしれないが、それも最初の数年だけだ。すぐに頭打ちになる。スポーツでは若者には敵わず、勉強は集中力が続かない。美容や筋トレ、ダイエットをいくら頑張っても、20代の頃のようなみずみずしい身体を取り戻すことは叶わない。そんな時、男は人生のバトンを誰かに渡したくなる。自分以外の誰かに投資して感謝されたいという欲求に駆られるのだ。

9年の実刑判決を受けて話題となった頂き女子りりちゃんは、獲物となるおっさんの特徴を『孤立したトモダチのいないおっさん。彼らは承認されることに飢えていて"誰かを助けて感謝されること"が大好きだから』と頂きのマニュアルに書いていた。卑劣極まりない犯罪者の言葉ではあるが、おっさんの心理を鋭く突いていると言わざるを得ない。

誰かに甲斐性を発揮して救いたい気持ちが強いおっさんほど、社会のハイエナたちの格好の獲物となる。ハイエナたちは、誰かに貢ぎたい、そして感謝されたいおっさんを見抜く嗅覚に長けているのだ。適度に男気を見せたいおっさんは、彼らにとって絶好のターゲットなのである。

ハイエナに狙われないためにも、おっさんは定期的に甲斐性を発散していく必要がある。誰かに尽くし、感謝され『お前も後輩に同じことをしてあげればいいから』などと浅い人生論を語りたい。孤立したおっさんほど、心の奥底ではそう願っているものなのだ。

しかし、ここで大きな問題が立ちはだかる。残念なことにおっさんの無償の愛を受け取ってくれる相手がいないのだ。誰もアラフォーアラフィフのおっさんの愛や甲斐性など求めていないのである。

職場の部下や後輩を飲みに誘えば飲みハラ、熱心に指導すればパワハラ。趣味やSNSの飲み会に顔を出しても、若者の中で浮いてしまい居場所がない。いい年して独身で、平凡な収入のおっさんに対する女性の目は冷ややかだ。アプローチをかけようものなら、唯一の武器である仕事さえも失ってしまいかねない。独身のおっさんが持つマグマのような愛や甲斐性、男気を受け止めてくれる他人はいないのである。

筆者は以前より、45歳以降の人生後半戦を平穏に過ごすためにも、男性は結婚して家庭を持つべきだと訴えてきた。その最大の理由が、家族こそが平凡なおっさんの甲斐性や愛情を受け止めてくれる唯一の存在だからだ。結婚は人生の墓場だ!自分の稼ぎは自分のために使う!といった考えは、遊ぶ体力があり、スポーツでも勉強でも仕事でも、投資した分だけ見返りが得られる20代の間だけの特権なのだ。

熱くなったおっさんはウケが悪いが、落ち込んだおっさんはもっと嫌われる。弱みを見せれば叩かれ、誰かに助けを求めれば頂かれる。それがおっさんの現実なのだ。おっさんがぶっ壊れるまで無理をしてしまうのは、自分の弱さを受け入れてもらえる場所がないことを知っているからに他ならない。

孤立したおっさんはもちろん、家庭に恵まれたおっさんも上手に甲斐性や承認欲求と向き合わなければならない。家族だからと言って、おっさんが過剰な愛情を押し付ければ、家族みんなが息苦しくなってしまう。子供のスポーツや受験に本人以上に熱中するパパは沢山いるが、あれでは気の弱い子供は非常に大きなプレッシャーを受けてしまい、場合によっては潰されてしまう。

独身であれ既婚であれ、おっさんが甲斐性や愛情を上手く発散するためのカギはとなるのが……

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