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東京マラソン2021でのサブ50挑戦のために取り組んでいること

サブ3挑戦のための準備をしてきた東京マラソン2021(10月17日)が延期になったことでトレーニングプランの大幅な見直しに迫られました。いくつか選択肢があった中で、2022年3月6日の東京マラソン2021(Fiscal Year)でサブ50を目指すことに目標を上方修正して、引き続きトレーニングに取り組んでいくことにしました。

10月開催が絶望的になった時点での選択肢

東京マラソンの10月開催中止が濃厚となってきた時点での選択肢は
まだエントリー可能だった富士山マラソンにエントリーしてサブ3達成を目指す
ことが最有力でしたが、富士山マラソンはAIMS公認大会であるもののアップダウンが激しいコースに自信を持てなかった点、2022年のボストンマラソンのエントリー期間(2021年11月8日〜11月12日)より後の開催であり、いずれにしても2022年にはボストンにはエントリーできないことが確実であった点から富士山へのエントリーを見送りました。

その後、東京マラソン2021の開催が2022年3月6日に延期されることが正式に決定し、その時点で、このままサブ3目標でのトレーニングを継続するのか、目標を上方修正するのかを検討しています。既にサブ3相当の走力がついている確信があり、不安要素を取り除きながら、その再現性を高めていくことが無難に思えました。が、せっかく半年間も追加でトレーニングできる期間ができたので、サブ50目標に上方修正し、ニューヨークマラソンやベルリンマラソンの出場基準も視野に引上げていくことを選択しました。
※サブエガという言葉があまり好きではないので、私はサブ50と表記しています

現状分析(2021年10月中旬時点)

サブ3目標のトレーニングをしていた時点で5kmのタイムが17:25でVDOT58.5に達しており、既にスピードの面では不安のない状態になっていました。一方で10kmやハーフマラソンのタイムはサブ50基準には達していない典型的なスピードタイプで、スピード持久力とスタミナの面では改善が必須だと感じていました。特にスタミナについては優先度の高い課題であり、3月に向けた新たなトレーニングプランもその点の強化の比重を(特に基礎構築期において)高めることにしています。

サブ3練習ではやっていなくて、サブ50練習から取り組み始めたもの

サブ50目標のトレーニングプランでは新たに取り組むことにしたものは下記の5点です。

① 期分けの導入
② 定期的な休養週の導入
③ レペティションとVO2Maxインターバルによるスピードの養成
④ バリーエーションのある変化走
⑤ 時間走(レースタイム以上)

① 期分けの導入

サブ3練習の時は、期分けという概念自体は目にしていましたが、全ての能力を総合的に一気に引き上げることにしてしまっていました。その結果、スタミナがなかなか着いてこない現実がありました。9月以降になって練習メニューをスタミナに全振りしていったことで、順番的には最後にスタミナを乗せる形になりましたが、なんとか仕上げることができました。これにより、期分けの重要性が語られる意味を実感できた気がしています。

サブ50練習にあたっては、基礎構築期を3週間×2セット、強化期を3週間×2セット、仕上げ期を2週間×1セット、テーパリング期を3週間という構成にしています。

② 定期的な休養週の導入

サブ3練習の時は20週連続でほぼ同じ強度でやっていくトレーニングプランでしたが、途中に故障もあり、なかなか消化率が上がらない現実がありました。明らかに回復が追いついていなかったと当時ですら感じていたにも関わらず、トレーニングプランを消化することにとらわれてしまい、大きな反省点を残してしまったのです。

サブ50練習にあたっては、上記①の期分けの3週間サイクルごとに1週間の休養週を設ける3+1のような形にプランニングの段階から意図的に設定しています。休養週は完全にオフにするのではなく、テーパリング期と同じように、前週までのメニューの距離や本数を減らして適度に疲労を抜いてあげるイメージをしています。フィジカル的な回復と同時に、メンタル的にも程よく息抜きができるようになり、そうした面でも休養週を設けることの重要性を感じています。

③ レペティションとVO2Maxインターバルによるスピードの養成

サブ3練習の時は1回か2回だけVO2Maxインターバルを(気分で)実施したことがありましたが、Tペース走によるLT値の改善と、Eペース走の後のウインドスプリントだけでもタイムを伸ばせており、VO2Max向上に注力する必要性があまり高くない状況でした。

しかし、サブ50、さらにはその先のサブ45(=ベルリンマラソンに抽選なしで出場できるタイム)を見据えた時に求められるスピードを、Eペース走の後に何本か入れることにしていたウインドスプリントだけでは養成しきれないと感じていたため、ハードではありますが取り組んで行くことにしました。

④ バリエーションのある変化走

先日、Noteでも考察したキプチョゲ式インターバルのほかに、
(Tペース3km+Eペース1km)×3セット
(Iペース1.2km+Eペース2.8km)×4セット
(Mペース2km+Tペース1km)×4〜5セット

を強化期〜仕上げ期のメニューとして想定しています。MペースとTペースの変化走は最も特異性の高いメニューとして位置付けており、1月下旬から4週程度取り組む予定です。

⑤ 時間走(レースタイム以上)

レースより速いスピードで短い距離を走る練習(Tペース走やインターバル)と、レースよりも長い距離(or 時間)を遅いスピードで走ることを積み重ね、それを融合していくのは、長距離種目のトレーニングの基礎的な考え方です。が、フルマラソンの場合、レースよりも長い距離を走ろうとすると45kmや50kmになってしまい、練習メニューの中に組み込むには身体に与えるダメージが大きすぎ、トレーニングの継続性の観点でも懸念が出てきます。
そこで、距離は抑えて、レースよりも長い時間をEペースで走る時間走(サブ50目標なので180分間走)を全部で3回取り入れることにしました。ダニエルズは「(Mランニングの)生理学的な効果はEランニングと全く変わらない。」と言っており、その中でレースタイム以上の時間を走りますので、極めて特異性の高い練習になります。

ただし、ダニエルズが示している「(週間走行距離が64km未満の場合)走る距離は1回につき週間走行距離の30%以下にとどめたい。それ以上の人は、週間走行距離の25%か150分間走のどちらか短いほうを上限にするとよいだろう。」との基準を大きく上回ってくることになります。そういう意味でも、レースタイム以上の時間走は、頻繁に行っていいものではありませんし、前後の何日間かを含めた総負荷の調整・準備・回復を怠らないことが、本当に重要だと考えています。
私の場合、少しでも継続性を確保しやすくするために、比較的負荷が抑えられている基礎構築期や、②の休養週の直前に入れるような工夫もしています。

サブ3練習から継続的に取り組んでいるもの

ここまではサブ50練習から新たに取り組み始めたものでしたが、ここからの5点はサブ3練習から継続的に取り組んでいるものになります。

⑥ Tペース走によるLT値の改善
⑦ Eペース走の積み重ねによるベースの拡大
⑧ スプレッドシートによる練習管理
⑨ 練習内容によるシューズの履き分け
⑩ 毎日の筋膜リリース&ストレッチ

⑧ スプレッドシートによる練習管理

マラソントレーニングとプロジェクト管理の相性はよく、キーになる数値をどういう形で捉えてサイクルを回していくのか?という視点が非常に重要だと感じています。具体的な考え方やテンプレートは下記のNoteにまとめています。

⑨ 練習内容によるシューズの履き分け

記録を目指す市民ランナーにはもはや当たり前レベルだと思いますので、自分のシューズ構成のみ記載します。

ジョグ〜遅めのEペース NIKE インヴィンシブル・ラン
Eペース〜モデレート NIKE ペガサス37
Mペース以上 NIKE ズームフライ3

NIKEの白系シューズばかり

ここまで厚底レーシングモデルのシューズは未投入でやってきています。レペティションも、インターバルも、タイムトライアルも全てズームフライ3です。本当は9月下旬にやったサブ3想定の30km走から投入する予定でいましたが、大会が延期になったことで温存して、そのままズームフライ3でこなしていました。
とはいえ、3月の東京マラソン本番と直前の仕上げ期はヴェイパーフライネクスト% (or VFN%2)を投入し、厚底レーシングシューズの恩恵を最大限に受けて全力全開でいくつもりですし、ここが自分の伸びしろだと信じ込ませています。

おわりに

私がいま取り組んでいることは、あくまで教科書通りの当たり前のことを、疲労からの回復を強く意識しながら、無理のない範囲で積み重ねていく地道なやり方です。
運動生理学に基づいたトレーニング理論に沿ったメニューも決して楽なわけではありませんし、必要最低レベルの負荷だと言われてもキツく感じるものもたくさんあります。それでも、どこまで負荷を下げても練習効果を得られるのか?どこまでに止めれば回復を追いつかせられるのか?自分のフィジカル、メンタルの状態に真剣に向き合い、注意深く準備していくことこそが、目標達成への最短距離だと思います。

走った距離は裏切らない!とか、覚悟の5ヶ月を乗り切れば目標タイムを達成できる!とか、本当に厳しい鬼メニュー、鬼鬼メニューをやり切れれば勝負に勝てる!というぱっと見は派手で、なんとなく即効性がありそうな精神論的なメソッドは、極めて個別ケースであり、決して普遍的ではないと思っています。
なにより、走った距離に牙を剥かれ、その覚悟の鬼メニューで故障して十分な準備ができないままスタートラインに立つ事になってしまったら…、場合によってはそのスタートラインに立つことさえできなくなってしまったら…。目標達成どころではなくなってしまいます。故障をするかしないかはやってみないと分からない、運良く故障しなければ目標にたどり着ける(かも知れない)ギャンブルのようなトレーニングプランになってはいけないと考えています。

自戒も込めてですが、このギャンブルの罠に陥らないように細心の注意を払いながらできる努力を積み重ねて、3月の東京マラソンでサブ50を達成できるように頑張っていきます!!

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