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【読書メモ】「武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50」を読みました【感想】

はじめに

 今回は「武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50」( 山口周 ) を読んでみました。哲学の本を読んでみようと思い立ち、開いてみた一冊です。Kindle unlimitedで読むことができたのも大きかったです。

※KindleはAmazonが提供している電子書籍のサービスです。そしてKindle unlimitedは月額980円でKindleで販売されている本の内、約31万冊の本が読み放題になるサービスです。色んな本を読んでみたい方には特におすすめのサービスです。

 ページ数は少し長めのkindleにて324ページになっています(平均読書時間は約5時間の様です)。読み応えがある本でありかつ、哲学という学問の本質上、読み解くのは難しめであるかもしれません。

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どんな人におすすめか

 序論や目次を読んでみると、本書は主としてビジネスパーソンに向けて書かれたものであることが分かります。この本で学ぶことができる哲学とは、小難しくて何を言っているのかよく分からない陳腐な言葉ではなく、ビジネスの世界でも役に立つものであるということです。このことを踏まえて、こんな方々におすすめです。

・なんとなく哲学に興味を持っている人
業務で役に立つ様な教養を得たい人
・今まで哲学について学ぼうとして挫折した人

内容

 過去の哲人が残した思想や思考のプロセスが、50個のキーワードとともに記されています。そしてそれぞれのキーワードについて、そのキーワードから何を学び取れるか、その内容で実生活に活かせるポイントはどこかについて解説されています。今まで哲学を学ぼうとして挫折した人でも学べるようにと配慮されていて、一般的な哲学入門とは一風変わった本と言えます。具体的に「目次に時間軸を用いていない」「個人的な有用性に基づいている」「哲学以外の領域もカバーしている」という三つの点が、一般的な哲学入門とは違うと述べられています。
 
 本書では、かつての哲学者から得られる学びには、「プロセスからの学び」「アウトプットからの学び」の二種類がある、という点に着目しています。かつての哲学者が導き出した答え、すなわち「アウトプット」から得られることは、現代社会にはそぐわない点があります。しかし、その「アウトプット」に至るまでの思考の「プロセス」から得られる学びが存在しているのです。その「プロセスからの学び」として得られる内容についても、各キーワードで解説されています。

 改めて、哲学達の学びをどうやって実生活に活かすのか、その点に着目して書かれている本になっていると言えると思います。

そもそも哲学とは?

 ここで根本的な問題として、「哲学とは何か?」という問いに触れたいと思います。

Wikipediaで哲学について調べてみると、「知の探究」という意味もあり、「個々の哲学者による哲学探究の成果」という意味もあるそうです。そして「実存主義など世界・人生の根本原理を追求する学問」とも述べられている。これらの文の並びを見た私の感想は一つ。

意味が分からない\(^o^)/

 そこで色々調べて「哲学とは」という問いの答えを無理矢理一言でまとめてみようと思いました。結論として哲学とは「考えること」を学ぶ学問、と言うのが私なりの解釈です。そしてその思考方法や、思考した結果を知ることで、「思想」と「思考方法」の両方を学ぶのが哲学なのだと考えました。そしてそう捉えたとき、私が紹介している本書を読む際も、読者一人一人に一つ一つのキーワードの意味を「考えて」もらうことが筆者の願いの一つであるのではないかと私は思います。

私が気になったキーワード

 本書で紹介されている50のキーワードの中から、私が気になったキーワードを三つだけピックアップし、自分なりの解釈を加え紹介します。

①ロゴス・エトス・パトス

 人を説得して行動を変えさせるには、ロゴス(ロジック、logic、論理)エトス(エシックス、ethics、倫理)そしてパトス(pathos、情熱)の三つが必要であるという、アリストテレスの主張です。理系的な人はロジックで、文系的な人はエトスで、行動派の人はパトスで人を動かそうとする傾向にある、というのが私の考えです。自分が人を動かそうと説得するとき、どれかが欠けていないか今一度考えてみるべきなのかもしれません。日本人は「エトス」を重視しすぎている印象を受けます。「良心の呵責」なんて言葉もありますし、人の良心、すなわちエトスに訴えかけることが文化になっているのかもしれません。

②予定説

 ジャン・カルヴァンは16世紀に始まったキリスト教宗教改革初期の指導者であり、今までのキリスト教とは違う「予定説」という考え方を生み出した人物です。予定説とは「神様に救済されるかどうかはあらかじめ決まっていることで、この世で積んだ努力は関係ない」という考え方です。この思考に基づくと「努力が報われるとは限らない」という結論に行きつきます。報われるか分からない努力なんて意味がない、と感じもしました。それと同時に、努力が必ず報われるのならみんなが努力しているはずだとも思います。私は基本的に無神論者なので、「神様が予定を決めた」とは思っていませんが、この「努力が報われるとは限らない」という結論には少し思うところがありましたので、ピックアップさせていただきました。

③無知の知

 古代ギリシアの哲学者、ソクラテスの言葉の中で一番有名なものではないでしょうか。この「自分は知らないということを知っている」という状態があって、初めて人はその「知らない」ことを知ろうと思えるのです。何かを「分かった」気になり、自分が「分かっていない」ことに気づくことができないと、人はそこから何も学びを得ることはできません。何かを学びたいと思う時、まず自分が何を「知らない」のか、そこから考えるべきなのかもしれません。

感想

 哲学は「考えること」を学ぶ学問であると思うと、それぞれのキーワードについて少しずつ解説が加えられているという本書は、自分の頭で考えるということにとても向いていて、哲学の入門にはぴったりの本であると思います。自分なりに色々なことを考えてみることの、良いきっかけになる本です。本書だけで納得できないことを調べつつ、人それぞれの解釈を持ちながら読み進めることに価値があるのが「哲学」であると思います。

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