【心理学】誹謗中傷と戦うための自己批判ノート【メンタル】
はじめに
誹謗中傷を撲滅しよう。
自殺にまで追い込まれてしまった芸能人が出てきて、とても今更ながらそんな声が大きくなってきました。いじめで自殺に追い込まれる人がどれだけいても、大して変わらないこの日本社会においては、そんな声もそのうち聞き流されてしまうのかと思っています。だからこそ、誹謗中傷を受ける立場になった時のことを考えなくてはならない時代なのではないでしょうか。自分の経験と知識の二つから、このSNS全盛期において、誹謗中傷とそれによって起こる自己批判と戦うための手段を、記していこうと思います。
私は学生時代、仲間や友達に「ブサイク」と呼ばれていました。当時の私は「あぁ、自分はブサイクなんだ」と受け入れることで、過度に傷つかないようにしました。私にとって、他人に言われ続ける悪口は、本来ただ「他人が言いていること」に過ぎないはずなのに、いつしか「自分自身が思っていること」に変わっていきました。今世の中に蔓延している誹謗中傷によって傷つく人々の中には、僕と同じ様な思考に陥り、心を壊されている方々もいらっしゃるかもしれません。「他人の悪意」と、「自分の感情」の二つが混じりあった結果、自分を肯定できなくなり、自己批判に陥っていくのです。
これを少しでも回避し、「他人の悪意」と、「自分の感情」の二つを切り離す手段はいくつかあると思います。その中で私が現在取り組んでいて、かつ誰でもできる手段として、「自己批判ノート」をつけることを紹介します。自分の感情を客観視することで、自分の感情を整理し、自己批判的思考と戦う手段の一つです。
自己批判ノートのつけ方
これはうつ病などに効果があるとされる「認知行動療法」の手法の一つだそうです。いくつかの書籍で紹介されているかと思いますが、私が参考にした書籍は以下のものです。
【第三部】の第五章を参考にしています。これは私なりのやり方なので、詳しい手法や医学的に正しい手法は、書籍を参考にしてください。
自分が自己批判的思考に陥ったとき、あるいはその後(できるだけすぐつけることをおすすめします。仕事中や移動中は難しいので、帰宅して寝る前につけるのも悪くないかもしれません)に、以下のことをノートに記していきます。
・日付
2020年5月27日などと、その日の日付です。
・状況
「上司に怒られた後」「友達と喧嘩した後」「SNSで自分の悪口を見た後」「電車での帰り道」「夜寝る前」など、自己批判的思考に陥った状況を記しましょう。
・感情と身体感覚
その時の自分の感情と感覚を点数とともに記します。「0点ならその感情が一切ない状態」「100点なら今までの経験の中で最も強いほどの感情」だと思い、記していきます。
・怒り 80 ・悲しみ 60 ・絶望感 90
のようにです。点数をつけることで、自分の感情を客観的にとらえて、感情と距離を置くことができます。また
・腹痛 30 ・だるさ 70
のように、身体感覚も記していきましょう。今までの体験と照らし合わせることで、自分の感覚を客観視していきます。
・自己批判的思考
自分の自己批判的思考を文章化し、その思考をどれほど信じているかをパーセンテージで記します。先ほどと同様に自分の思考を客観的に評価することで、一度距離を置くのです。
「あんなに大きなミスをした自分は、まったく使えない人間だ…80%」
「自分の見た目は醜悪で、誰もが醜いと思うだろう…90%」
「上司に叱られているのを見た周りの人たちは、みんな自分に失望しているだろう…40%」
こんな風に、思考を文章化しながらも、それを客観的に評価していくのです。
・代わりの見方
先ほどの自己批判に、疑問を呈していきます。さらにその代わりの見方をどれほど信じられるかを、先ほどと同様にパーセンテージで評価します。代わりの見方は、簡単に見つからないかもしれません。書籍にはこれを見つける質問集が紹介されていますが、その中でもおすすめの質問を紹介します。
「考えと事実を混同してないか」
「たった一つの出来事をもとに、自分の全人格を糾弾していないか」
「自己批判考えが正しいと思う根拠は何か、また正しくない根拠は無いか」
「自分の短所ばかり考えて、長所を忘れていないか」
そして見つかった代わりの見方を記していきます。
「ひとつのミスをしただけで、自分の何もかもがだめだと決まるわけではない…50%」
「誰もが自分の見た目を醜いと思うことが正しいかどうかは、わからない…80%」
こんな具合です。
・今思ったこと
代わりの見方を見つけたうえで、もう一度自分の今の考えを自由に書いてみましょう。気分が変わったかもしれませんし、まだ自分が許せないままかもしれません。それでも少し、自分の感情と距離を置けるのではないでしょうか。
おわりに
誹謗中傷がなくなることがあるなら、それが理想であると思います。しかし、それは現実には難しいと私は考えています。自分が人に言われた罵詈雑言は、簡単に忘れられるものではないかもしれません。しかし、それと戦う術を持つことで、この世の中を生きることが、少しは楽になるかもしれません。
そして何よりも、まず「自分が人を攻撃する側に回らないようにすること」を考え、こんな手段を持つ必要がない社会を目指していきたいものです。
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