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池上英洋『西洋美術史入門』

池上英洋著『西洋美術史入門』を昨日読んだ。
美術史というのは美術の歴史を追うという文字通りの意味だけではなく、なぜある作品や様式がその時代や社会、地域で描かれ、流行したのかを探る学問だと言う。そしてそれらを知ることは、当時生きた人間を知ることであり、ひいては「自分自身のことを知る」ことだと。

歴史は自分を写す鏡だということはよく言われるが、まさに同じことだ。中世ヨーロッパを襲ったペストによって、聖セバスティアヌスの絵がよく描かれたという指摘が本書でなされるが、その姿はまさにコロナに翻弄される「自分自身」のようにも見える。

また、この絵は好き・嫌いという主観によっても「自分自身を知る」ことができるだろう。

これは美術史だけでなく、歴史、哲学、文学など人文学全般に言えることのように思える。人文学は、研究対象が人間である以上、「人間を知る」「自分自身を知る」ということを突き詰める学問だというごくごく当たり前の事実に気がついたのであった。

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