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芸術と自然

海辺の砂浜では皆が一堂に海を眺めている。普段は手の一部と化しているスマホも、その時ばかりは放り投げ、ただただ海を眺めている。

自然にはそれだけ人間を惹きつける魅力があるのだ。

芸術は歴史的に絶えずそういう自然を表現してきた。しかし、自然を表現することは必ずしも自然そのものを作り出すことではない。絵を描いても本物の木にはならない。つまり、これを簡単に言えば芸術は自然をを模倣(ミメーシス)していると言える。

いくら名の通った芸術家も、模倣者である限りは自然そのものを表現することはできない。

自然豊かな情景が表現されているブラームスの交響曲2番や、光をたっぷり受け豊かな色彩に満ちている印象派の絵画も、すべてこよなく美しいものの、やはりそれは自然の模倣なのである。

芸術作品には決して宿らない根源的な美が、海にはあり、それをただただ眺める人間は、無意識のうちにそういう美を認識しているのだろう。

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