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ベースらしく音を太くしたいなら弦高を上げてみよう。

【その低弦高って本当に快適?】


「さすがに弦高低すぎかな….」
「でもこれで行くんだ!」
「あの人は低弦高でも凄い音出してる!」
「やっぱり弾き方が全てだ!」
「この弦高は絶対維持したい!」

そんな事を考えてたりするなら話は早い。

【弦高を上げる】

素直にそうするのがおすすめ。


ペタペタ、ベチャベチャ、ジャリジャリ、ビリビリ、弦高が低いせいでそれが気になるなら、そのストレスはそうそう解決しない。

凄腕の職人さんに完全調整してもらう、適性なタッチやフィンガリングを身に付ける、EQなどのセッティングを詰めていく、使用する弦を見直すなど、低弦高を維持したまま使いこなす為の道筋は確かにある。

でも、どんな手段を駆使しようと、どうにもならないものはどうにもならない。如何にベストを尽くそうが、根本的に好みに合ってない可能性がある。


弦高を上げる事に強いストレスを覚える気持ちは物凄くよく分かる。

が、それ以上に、求めるサウンドや感覚に近付けなくなってしまう低弦高、違和感を抱えたままだったり疑問を抱いたまま行くのは、おすすめ出来ない。

ストレスを減らす為の低弦高が実は、解決しないストレスを生む原因になっていたなど、そんな事になっていては本末転倒。

表面的には快適になっていても、根本的な部分では全く嚙み合ってないという、非常に怖い状況に陥ってしまう。


自分も、たま~に物凄く弦高を下げてみたくなったり「おぉ!弾きやすい!なんて快適なんだ!」と、これまでの苦労は何だったんだ状態になったりする事がある。

「無闇に上げりゃいいってもんじゃないんだよ!」
「弦高上げたからって太い音がするとは限らない!」
「弾き方が乱暴になったりストレスが増えてかえって音が悪くなる!」
「弦高を上げるって倍音が減ったり出方が悪くなって太く聴こえてるだけじゃない?」

事実としてそれを言える部分があるし、音はトータルで作っていくものだと言うのは間違いない。

音を太くしたい?だったら弦高上げまくりゃいいのか?低いと絶対良い音はしないのか?そういう極論に走るのにも疑問が湧く。


ただ、この絶対的な事実を見ないわけにもいかない。

【ベースは弦楽器】

そもそも弦が全然振動しない・・・それはやはり、色々苦しい。

アンプで増幅すればいい、電気的に補えばいい、完璧にセッティングすればいい、言える事もやれる事も沢山ある。

それでも、弦楽器って根本的な部分を見なくていい事にはならない。そこを一切気にしなくてもいい、無視できる、古い考え方と認識だって断じるのは非常に厳しい。

そのスタイルで成功している人がいたとしても、それが自らにも該当するとは限らない。好みや感覚に合わないのであれば、その違和感はどこまでも付きまとってくる。


「弦が全然振動しない….」

その違和感、その音に悩むのであれば、話は早い。

【弦高を上げる】

ほんのちょっとからでも問題ない。

もっと音を太くしたい、しっかり弾きたい、楽器を鳴らしたいなら、弦高を上げてみれば良い。


【弦高を上げる=駒だけ上げれば良いって話ではない】


「弦高を上げる=駒を上げる」って言うのは物凄く分かりやすい話だし、実際、効果も分かりやすい。

ぐい~っと駒を上げればそれだけ弦高も上がるし、弾き応えが出てきたり、音が太くなったようにも感じやすい。

実にお手軽、身に付けておきたい手段と方法なのは間違いない。


一方、ネックの反りやらナットの調整やら、そういった事を無視して駒だけ上げれば解決するかと言うと、それはかなり厳しいと痛感もする。

ローポジションにあまり効果が無いまま、ハイポジションだけやたら上がってるなど、そういう状態は非常によろしくない。

駒云々関係なく、逆反りを放置すればローポジションでの弦振幅に余裕が無くなる可能性が高くなるし、順反りを放置したままではハイポジションの音詰まりが酷い事になる可能性がある。

ナットの溝があまりに深すぎれば、どうやってもバズが出る事になるかもしれないし、それが好みに合わないなら根本的に論外な状態とも言えてくる。

駒単体をいくら上げたところで、そもそも解決の目が無かったって事に気付かないと、無駄に袋小路に陥ってしまう事にもなりかねない。


セッティングについて個人的な好みを簡単に言えば、

・ネックはほんの軽く順反り

・ナット溝はちょい深め

・駒はちょい上げ気味

音的にも弾き心地的にもこれが良い感じ。


ネックをどストレートにするってのもいいけど、弦振幅の大きいローポジションでは余裕を持たせたい為、ネックはほんの軽く順反りが好き。

ナットは高すぎるとさすがに弾きづらいし、ピッチにも影響があるのでよろしくない。かと言って、あまりに溝が深すぎると前述したように、どうにもならない事になる可能性がある。

右手親指で3フレットを押さえ、左手で1フレット辺りを押し込んでみて、僅かに隙間があるぐらいが好き。その隙間がほとんど無いようだと、楽なようでストレスになりやすい。

あまりにも理想と異なる感じだったら素直に交換か、自力で抵抗、悪あがきするなら、瞬間接着剤などを固めて高さを稼いでみるか。


駒に関してはブリッジの構造にもよるし、ネックの仕込み角とかも絡んできそうな為、一概には言えない部分がある。

ただ、自分の好みとして確実に言えるのは、低音弦の駒を指板Rに律儀に合わせて下げるって事は絶対にやらない。

これはほんと、高級な楽器だろうとこのセッティングがされてたりするから、全く油断できない。

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