見出し画像

ジョンマイアングの話でもする。ポングの息抜きトーク(17)

【衝撃のドリームシアター】


前回のアンソニージャクソンに続き、これまた永遠のヒーロー、ミーハーなぐらい好き、自分の中で絶対外せないジョンマイアング。

正直、マイアング呼びには未だ慣れず、

「ジョンミュング」

って呼びたくなっちゃいます。教則ビデオの表記もミュングだったし、十代の頃からず~っと憧れの存在。

と、マイアングかミュングかそんなところは置き、まずはその出会いについて振り返りたいところ。

で、ここからは「マイアング」で統一って事でよろしくどうぞ。


30年ぐらい前、都内でプロ活動していた我が実兄。

その兄に「何かすげぇバンド教えてくれよ!」と教えてもらったのが、

【ドリームシアター】

そして代表作、

【イメージズアンドワーズ】

こいつを即購入!!!

ではなく、

【ライブアットザマーキー】

何でかライブアルバムを手に入れまして、でも心底ブッ飛んじゃいました。

いや~、ライブアルバムから入ったっていう判断は正しかったとしか言い様がありません。一曲目がなんとあの【メトロポリス】なんですよ。

複雑難解、ジェットコースター、今まで聴いた事も想像した事も無いようなサウンド、彼らの代表曲に痺れまくり。

「何だこいつら!?上手すぎ!凄すぎ!ヤバすぎ!意味不明すぎだろ!!これほんとにライブなのか!?マジどうなってんだよ!!??」

も~~~、超興奮しました。


「聴いた事も想像した事もない!」と言いつつ強いてイメージするなら、ファイナルファンタジーVIのラスボスもラスボス曲、

【妖星乱舞】

あれとか大好きだったのを考えると素養十分、ハマる理由ありありだった気もしたり。

【プログレッシブメタル】

ドリームシアターをジャンル的にそう呼ぶ事もありますが、よりテクニカルでドラマチック、そんな音楽を求めるなら彼らほど該当するバンドもない気がします。

マイアングに驚愕する以前、ドリームシアターそのものが永遠のヒーロー。今でもリアルタイムで追ってる憧れのバンドなのは間違いありません。


【ベースがクソ上手すぎる東洋系って衝撃】


今の時代、感覚が全然違うと思うし、当時でもそこまでの感情を抱く人がいたのかどうか、ちょっと分かりません。

しかし自分の中での事実、

「日本人じゃ限界あるのか?ベース上手くなれないのか?」

そんな劣等感じみたものを正直持っていました。

兄貴から凄いバンド、凄いプレイヤーを教えてもらってはいたものの、そこに日本人の名前は挙がってきません。いや、挙がってたのかもしれないけど、完全に意識の外に出ていっちゃってた気がします。

「日本人じゃないのを知りたい!洋楽をもっと知りたい!」

何だか妙な矛盾をポングを少年は抱えていました。


話飛ぶようですが学生時代、K1があった次の日とかま~憂鬱でしたね。

「日本人弱ぇぇwww一回戦負けwwwだせぇwww世界で活躍なんか出来ねぇんだよwww」

そんな声がクラスで当たり前のように聞こえてくるワケです。

格闘技好きだったし、ヘヴィ級で戦う人の凄さ、偉大さを尊敬してた身としては、

「クソが….あの人達が命削ってきたからK1も出来たんだろうが….その凄さ知らねぇのかよ….分からねぇのかよ….」

とまぁ、はらわた煮える思いでした。

しかし結果が全てと言われればそれまでだし、絶対的な差があったのも否定できません。そこに反論できない感じが心底嫌でしたね。


そんな気持ちを抱えてた自分にとって、ジョンマイアングの存在はあまりに輝かしい、神々しく映るものすらありました。

「日本人じゃねーだろ!」ってその通りなんですが、とにかく気持ち的に救いが欲しかったんですよね。

「東洋人でもこんな凄い事が出来るのか!?ここまで上手くなれるのか!?こんなすげぇバンドやれるのか!?」

その衝撃、希望、光差す感覚と言ったらなかったです。

今考えるとすんげ~アホらしい話だと思いますし、馬鹿馬鹿しいコンプレックス、どうでもいい思い込みだよな閉口するわって感じ。

とんでもない日本人、超絶上手い日本人、素晴らしい日本人ベーシスト沢山いるじゃん、当時の自分に声を掛けたくなってしまいます。

でも本当、どこからともなく劣等感を植え付けられる感覚、

「日本人なんか…..」

みたいな雰囲気とか流れが何かあったんだよなぁって。


繰り返すようですが、そういうくだらないリミッターをブッ飛ばしてくれたのが、ジョンマイアングその人だったんですね。

「日本人だってやりゃ~出来る!そうに決まってる!絶対上手くなれる!俺はやるぞやれるぞ!!」

グオオオォォ!!って一気に点火、劣等感リミッター破壊ついでに「そこまで出来んのかよっ!」って指弾きに対する常識もブッ壊してくれたし、サウンドとかプレイ以前にやはり、精神的に大きな影響を受けた実感が非常に強くあります。


加えて、マイアングの何にビックリしたかって、

【6弦ベース】

これはもう絶対に外せないですね。

今だったら情報を得るのなんて簡単、6弦とか特に珍しくないぐらいの扱いで済んじゃうかもしれません。「あ、6弦だ。」程度のモンなんじゃないかと思います。

でも当時はそうじゃなかったんですね。自分の地元とかじゃ楽器屋さんに5弦ベースとかあるだけでも、

「な、何てマニアックな店なんだ!」

とか驚愕しちゃうぐらいのノリ。それぐらい多弦ベースって珍しいと言うか、異次元レベルの人が弾く楽器ってな印象。

そんなモンだった為、6弦なんて幻の存在と言っても過言じゃないぐらい、何から何まで想像も付かない楽器だった次第です。


と言いつつ、6弦ベースの存在自体は【ブルーマーダー】【マルコメンドーサ】で知っていたし、あの人はさらにフレットレスっつーブッ壊れ具合だった為、まだ耐性があったのも本当のところ。

でもね~、ドリームシアターのあのサウンドと一緒に叩き付けられちゃ~、そりゃ脳がパニック起こすわ、全力で参ったするしかないって感じですよ。

ただでさえわけ分かんないバンドとサウンドなのに、6弦ベース弾いてるとか異次元すぎて意味不明。しかも、アジアンテイストそのもの、勝手に親近感も覚えちゃうっていう謎っぷり。

自分の中で断トツのヒーロー。

そりゃ君臨して輝き続けるわって納得。


【徹底的なポジション取りに惚れる】


マイアングの何に痺れたか、今でも痺れるかって、

・バランス感覚の素晴らしさ

・ポジション取りの巧みさ

その徹底なんじゃないか、それがもはや哲学や美学の領域に達してるんじゃないか、そんな事を思います。


ま~この人、弾かない時はびっくりするぐらい弾きません。

バッキバキに鳴らす時はそれこそ狂気を感じるぐらいのサウンドとプレイで主張するんですが、引く時は存在すら消すってなぐらい徹底する印象があります。

何とも安易な言葉なようですが、

「ベースらしいポジション」

その根の張りっぷりに惚れ込みます。

そのバッキバキ全開な姿にしても徹底して"ベース"だし、軽薄だったり浅いって感じってのが全然ありません。

とんでもないサウンドを出していてもあくまでバンドの為、曲の為、アンサンブルにおけるベースのポジションを堅持。だからこそギターソロの際にスッカスカになるなんて事も無い。

ギターソロの際のスッカスカ感って実際に体験するとなかなか冷や汗モンです。あの浮いちゃう感じ、冷や汗出そうな不安感、落ち着かないフワフワ感ったらありません。

原因を考えると、ギター的タイムで弾いちゃってる影響が強いんじゃないか、かなり前の方の位置ばかりで弾いてしまってるんじゃないか、サウンド含めドラムと噛みあってないんじゃないか、自分のポジションを把握できない状態になってるんじゃないか、自立も溶け込みも出来てない証拠なんじゃないか、今だったら考えられる事は沢山あります。


だからこそマイアングのそれはやっぱり、

「ベースだな~!!」

いいトコにいるんですよね~。

指弾きならではなのか、感覚的な問題なのか、さまざま考えたくなるところがありますが、それもこれも全部含めて一言にして、

「ベース!!」

こいつで納得しちゃえば良い気がします。


そしてそんな「ベースらしさ」って価値観に留まらないのも、マイアングらしいスーパーな魅力。

6弦のポテンシャルをフルに発揮、

「これベースなの!?」

ってフレーズも表現も当たり前のようにバンバン入れてくるモンだから、そりゃ~やられちゃいますよ。

その代表格を挙げるなら【グラスプリズン】のイントロが間違いなく出てくるし【リフティングシャドウズオフアドリーム】のアイデアも美しさも素晴らしい。

後者は本当、非常にシンプルに聴こえるようで6弦じゃなければ実現できないプレイとサウンドが聴けるのが凄い。

マイアング作詞な事と言い、全体の雰囲気と盛り上がりと言い、個人的にめちゃくちゃ好きな曲。

このマイアングならではのプレイ、空間表現、作曲アプローチ、それこそが超絶技巧以上にもっと評価されるべきポイントなんじゃないか、本気で思います。

マイアングのプレイにより、その曲、その場が支配される。強い印象をもたらす、記憶に残す。それが最高に気持ちよくかっこいい。

実際ライブを観に行ってみてもやっぱり、マイアングらしさ溢れる場面で大歓声湧いたりしますもんね。


前述したリフティングシャドウズオフアドリームなど、6弦を駆使、ポテンシャルを発揮と言っても、弾くフレーズは本当にシンプルそのもの。

ま~、ここまでルートしか弾かないか、ここまで音数減らすか、ここまで沈み込むか、音に込めるものの意識と次元が違うって感じ。

他にも印象的で大好きなフレーズを挙げるとすれば【ラーニングトゥリヴ】のエンディング。

ベースの刻みだけになるあの瞬間、時間と空間をコントロールされてる感覚に陥るような響きに心を持っていかれます。かなり初期からもうそれやってるんですよね。

もはや重力操作とも呼べそうな縦横無尽で自由自在な6弦サウンド。ハイCとローBのコンビネーション。ジャコからの影響も強く見せるハーモニクスプレイ。弾かない時は徹底的に弾かないその姿勢。

語り出すともうね~、勝手にテンション上がってっちゃう!

いやほんとかっけぇんすよ!すげぇんすよ!!


【マイアングらしい音って何だろう?】


絶賛オンリー、信者かよってノリから一転、実はよく分からない、分かってない、不思議な印象を覚えたりするのも、マイアングらしいところかもしれません。

この御方、最近でこそ落ち着いた印象がありますが、楽器をずっと変えてきたイメージがある、と言うか間違いなく事実でしょう。

学生時代はジャズベース。

1stアルバムではカスタムスティングレイ。

2ndアルバムからはスペクター、曲によってはサドウスキーの5弦を使ってたなんて話もあります。トバイアスの6弦もこの時期にもう使ってたのかな?

で、当時も今もスーパーレアなタングの時期もあり、そしてヤマハに移行していき、そのヤマハにしてもシグネチャーのプロトがあったり、RBX-JMの発表でついに決定打!!

かと思いきや、もっとシンプルな1PUのRBX-JM2が出たり、そのJM2にしても本人が使用してる物はリアPUが増設されてるように見えたり、ま~、なかなか落ち着く様子がありません。

そしてついにミュージックマンの6弦に辿り着く!!

・・・んだけど、ネック幅が合わない、ボディサイズが合わない、感覚的にも身体的にもフィットしなかったのか、後にスーパーナローピッチなシグネチャーが開発されるっていう、紆余曲折やっぱりあったみたいです。

そのミュージックマンのシグネチャーの完成により、ようやく長い旅が終わった感がありますが、それでもまだ何か変化するところがあるんだろうか、そういやPUの仕様は絶対不動じゃないみたいだなとか、オタクとして目が離せません。


あえて言葉悪い感じで言うなら、意外とコロコロ楽器が変わるマイアング。

でもそれというのはドリームシアターってバンド自体、アルバム毎にキャラが全然違ったりもしてきた為、当然っちゃ当然な気がするところでもあります。

個人的な好みで言えば【フォーリングイントゥインフィニティ】におけるベースサウンドに影響を受けてたりしますし、

彼らの超代表作である【メトロポリスPT2・シーンズフロムアメモリー】のアグレシッブで生々しいサウンドも大好き。

後者は恐らく、フロントPUをメインに攻めてると想像。ガンガンプッシュしていくドライブ感が素晴らしい。攻撃に歪んだサウンドも実にかっこいい。

そして、雰囲気がまた一転したのは【トレインオブソート】自分が大好きなアルバムです。

ヤマハながらもミュージックマン的な方向にチェンジしたRBX-JM2。それをメインに使用してるんじゃないかと想像。

ことごとくヘヴィなサウンドと世界観ながら、非常に聴こえやすくかつ重厚
、実に重々しく存在感のあるベースを堪能できてこれまた大好き。

RBX2は武道館ライブでのサウンドも活躍っぷりも非常に印象的。ハイCまで当然のように操る姿に心底痺れます。

さらにさらに!!と行きたいところなんだけど、超~~長くなる気がするので、今回はとりあえずこの辺で。


にしても、こうして語ってみるとやっぱり、マイアングそのものってプレイやアプローチ、独特の存在感はあっても、

「これこそがマイアング!」

「絶対的な珠玉のサウンド!」

みたいなのって実はそこまで無いような気がしてきます。

アンソニーったらアンソニー!ジャコはジャコ!これぞマーカス!まさしくスタンリー!ジェフベックの他にジェフベックなし!

そういう部分で見ると、あまりに変動しまくる、アルバム毎に全く違う、めちゃくちゃ歪んでたり、そうでもなかったり、正体不明な部分が沢山あります。

でも、そのミステリアスさがあるからこそ魅力的、水のごとく変幻自在な様に痺れるんじゃないか、確固たる独自のポジションを築き上げてる姿に憧れるんじゃないか、その謎さが凄みを生み出す要因の一つと言えるのかもしれません。

徹底してバンドの為、曲の為、音楽の為、そこにベストに当てはまるサウンドとプレイを注ぎ込む、その素晴らしさを感じてなりません。

まぁ「さすがに都合よく見すぎじゃね?」って気もしなくはないけど、そこはミーハーだぜ、盲目にもなっちまうぜって事でお許しいただきましょう。


いつも賛否両論、激変が常のドリームシアター。

好みが分かれるのも間違いないけど、

「マイアングはやっぱりマイアング!」

これは誰もが頷くはず。

だからっすよ?

「マイアングに憧れるのはそのマイアング概念に憧れるのである!」

ま~~~、何ともカルトチック、ヤバ味のある思考な気もしますが、実際そうなんじゃない、ヒーローとかスターってそういう存在だよねってニッチャリしながらお別れしたい次第。

いや~、マイアングの話するのは楽しいっすわ!!



■ポングのベース教室

https://pompom-bass-gym.jimdosite.com


■アンソニージャクソンの話でもする。


■無料記事まとめ


読んで頂きありがとうございます。サポートして頂けると今後の力になります。