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Tsubasa Guitar Workshop THE HOPPER 5st

■最高に楽しい普通のベース


音出して3秒。

「これ最高!」

凄いモンに出会ってしまいました。

「こんな音が太い5弦は弾いた事がない!」

と言うと、低音弦側のイメージをしそうですが、自分が驚いたのは、

「1~2弦がぶっとい!」

ま~、これだけ高音弦が堂々太く鳴る5弦は弾いた事がありません。

大体の場合、ローBとのバランスに苦心、モダンさを取り入れたり、高音弦の音を煌びやかにしたりするものですが、このベースはどストレートなまでに『ベース』やってます。

そしてその、

【如何にもベースなベース!】

ってのが最高に気持ちいい、楽しいんですね。

骨太なだけじゃない、こんな肉感までギッシリ詰まったベースがあるのか、新品でそんな鳴り方をする物があるのか、凄まじい衝撃を受けた次第です。


そういう感じの話をしてると、

「あぁ要はヴィンテージ系ね。」

「よくあるクローン系ってつまんなくない?」

「古臭いやつとかもう今更でしょ?」

なんて印象、想像を抱くかもしれません。


実際、どう見てもジャズベです。

レリックです。パッシブです。

10年前の自分だったら完全無視してた楽器でしょう。

20年前だったら嫌悪も嫌悪、最悪扱いしてても不思議じゃありません。

「いつまでそんな事やってんだよ!」

絶対ツッコんでます。


ところがどっこい、実際弾いてみるとビックリ。

めちゃ軽い!

めちゃ弾きやすい!

めちゃバランス良い!

めちゃ美味しい!なんじゃこりゃ!

プレイヤーに都合良すぎて笑いました。


これまでの自分の感覚だと、

「え~?アレンジしたジャズベシェイプ~?そんなん駄目でしょ!鳴らなくなっちゃうよ!弾きやすくすりゃいいってモンじゃないだろ!」

なんて具合に弾く前からテンションだだ下がり、ケチつけまくり、間違いなく眼中に無かったはずですが、いや~、どういう事なんでしょうね?

・スマートにアレンジされてるのにメチャメチャぶっとい音が出る!

・超軽量な部類なのに恐ろしいぐらい鳴る!

・古くて死んでるどころか美味しすぎるベースサウンドが飛び出てくる!

いや~~~、色々ブッ壊してくれて痛快でございます。

あれこれスペック語るよりもうほんと、

「欲しかった音がそのまんま出てくる!」

参りました。


「どんな感じのアルダーですか!?」

と言われても、

「わかんねっす」


「どんな感じのメイプルですか!?」

「わかんねっす」


「どんな感じのローズウッドですか!?」

「わかんねっす」


「レリックの効果ってどうですか!?」

「わかんねっす」


「どういう感じのPUですか!?」

「わかんねっす」


「ほんとに良いベースなんですか….?」

「最高だよバカヤロー!!」

そんな気分ですマジで。


いやもう何かね~、長々語るのもアホ臭いって言うか、そういう気分にならないんですよねー、このベース。

「こりゃ最高だわ!」

それしか出てこない、それでいいじゃん、それだよそれっていう、痛快で堪らないものがあります。


でもそうそう、ちょっとだけドラマ語るとしたら、ネットに登場、登録されたその日からチェックしてたこのベース、何故か売れなかったんですよね。

毎日毎日、

「もう売れてんだろうなぁ….」

「おぉ!?まだあるわ!!」

これを二カ月ぐらい繰り返し、ずっと気になってたっていう、でも手を出す確信にまでは至らなかった、放置もしていた不思議な存在。

で、今こうして手元にある、フミサウンドとの繋がりがあるからこそ知る事が出来た、そのフミサウンドと親交があるバーチーズさんで手に入れられた、バーチーズの千葉さんからはこれまでベースについて沢山教えてもらった恩がある、何とも縁を感じずにはいられません。


そしてちょっと自慢をするならば、

「欲しい楽器は勝手にやってくる!」

その自信を持ってる人間として、出会いは必然だったとも確信する次第です。

「売れなかったって事は俺が手に入れるって事だったんだ!」

なんてね~。


「6弦ベースが欲しい!」ともずっと言ってきましたが、それも何か、こいつが終わらせてしまったかもしれません。

もし、Tsubasaが6弦を作るんだったら気になるのは間違いないけど、でもどうだろう?もうこれがあれがいいのかな?

この水準の【普通の6弦ベース】ってのがあれば欲しいけど、ちょっと想像しづらい?そりゃ出来ない?どうやっても無理?

こいつの最高さはあまりに手強すぎます。

後はう~ん、70年代仕様とか良い感じのスティングレイ仕様があったら面白そうだけど、それもまぁ、メインになる事はないのかなぁ?

【普通の良いジャズベ】

やっぱこれ手強すぎますよね。


色々振り返ると、

・死ぬほど嫌いだったジャズベ

・絶対良い音しないって軽蔑してたアレンジ系シェイプ

・オッサン臭いって馬鹿にしてたサンバースト

・意味が無いって冷めてたレリック

・苦手で避けてたアルダー

・5弦はもういいやってなってたのに5弦

・ジャズベ最高!に成長したはずが微妙にジャズベじゃない

・でも結局フツーの木材

・結局パッシブ

もんのすげ~自分に皮肉利いててパンチ最高。


これでまたさらにベースが楽しくなる。

面白おかしく音楽も人生も味わえそうです。


■もうちょい真面目に分析


さてはて、ノリ一発だけで語るのも見てくれた方に申し訳ないので、このベースの魅力の要因、スペック的なところも考えてみたいと思います。


まず自分が気に入ったのは、

【ヘッドがでかい】

ヘッドレスへの移行、進化も著しいベース界な中、これだけ大型のヘッドというのは、逆に目を見張るものがあります。

でも本当、ヘッドを小型にするほど音が淡白になる、薄味になる印象を持つ者として、これは嬉しいポイント。

大きなヘッドだからこそ生まれる鳴りがある、そのサウンド、弾き心地が気持ちいい、そんな手応えをHopperからビンビン感じます。


かと言って、ヘッドがズドーンと落ちるとか無いし、そのバランスの良さに唸ります。

見た目完全にヴィンテージ系、レリックのイメージとは異なり、

【ペグはゴトーの軽量タイプ】

これがめっちゃ効いてそう。

ここ面白いですよね。経年変化とダメージを感じさせるルックスながら、ちゃっかり現代的なパーツを装備してるっていう、その抜け目のなさにニヤッと来ます。

レリック物らしく逆巻きなのがちょっと違和感ありましたが、1弦も含めて巻き方向が全部同じだと分かると意外と快適です。

で、その抜け目のなさ、オリジナルな要素として強烈に作用してるのは、

【意外と現代的なボディシェイプ】

前述しました通り、そのまんまクローンな感じではなく、アレンジ系ジャズベタイプ。

スマートになっていたり、ハイポジションも弾きやすくなっていたり、実に分かりやすい効果を実感できます。

ただ、本当に不思議なのは、そういう事やっちゃうとそのまんま音も痩せちゃうって印象強かったんですが、このベース、笑っちゃうぐらいイイ感じに鳴ります。

大きいけどトータル軽いヘッドっていう、そんな矛盾めいた部分とのバランスが真に絶妙って事なんですかね~?

スマートと言いつつ、それはホーンの部分、カッタウェイ、ジョイント位置とかであって、基本はしっかりたっぷりやっぱりジャズベ。

痩せこけてスカスカ、ポコポコ、そんな楽器とは対極な骨太さ、肉感をこれでもかって味わえます。


そして、その鳴りを生み出す要因として、めっちゃこだわってるんじゃないか想像するのは、

【軽くて鳴るアルダー】

レスポンスが遅くて気持ち悪い、まったり抜けてこない、枯渇して重いのしかない、そんなイメージもどこへやら。

「こういうボディが欲しかったんだよ!」

堂々たる鳴りっぷり、みっちり詰まった音が出ます。


また、その美味しさのポイントとして、

【薄いラッカー塗装】

これやっぱあるのかなぁって思わされます。

自分が苦手なアルダーの傾向として、

「塗装が厚すぎ硬すぎ」

この疑問をずっと持ってきたので、そこに答えをお出しされた感あります。

良いアルダーは枯渇している、重いのは苦手な傾向になる、それも事実なのかもしれないけど、調理が不味いってのも凄くあるんじゃないか、勿体ない事やってるんじゃないか、それで嫌いになってたんだとしたら大問題だなって。

だからほんと、ハードなレリックってのにも意味を感じてしまう、そこに根拠と価値を見出だしたくなってしまう、今はそんな気分です。

最初から傷だらけだから遠慮なくガンガン使えるっていう、そういう意味でも即戦力になってくれて良いんですよね。


そして、その軽いアルダーボディ、レリックのラッカー塗装に呼応するように、

【普通のブリッジ】

これ、個人的にものすご~く嬉しいポイントです。

ここで色気出して、やたら分厚かったり、重かったり、複雑だったり、変なブリッジ使ってたらたぶん台無し。

めっちゃ普通。それで十分。それで良い。

改めて納得させられちゃいます。

で、これまた面白いのは、駒はスパイラルではなく円筒型って事。

個人的にスパイラル好きなんですが、弦交換の時に調整が面倒臭かったり、ハードに弾く際にちょっと懸念ある感じだったので、円筒型はシンプルに安心できて嬉しいですね。

ヴィンテージクローンのようでそうでない細かいところ満載でナイス。

さらにさらに、どうやら強烈に凝ってるらしいのが、

【何か弾きやすいネック・指板】

5弦にありがち、3弦A弦の音が小さくなる、薄くなる、それを解消する為のトータルセットアップにまで切り込んでると耳にした、普通なようで実は凄いネック。これがほんと良い。

ローポジション、ハイポジションでRが異なるっていう、まぁ、細かいトコは自分にはよく分かりません。

ただその、

「よく分かんない。でもイイ!!」

そう感じさせる、ずっと弾かせちゃう、楽しくなるっていう、それってめっちゃ凄いですよね。

よくありがち、見た目ジャズベなのにいざ持つと全然違う、やたら平ったい、角ばってる、何か硬い、薄すぎるまたは厚すぎる、弾き心地にも鳴り方にも違和感あるもの多い中、このベースは実に素直で心地いい。

テカテカのネックが苦手な人間としも、レリックな仕上がりって本当ありがたいし、気持ちいい。

激薄!ってんじゃないけど、それイコール弾きやすいワケじゃない、疲れないワケじゃない、楽器製作の歴史的に散々通った道だと想像しますし、その成果と結集みたいなものを感じます。


ただ、一点気になるところ有り。

ネック裏にまで打痕を入れるってのは、ちょっとやりすぎ感あるかな~?

レリック気に入ったんですが、そこのダメージはマイナスかも?

なんて言いつつ、いざ無傷の物を弾いたら、

「何か落ち着かないなぁ……馴染まない……」

そんな気分になる可能性もあったりして?

弾き込まなくても馴染んでる感じ、その要因として活躍してる、意味と価値があるとしたら、なかなか恐るべき仕事です。

(ヘッドがでかいと言いつつペグ配置を見るとそうでもない気がする)


後は何だろう?PU?

ある意味、純正の悲しさ?

クオリティが高い楽器ゆえの悩み?

最初からこれなんで、何がどう良いのか優れてるのか、どう話したモンか、正直分かりません。

一つ言えるのは、

「やっぱシングルコイルって良い!」

心底思います。


ぶっとい音出したきゃブッとく弾け!

ゴリゴリ言わしたきゃガッツリ弾け!

綺麗に響かせたきゃ美しく弾け!

要は気合いだ!気合い入れて弾け!

いや技だよ!修練で音を変えるんだよ!

気持ちよけりゃ何でもいいじゃねーか!

ま~、正直なんですよね。

その正直さ具合、変化具合、やりたいように何でも応えてる、鳴ってくれる、楽しめる、遊べる感覚ってやっぱ素敵なんです。

どパッシブそのまんま、でもそれでいい、それが楽しい、それが弾きたい、そういう感覚になれるベースって本気で楽しくなれます。


そうそう、PUと言えば、一つ感心した事がありました。

【弦がポールピースの真ん中を通ってる】

PUそのものについてと言うよりはトータルの詰め方、設計の問題だけど、その辺、テキトーな物もある中、センターを通ってるのは地味に嬉しい、しっかりした楽器作りである事が伝わってきます。

上では「普通のブリッジ」と言いましたが、実はバリバリのオリジナル、メッキから何からこだわってる逸品な様子。

PUも自社で開発、外注ではなく本当に工房で作ってるみたいだったり、とことん詰めて凝縮してるってのが分かります。

PUケースの面取りが丁寧、角が丸く当たり心地が良いなんてところも、個人的には凄く嬉しいポイント。

おぉ~やってくれるねぇ~って感じ。


「語る必要なんかねぇ!」

なんて話もどこへやら。ノリノリで語ってしまったTsubasaのベース。

マジ強力、魅力全開な楽器です。

「最高!」

の一言で終わらせてもいいんだけど、

「良い物にはそれだけの理由がある!」

これを実感するのも間違いない、それを作る人がいるんだ挑んでるんだっていう、そういう志が伝わってくる楽器って良いですよね。

「パッシブで使える普通の5弦ジャズベ!」

いやほんと、これが登場するまでにどんだけの時間がかかったんだか、研究がされてきたんだか、散財してきたか、迷ってきたか、まったく他人事ではない、当事者バリバリです。

「普通のジャズベに弦1本足せばそれでいいじゃん!簡単な話じゃん!何も難しくないよ!」

「んなワケねーだろ!」

でも、こっちはそれ求めちゃう、そう考えちゃうっていうね。

そしてついにこういう物が出てきた、一筋縄で行かない線をガチぶっとく練り込んで一本にしちゃった、これぞ一筋縄っていう、そんな事を感じる次第でございます。

ちなみにですが、4弦の方も試奏しまして、

「やべ…こっちだったかな……」

とか思っちゃうぐらい良かったのはここだけの話。

何かもう、ちょっと悔しい感じですね~。

こんな分かりやすく正解ってモンが形になるか、良いベースってどういう事か、楽しい楽器ってどういうものなのか、本気で脱帽。


「バランスが良い!デッドが無い!」

なんて言葉や目標にするにも実のところ、

・均一に細くする

それじゃ困るんだよなぁって色々考えさせられます。

「どこ弾いても太い!使える!」

そうあってほしい、それこそが欲しいベースだ楽しい楽器だと、今更のように気付かされたかもしれません。


昨今、新時代な試行錯誤がされてるベースも増えてますし、そのクオリティも非常に上がってるのだと思います。

しかし、行き過ぎた合理主義、あまりに淡白になるまで突き進んでしまうのは、さすがに疑問が湧くところでもあります。

「軽量な方が弾きやすい!バランス良くしたい!じゃあヘッド小さくしよう!いやもう無くしちゃおう!」

「ボディも邪魔!バンバン削ろう!鳴りなんて不確定要素はいらない!弦があればそれでいい!その方が効率的!」

「楽器よりエフェクター!シミュレーター!この自慢のボードがあれば何でも出来る!技術は進化してる!電気楽器に生要素なんか必要ない!拘っても無駄!」

ん~~、、、

「俺の好きなベースってそうじゃない!!」

それじゃ気持ち良くない、芯から楽しくならない、肉食べたい、骨太くしたい、もっと遊びたいんだよねって。

「音はタッチで決まる!」と言うにしても、そこもやっぱり、好みの楽器、良い感じに鳴ってくれる楽器の方が、気持ちがバリバリ乗ってくれます。


だから分かりやすい。

「おすすめのベースは何ですか?」

『TsubasaのHopper!』

即答できる最高見つかりました。

完全やられてます。


■ポングのベース教室
https://pompom-bass-gym.jimdosite.com

■音を太くするマガジン
https://note.com/pompombass/m/m784759cb5996

■おすすめベーストーク集
https://note.com/pompombass/m/ma0faf6da51e0


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