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ベースで悩み続けた『ひょこひょこしてる』の改善。

【今でも記憶に残ってるあの言葉】


音楽学校時代、ベースの先生に言われた印象深い一言。

「お前って上手いんだけどさぁ….」
「何かひょこひょこしてんだよな。」

いや、衝撃だった。

謎に思えそうなこの言葉。しかしま~、聞いた瞬間、電気が走った。自分が抱いてた違和感、疑問、違和感を完璧に指摘してるものだと仰天。

嫌な気分になど全くならない、致命的レベルの弱点、欠点を指摘してもらえたなと。

実際、自分のライブ映像とかを見直してみると、「あ….ひょこひょこしてる…..」と、確認する度に残念な気分になった。

何か見ててかっこ悪い、落ち着きがない、無理してる。あの時の指摘そのものだと苦悩し続けた。


そんな、コンプレックスと言ってもよい、解決しない苦悩だった【ひょこひょこ】。その正体も、今なら具体的に分かってきた感がある。

一体何が悪かったか?原因だったのか?

・つま先に体重を乗せすぎていた

・かかとが浮きやすくなっていた

・足を閉じ過ぎていた

「え?そんな話?その程度の問題?」と思われそうだが、まず間違いなくこれをやるとひょこひょこする。そしてそれはベースの演奏、全てに影響をもたらすと痛感する。


他の先生に「お前もっと動けよ。見ててつまんねぇし音にも出てねぇよ。」と言われ、それを意識しすぎたって事もあると思う。それが良い効果を生んだ実感がある一方、どうにもチグハグの原因になってしまった感も否めない。

「ステップする!」

「必ず動き続ける!」

「リズムに乗る!」

こう意識し続けていた結果、重心がふらふらになっていたのだと痛感。何とも皮肉と言うか、センスが無いと言うか、悲しい事実である。

極端に言えば、つま先立ちばかりになってる感じ。もっと言うと、両方のかかとを常に上げ下げしてる感じ。そうなると当然、姿勢が前傾したり、斜めになっていったり、要するに体の使い方がめちゃくちゃ下手だった。

楽器を安定させるどころか、それを弾く本人、扱う側がフワフワしたままになってるという、なんともお粗末な話だと反省してしまう。


【自分に何が出来るか向き合う】


怪我をよくしてた時期を振り返ってみると、下半身が安定してない状態なのに無理して弾こうとするもんだから、上半身の方をカッチカチに固めてしまってたのかなとも想像する。

猫背も誘発したり、不自然な筋肉の使い方になったり、実際、それでギックリ腰になったり、リハ終わり、ライブ終わりに「ピキッ!」と来て真っ青になったり、整体師が呆れるぐらいに体が歪み、固まり、壊れてしまった。

もっと言えば、精神的な余裕がない表われだったのもよく分かる

・ノッてる感を演出しようとする

・如何にも楽しんでるげに無理してる

・自分の事しか考えられてない

そんな嘘臭さが出ていたのが【ひょこひょこ】の正体なんだろうなと。

音楽を楽しむどころか、狭い狭い部分しか見えていない、意識も体も全く客観的に把握できてない、それじゃ良い結果が出るわけもない。芯も軸も皆無だったなって反省ばかりだ。


【身長163cmで小太り】という、この現実から見るに、華やかに動こうとしたって無駄だと気付いたのは、学校を卒業してから本当に10年以上は後だった。

「スター性、カリスマ性、エンタメ性など皆無。そこで張り切ってもたかが知れてる….. 伸び代も希望も無い…..」

そう考えた結果、

「じゃあドッシリ構えてみるか」

そう意識し始めたら、結果も評判も良好になっていき、すぐにその成果を実感できた。演奏も音も全く違う、明らかにこっちの方が向いている、分かりやすい変化と反応を得られた。

何とも悲しい話でもあるが、他の誰でもない自分自身の資質、向き不向き、スタイルがあるのだと、20年以上かけてようやく実感として得られた気がする。


「体を動かすな!」とか「直立しろ!」という事ではない。不自然な頑張り、バレバレ下手糞なノッてるぜ感の演出、不自然な意識をやめたわけだ。

これは本当、どれだけ持ってないもので勝負しようとしてたのか?実を結ばない努力を心掛けてたのか?さまざま勘違いして捉えていたか?表面しか見てなかったか?

そこに気付くというのは、心境的になかなか複雑になるところでもある。でもやっぱり、人間にはどうしたって向き不向きってやつがあるのだと、刺さるぐらい実感してきた。


かかとがぴょこぴょこするような体の動かし方は、自分にとって明らかなマイナス。思い出してみるとこれは、友人のギタリストにベースを教えた際、真っ先に伝えた事だった。

自らの心持ちもフォームも楽器も安定しない、それが悪い方に正直に出てしまうと、音から何から確実に弱く軽くなっていってしまう。

「いやぁ俺はギタリストだから….」で妥協せず、ベースに向き合ってもらえた結果、明らかに音もノリも変わったのを間近で確認している。

ちょっとした意識や姿勢でも、意外なほど変わってしまうのが演奏。そして音楽。恥でも、失敗でも、遠回りでも、何でも糧にしていくと、一回り成長できる。


【一つの教えが正しいとは限らない】


前述した通り、体を動かしながら楽器を弾くのを意識し始めたのは、また別の先生からダメ出しをされたのが、大きなキッカケだった。

「お前の演奏は根本的につまらん!」

「ステップもできずに何がグルーブだ!」

「もっと体を動かして弾け!」

口酸っぱく、言われ続けたものだ。

そして体を動かす事を意識していった結果、演奏の評価も上がったり、その手応えも実感できた為、疑いなく「こっちの方が良い!」と確信するに至る。

一方で、「ひょこひょこしてる」なんてズバリ直撃のヒットをもらったり、その違和感に気付いてもいたり、ま~、この困惑っぷりったら、なかなかのものだった。

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