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エレキは弦だけ鳴ってりゃいいかって楽器はやっぱり人間が弾くものだよなって。

■PUと回路で音が作られるったってネックがグニャグニャじゃどうにもならない


見た目悪かったら気分乗らない!

弾き心地悪けりゃストレス!

コンディション管理とか面倒臭い!

何かピンと来ない!

弾く気にならない!

やる気にならない!

音楽を純粋視するなら不純もいいトコですが、人間なんてそんなモン。

「何かこれいまいちだな….」

そう直感した物を使うのは色々厳しい。


PUと回路が良ければ音はどうにでもなる?木材も関係ない?そんなこだわりなんか無意味?

そういう話も世の中ありますが、余程に極ピュアでもない限り、冒頭のそれらが絡んでくる時点で成立は難しく感じます。

「エレクトリックなんだから電気が全て!生楽器の部分なんか無視していい!何やったって変わらない!」

これってのはま~、かなり無理があるでしょう。


エレキだからデッドポイントなんか発生しない?全ポジション均一に鳴る?どこを弾いてもどの弦でも同じ音で同じ弾き心地?ピッチも絶対的に安定してる?

ネックが反る事など有り得ない?完璧なフレット調整をすれば何でも解決できる?どんなネックでも弦高でも指板Rでも同じ弾き心地?

そもそも楽器は振動なんてしない?マグネットPUは曖昧さも隙も無い完璧なマイク?絶対に弦にしか反応しない?

どこをどうツッこむべきかもう逆に面倒臭いですよね。


超一流の精度を出す、極力安定させる、弾いてて心地よい物を作り上げる、これってのは本当に凄い仕事。

「楽器なんてそこまでやらなくても使えるよ!そんなこだわる必要なんか無いだろ!もうテキトーでいいんだよ!」

って言いたくなるのも痛~いほど分かっちゃったりしますし、散々実感してきたところでもあります。

ただ、それを堂々言い切ってしまう、経験も想像も何もなく断言してしまうのは、かなり乱暴な話。

【フレット】ってもんがある時点で精度どうでもいいは厳しい。じゃあフレットレスでいいじゃんって、いやいや、そっちもしっかりシビアな世界。

フレットの有無に関わらず、全ポジションしっかり鳴るようにするんだったら、とんでもない精度で楽器を仕上げる必要が出てきます。それを維持する為にも、クオリティの高い材と調整が求められるのは必然と言えます。

「グニャグニャなネックでもどうにでもなる!」って認識の方が非効率で無駄が多くなる、弦高をめちゃ下げないにしても精度が低くて良いとはならないでしょう。


と言っても、

「楽器には命がある!魂が宿るんだ!」

なんて事を話したいんじゃありません。

これを書いてるポングってやつは容赦なく楽器を手放しまくってきましたし、愛着ってのもほとんど持たないタイプの人間。

楽器屋のワケの分からない売り文句、派手な化粧材、限定商法、付加価値商売的なやつに嫌悪を持つタイプでもあります。

アッシュはドンシャリ!とかアルダーは枯れた音!みたいに決め付けるのも嫌いだし、そういう話は全く信用もしていません。


だからこそ、木材はどうでもいいとか、PUと回路で音はどうにでもなるとは認識しない方が良い、それを強く思います。

百歩譲ってどうでもいいと言うとしたら、

「アッシュ?アルダー?バスウッド?そんな種類とか知らねぇよ!何でもいいよ!俺が弾きゃ俺の音になるんだよ!」

こういう判断に至るのは分かるし、それは実に健全でもあります。

重いか軽いか、そこを重視して決めるのも、物凄~く理解できます。


ただ、質までどうでもいい、弾き心地も安定性もどうでもいいと考えるのは、現実的に見てかなり厳しいと私は実感。

教科書に載せられるだろってレベルの極順反り、トラスロッド緩々でも堂々逆反り、そういうやつを調整していく苦労を味わってみると分かりやすい。

しっかり作られた楽器がどんなにありがたいか!

自分でぱぱっと調整できるのがどんなに実用的で素晴らしいか!

ストレスの無い楽器がどんなに楽しいか!

も~、身に染みて実感できます!

「ボディ材は正直よく分からん。ただネックだけは頑丈であってくれ!」

こういう話になるなら、それは真っ当に共感できちゃいます!


「どんな楽器だろうと状態だろうと上手いやつは良い音出せるんだよ!」

これも真理だと思うし、それを目指すのが一番真っ当、姿勢としても分かりやすいし、純粋でもあります。

一方、「エレキなんか何でもいいんだ!」「楽器本体にこだわるなんて無駄だ!」「金持ちは敵だ!」みたいな否定や結論ありき、変な感情混じりに安易な答えに飛び付いてしまうのは疑問。

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