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目が痛い



目が痛い。
目が痛くて、目が開けてられない。

どうやら私の黒目に傷が入ったらしい。一気に目が真っ赤になって、涙がボロボロ止まらなくて、瞼がボックリ腫れて、まばたきするたびにゴロゴロ痛い。


黒目についた傷のスケッチ
ほんとうに小さな傷だった。


目を開けてると痛いから、目を閉じて歩いてみたらやっぱり歩けなくて目がなくなる恐怖を感じた。救急で病院に行く前にネットで症状を調べていたら、感染症だの失明だの恐ろしいことばかり書いてある。
ネットはいつも大袈裟だし。
あぁ、目がなくなったらもう空間なんてわかんなくなるのかなって思った。正直、音も匂いも触覚も恐怖の元凶じゃん。

その日、救急で行ったのは東大病院だった。
先生と医学生の人の2人だったと思う。
「毛様充血してますね、これが出てる時は相当痛い時だ。」
そう先生が言って、医学生の人がなるほどと。
「もう一回見ていいですか?」って私の目を何度も覗いてきた。
私は顎を乗せて頑張って目を開けレンズをまっすぐ見た。医学生もこちらを覗き見ている。お互い見つめ合ってるはずなのに、私からは、全く向こうが見えないから恥ずかしくはなかった。
目からボロボロ涙が出で、不幸と悲しみを味わうしかなかったし、今はそれで満たされていたかった。


目キッス

翌日、目が感染症にかかってないかの検査をしに別の眼科に行った。
感染症にはかかってなかったし、目はしばらく点眼のお薬を差すことで次第によくなっていった。
先生は、コンタクトが原因だから気をつけるように言ってくれた。目は手の100倍の触覚を感じるから、本当に小さな傷だったのに、ありえないくらい痛かった。

でもさ、中学生の頃からカラコン依存者だからカラコンできないなんて正直考えられないよ。自分の理想の美しさを叶えるために、世界を失うこと、どう考えても天秤にかけられないのに、哀れな人間だから美しさをとりたくなっちゃう。


私が会計を待っている時、その眼科に杖をついた人が1人で入ってきた。
見てると壁にぶつかったりして全く前が見えてないっぽい。
眼科を出た後も、その人とすれ違った。歩道を堂々と歩いてたわ。

私がSNSに「目を怪我したけど、治ってよかった!怖かった」ってポストしたこと。なんか、後悔して消した。


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