見出し画像

妊娠や出産は何度経験しても初めてづくし

どんなことも2回目はなじみがある分、1回目よりもかかる負担は少ないことが多いと思う。作るのにそれなりに時間がかかった初めてのレシピは、回を重ねるうちに段取りよく作れるようになるし、初めて行くお店は、同じルートでも行きより帰りの道のりが短く感じられる。

妊娠生活や出産も一度は経験しているから、ある程度予想の範囲内で進むだろうと呑気に構えていた。でも現実は違った。

最初に驚いたのは、体重が増えてお腹が大きくなるタイミングが早かったことだ。1回目は13週ぐらいからマタニティ服を着始めたけれど、2回目は9週あたりでスカートもズボンもキツくなっていた。食べる量が極端に増えたわけではないのに、このスピードで体重が増えたらどうなるんだろうと慌てた。

妊娠期は疲れやすいけれど、疲れがなかなか取れないのも誤算だった。上の子がお腹の中にいる時は、疲れたら自分のタイミングで休憩したり、横になっていた。でも、上の子がいるとそうはいかない。自分の体調に関係なく息子の食事や入浴の時間はやってくるし、パパにばかり任せていると寂しがるので、自分の身体を優先しようにもできなくて、ひどく疲れていることが多かった。

そして、いよいよ予定日が近づいてきた頃に上の子の預け先や仕事の都合で夫が出産に立ち会うのは難しそうだという話になった。前と同じ病院なので勝手はわかるし、コロナの間は多くの妊婦さんが立ち会いなく出産したと聞くし、1人でも平気だと思った。頭によぎったのは、赤ちゃんとの写真は病院スタッフに撮ってもらわないと、程度だった。

けれど、いざ産まれるとなって病院のベッドに横たわったら、朝起きてママがいないことに気づいた息子はどんな気持ちになるのか、とか急に色んなことが心配になって涙がこぼれた。人の気配がしない病室は静まりかえっていて、出産の痛みに耐える時間が心細くてとても長く感じられた。前回は、夫との何気ない会話や気配で気が紛れていたことに気がついた。

下の子がお腹にいる時は、妊娠も出産も初めてじゃないし、と思っていたけれど、2回目には2回目ならではの妊娠生活と出産が待っていて、上の子の時とはだいぶ違った。

見方を変えると、2回目の妊娠生活と出産は、既に上の子がいての妊娠生活と出産なのだから、初めての経験とも言える。そう考えると、妊娠や出産は何度目だって初めてづくしが待っているのかもしれない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?