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【創作小説】猫に飼われたヒト 第19回 デート

討論大会から数日後。

ミュイッターでの騒動は、フォンス自身が謝罪文を発信したこと、それにレックスのミュイートが拡散されたことにより、終息に向かっていった。

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『それでは次回の講義までに25ページの内容を一通り読んできておいてね。それと…』

人間生物学の准教授、ディーバの講義。

聴講席を埋めるのはほとんどが男子学生。

ディーバの際どいVネックのセーターから、ちらりと胸の谷間が覗く。
男子学生たちはディーバの色気に見惚れた。

講義が終わり、学生たちが講義室から出ていく。
それを見計らい、レックスが教室に入った。


「私と買い物に?」

「ああ。明日、君がよければついてきて欲しい所があるんだ」

ディーバは頬を赤らめた。

「ええ…もちろんいいですわ。どこに行くんですの?」

「デパートだ。買いたいものがあってね」

「分かりました。楽しみにしていますわ。先生とのデート」

ディーバがレックスに身を寄せる。
レックスはさぶいぼを立てながら、講義室を去った。 


それを通りがかりに聞いてしまったアド。
持っていた教科書をバサバサと落としてしまう。

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翌日。アニマ中央駅近隣のデパート前にて。

「ディーバ、今日はありがとう」

「いいえ。私も嬉しいですわ。先生とデートなんて」

「はは…それじゃあ行こうか」


そんな二匹を背後から見つめる怪しい二匹の影。アドとフォンスだ。

「先生とデートなんて羨ましすぎる…先生、いつの間にディーバ先生と…」

「はあ。なんで俺まで」

「偵察だよ、偵察」

「だからなんで俺が付き合わなくちゃならねえんだよ…興味ねえ。ていうかお前、休日明け教育実習なんだろ。こんなことしてていいのか?」

「う…偵察が終わったらちゃんと準備するから…ね?」

アドのうるうるとした瞳がフォンスを見つめる。

「……はあ。少しだけだからな」

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デパートへ入り、エスカレーターに乗る二匹。

「それで?何を買いたいんですの?」

ディーバはウキウキで尋ねた。
(私を連れてまで買いたいものって、何なのかしら。まさか…私に何かプレゼントを…?)

「ああ。実はお世話になった女性に贈り物をしたくてね。でも女性に何かを送った経験があまりないものだから、どんなものを選べばいいか分からなくてな。君にアドバイスをもらいたいんだ」

一瞬フリーズするディーバ。

「……ああ…そうだったんですのね…」

二匹の後を尾行するアド、フォンス。

「…どうした?ディーバ先生が明らかに落ち込んでるぞ」

「本当だ。しっぽが下がってる。私なら先生の隣に居られるだけでテンションぶち上がるのに!」


ディーバは恐る恐る尋ねた。(先生、女性にプレゼントを…誰に送るのかしら…)

「…プレゼントを送る方は、どんな方なんですの?」

「うーん。物静かだが、物言いはしっかりしてて…几帳面で真面目な猫だな。いつも世話になっているんだ。何か困ったことがあるとすぐに解決してくれる。つい先日もすごく世話になってね…そのお礼がしたいんだ」

「あ…ああ…」
(先生にそんな方がいたなんて…)

ディーバは苦笑いしかできなくなっていた。


次回に続く


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